フィンランド国立バレエ団『たのしいムーミン一家~ムーミンと魔法使いの帽子』 @ オーチャードホール
あのムーミン大先生がバレエを踊られる、、、
という事で、もちろん初日に駆けつけた。
ムーミン大先生と云えば、モフモフの元祖にして象徴。
最近では某海などではモフモフがショーに出ていたりして、
それなりには動いていたりはする。
けれど、なにしろあのムーミン大先生が、
走るよりも転がる方が早いとしか思えないあのムーミン大先生が、
肉体の動きの美しさの頂点である「バレエ芸術」に登場する。
素面で観るのがこわいわけではないが(笑)
ともかく、オーチャードホールの素晴らしい泡を楽しんで、
そしてプログラムで物語を予習しつつ、、、いざ座席へ!
フィンランド国立バレエ団は1922年に設立され、
そのバラエティーに富んだ活動で知られているそうだ。
2015年には約30万人の観客を楽しませたとの事。
今回の来日公演は二部構成になっていて、
注目のムーミン大先生のバレエは、これが「世界初演」となる。
第一部は「北欧バレエ・ガラ」で、
『白鳥の湖』や『ドン・キホーテ』などが上演された。
とりわけ素晴らしかったのが『白鳥の湖』からの三幕部分で、
黒鳥とジークフリートとロットバルトの緊迫した関係が、
思わず涙ぐむほどの迫力で表現されていた。
また『ドン・キホーテ』の群舞「ファンダンゴ」も綺麗だったし、
「グラン・パ・ド・ドゥ」に至っては、キトリとバジルの関係が実に麗しく、
例えばアティチュードを静止させる際の、
二人の間に交わされる瞬間的なコミュニケーションが実に良い。
3階席の下手最前方から観ていたこともあって、
こうしたバレエの繊細な美しさを充分に堪能した。
さて、2部、、、いよいよムーミン大先生の登場。
幕が開くと、舞台には雪が降っている。
ムーミン谷は冬で、ムーミン大先生も冬眠中。
やがて春が来て、ムーミン大先生もご家族も、ご友人も、続々と覚醒。
ムーミン大先生の御母堂が美味しそうなパンケーキを作って、
一家団欒が繰り広げられて、舞台はすっかりムーミンの世界だ。
リトル・ミーが、ムーミン大先生の御父君に帽子を渡す。
ムーミンパパさんは、寝ているときにはあの帽子を脱いでいて、
だから最初はムーミン大先生が二人いるように見えたりした(笑)
と、しばらくすると、リトル・ミーがまた帽子を持ってくる。
今度のは、同じようなシルクハットなのだけど、もっと大きい。
まずは、このシルクハットを巡って面白い場面が展開する。
そして、、、暫くすると、スニフが、
・・・彼にはよくある事だけど・・・宝物を見つけて持ってくる。
とまあ、冬眠から目覚めた早々、
ムーミン谷はそれはもう大騒ぎとなるのだけど、
なにしろこうして「ファンタジーな出来事」が展開される世界なので、
ムーミン大先生をはじめモフモフの皆様が踊りだしても、
すべてが魔法、すべてがファンタジーとして、簡単に受け入れてしまう。
しかも、モフモフしていながらも、見事にバレエの動きとなっていて、
第一部で感じたバレエダンサー同士の信頼とコンタクトが、
モフモフしていながらもそこかしこに観てとれる。
特に、ムーミン大先生とスノークのお嬢様のパ・ド・ドゥは、
『ドン・キホーテ』のパ・ド・ドゥを観た後だからこそ解る正確さで、
それがこの二人の情動となって伝わってきたのには驚いた。
まさに芸術、、、胸が熱くなった。
カーテンコールの写真撮影が許されたので撮ってみた。
まずは仲良しのムーミン大先生ご一家。
こちらはご姉弟。
意外に食べてばかりのスナフキン先生でした。
そして物語を騒がす謎の二人。。。。
幕前にプログラムを読んでおかなかったら誰だか分からなかった(笑)
この麗しい「ルビー」さんは日本人で、松根花子さん。
ちなみにそうとはわかり難いんだけど(笑)
スノークのおじょうさんも、中の人は日本人で、小守麻衣さん。
この魔法使いは、第一部冒頭のロットバルトに通じるものがあって、
そういった意味でも、この日のプログラムは見事だった。
と、いうわけで、久しぶりにバレエを観たんだけど、
やっぱり鍛え抜かれた人たちのパフォーマンスは、
たとえモフモフに包まれていようと、麗しいものでありましたっ。
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