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2018年11月 9日 (金)

『まぼろしの市街戦』

いわゆる「カルト映画」と呼ばれる映画が数ある中で、
この『まぼろしの市街戦』ほどに美しい映画は無いだろう。
(『ある日どこかで』も綺麗だけどね、、、)

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1966年にフランスで公開されたが、
当時のフランスの事情もあって評価されなかった。
(『シェルブールの雨傘(’64)』で描かれたアルジェリア戦線の後)

その後、
ベトナム戦争反対運動が盛り上がっていたアメリカで公開されると、
「ヒッピー文化」に支持されてロングラン上映されたと云う。

日本では1967年に劇場公開されたそうだけど、
みかん星人が観たのは1974年のテレビ放送。
その後も東京12チャンネルで何度も放送された。

中学生だったみかん星人にはたいそうな刺激で、
こんなおぢさんになってしまった要因の、間違いない一要素だ。
(当時の東京12チャンネルは、
 『モンティーパイソン』とか『世界の料理ショー』とか、
 ほんとに悪影響の強い番組が多かったののよね。。。)

この『まぼろしの市街戦』が、いま、
デジタル技術で修復されて、なんと、映画館で上映されている。
DVDは持っているものの、スクリーンでは観た事がない。

と、いうわけで、、、観に行ってきた。

詳しいことは公式で。
東京では今月11月23日まで。
その後各地で上映されるとの事。

さて、「続き」の中で、もう少しだけ書いてみよう。

スクリーンで観て、
その作りの粗さ(画でも演出でも)には驚いたけれど(笑)
大きな画面で観て改めて思ったのは、
「俳優ってのは凄い仕事だなぁ・・・」ということ。

物語の大半の時間に登場するのは「精神病院の患者」。
実際のそういう施設に関わったことがある訳ではないので、
この映画での描かれ方が「リアル」なのかどうかは分からない。
(たぶんにステロタイプな描かれ方をしているとは思う。60年代だし)
でも、
ひたすら純粋に「自分自身の思い」と向き合う俳優の演技が、
演技とは思えないほどに「そうかもしれない」と思えて、
観ている者を「その場所」に連れていってくれる。

特に「公爵」を演じた「ジャン・クロード ブリアリ」には圧倒される。
ゴダールやルイマル、ロメール監督が重用したそうだけど、
なるほど「ヌーベルバーグ」らしい即興性のあるというか、
俳優の個性が役を作っているという雰囲気がある。
この映画の中でも、
「ほんとうに狂っているのは誰なのか」を示唆する強烈なセリフがあって、
それをスクリーンから受取った瞬間の重さは、ほんとに圧倒的。
(ちなみに、、、吹替版の公爵は広川太一郎氏が担当している
 つまり、そーゆーポジションの役柄だって事だね)

 

もうひとつは、このブログでは何度か話題にしているけど、
「綺麗である」という事がどれほどの魅力であり、
かつ暴力的な圧力なのかもスクリーンから感じ取った。

 

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さて、この『まぼろしの市街戦』、原題は『Le Roi de Cœur』。
英語にすると『King of Hearts』で、
実は1978年にブロードウェイ・ミュージカルになっている。

で、そのミュージカル、みかん星人は観ている(笑)
1985年に野沢那智氏の劇団『劇団薔薇座』が、
この作品を買ってきて上演した。

当時の劇団薔薇座には戸田恵子さんなんかも所属していて、
いまから考えたら素晴らしい舞台、、、なんだろうけど(笑)
じつは、ほとんど、いや全く憶えてないんだよね(^^ゞ

もちろん、当時すでに映画『まぼろしの市街戦』は大好きだったし、
それがミュージカルになって上演されて、もちろん観にも行ったんだけど、
憶えてないというのが情けない。。。プログラムも行方不明だし。

 

ともあれ(笑)
この機会に『まぼろしの市街戦』をスクリーンでご覧いただきたい。

そこには、いろんな意味で、
映画製作が自由だった頃の匂いがする。

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