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2016年5月17日 (火)

『マチノヒ』 @ 座・高円寺2

久しぶりに「書いておきたい」と思う舞台を観た。

タイトルが『マチノヒ』で、1931年のあの名作映画を連想させる。
(北村薫の匂いはしない)
コピーにも、
『道化ノ贈ル花束ハ貴女ノ瞳ニ映ラナヒ』とある。。。

舞台に登場するのはたった4人のパフォーマ。
このブログ的には、、、『レ・ミゼラブル』で活躍し、
(実は書いてないが)『夢の続き』という素敵な作品でも活躍した、
ミュージカル俳優の王子菜摘子さん。
「クラウン」のぴり氏とブッチィー氏。
「大道音楽家」(とチラシに書かれている)のタカパーチ氏。

この、
表現方法が異なる3組・4人による舞台は、、、、想像を遥かに超えていた。

20160517_190225

舞台は、
"nonverbal live comedy.nostalgic musical performance."
だそうで、つまり、
「生非言語喜劇。懐古的音楽劇」と言ったところだろうが、
要するに「言葉に頼らず、琴線に触れる舞台演劇」で、
それは、この作品の本質を巧く表していると思う。

ふだん観ている演劇は、また、とりわけ重点的に観ているミュージカルは、
基本的には「台詞・歌詞」を頼りに物語が進められる。

だが、ほんとうに「感動」をもたらすのは、
つまり「うわっ・・・・」と感じ、体温が上がり、涙を零してしまうのは、
そのセリフや歌詞が伝えてくる物語そのものなのだろうか。。。。

先日、大きな劇場で観た革命ミュージカルでは、
その革命の波動がダンスで表現されていて見事だったし、
クライマックスでの悲劇のその悲しさは、
言葉ではなく、身を捩って泣き叫ぶ恋人の姿が伝えていた。

セリフだけですすむ舞台であっても、
俳優の首の傾き具合、指の位置、歩みの様子、、、
そうしたディテールこそが、人物の「思い」を的確に表現している。

この『マチノヒ』は、大げさではなく、
そうした「仕草」が伝える情報の多さを再確認させてくれる90分だ。

 

座った席の前には、子どもが二人いたのだけど、
この子たち、とくに年少の女の子が、
クラウン二人のパフォーマンスをとても気に入ったようで、
ずーつとコロコロと笑っていてくれた。

みかん星人が子どもの頃には、テレビの演芸番組で、
こうしたマイム・パフォーマンスがよくみられたものだけれど、
小さい子が興味を寄せる様子を観ていて、
その頃の「幸せな感じ」を思い出してもいた。

言葉よりももっと自由に、観客が自分の経験によって、
目の前で行われているパフォーマンスを受け取れるという事。
それがとてもリラックスした、本当に楽しい時間をもたらしていた。

 

頭の片隅にずーっと抱いている、
「こんな舞台を観てみたいなあ・・・」という願望に近い、
心の底から楽しめる作品だった。

本日初日乍ら、残すところは、
明日5月18日の16時と19時30分。
そして19日の15時の3回だけ。
JR高円寺駅からほど近い「座・高円寺」に行けば、
当日券3000円で、この奇跡のような愛おしい作品に出合える。

必見!

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