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2015年1月31日 (土)

『メンフィス』 @ 赤坂ACTシアター

2010年のトニー賞で、
『作品賞』、『歌曲賞』、『編曲賞』、『脚本賞』を取った『メンフィス』が、
TBSとホリプロ制作で公演されているので、行ってきた。

詳しい事は、いつものように、公式で。
先に書いておくが、ともかくお薦めの舞台だ。
が、どういうわけか東京で16公演、福岡で4公演しかないので、
ともかく急いで観に行っていただきたい。

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演劇好きな人なら、トニー賞の受賞内容を見れば分かるだろうけど、
この『メンフィス』は、曲、編曲、物語、
そして総合的なまとまりにおいて「最高!」と評された作品。
だから、よほどのヘタレを集めない限り、舞台の成功は約束されているわけ。

で、実際、登場する日本のミュージカル俳優たちのパフォーマンスは見事で、
「最高!」と評されたこの作品の魅力ををちゃんと実感させてくれる。
(若干名の「俳優ではない人」の、その俳優ではない故の部分も含めて)

みかん星人は、特に、
つかこうへい事務所出身の根岸季衣さんに魅了された。
こういうポジションの人が見事に機能すると、舞台の魅力が増す。

さて、、、内容には触れないけれど、
「続き」の中では、この舞台の背景について少し書いてみる。

タイトルの「メンフィス」は、アメリカはテネシー州の都市で、
その名は古代エジプトから栄えるエジプトの都市メンフィスに由来している。

このメンフィスは、二つの点で有名な街だ。

ひとつは、アメリカの綿花産業の中心地であり、
その綿花栽培のための黒人奴隷の市場があった場所であること。
だから、今でも、メンフィスに住む人の過半数はアフリカ系だ。

もう一つは、
そうしたアフリカ系アメリカ人たちの文化である「ブルース」の町であり、
そこから発展した「ソウル・ミュージック」の中心地であること。
私の世代的にいえば、「メンフィス」=「プレスリー」でもある。

そのメンフィスで、1951年に、白人の男の子が、
黒人女性歌手の歌に魅了されるところからこの物語は始まる。
第二次世界大戦から6年後の1951年は、「公民権」など全くなく、
白人と黒人は、聴くラジオ局までもが違っていた時代。
この舞台で話題になった「ローザパークス事件」が1955年なのだ。

舞台の主人公・ヒューイには、モデルが居る。
1人は「デューイ フィリップス」という男で、
ディスク・ジョッキー(DJ)の先駆者と言われている人。
彼は1926年の生まれで従軍経験もある。
1949年に「WHBQ」というラジオ局で番組を持ち、それは9年続いた。
デューイが有名なのは、
彼がプレスリーのレコードを最初に放送した人物とされているからだ。
劇中に「出身高校を話せ!」という場面があるんだけど、
それはデューイがプレスリーに対して行ったインタビューに起源がある。
彼は、しかし、酒と薬のせいで、42歳で亡くなっている。

もう一人のモデルは、北部のオハイオ州にいて、
やはり同じ頃にラジオで喋り始めた「アラン フリード」だ。
劇中にデパートでDJをしてしまう場面があるが、
アランはレコード店で白人の男の子がR&Bに合わせて踊る様子を見て、
「これはラジオで放送すれば受ける!」と思い、
それを「ロックンロール」と呼んで人気DJとなった。

ちなみにこの「ロックンロール」という言葉、
当初、卑猥な単語だと思われてもいたそうで、
その辺りも舞台の中でちょっと出てきていた。

ついでなので、もう一人、名前だけ出てきたDJ、
「永遠のティーン・エイジャー」と呼ばれた万年青年「ディック クラーク」の事。
私がこどもの頃ディックはよくテレビで見掛けていたし、
彼の番組『American Bandstand』は映画『ジャージー・ボーイズ』にも出てきた。
2012年に亡くなった時も大きなニュースになったしね。
劇中ではライバルと言うか目標という存在で語られていたけれど、
まさにアメリカの音楽文化の中心にいた人物の一人で、
たとえば、こんな感じでABBAを紹介したりしていた。

 

『メンフィス』の時代背景は、アメリカの音楽が激変した時代なのだけど、
だから今までもけっこう舞台や映画になっている。

1982年にトニーを取った『ドリーム・ガールズ』は、
この『メンフィス』のヒロイン・フェリシアの側に近い物語だ。
2006年には映画にもなったけれど、
こっちは1960年代の自動車の街=モータウン・デトロイトが舞台だった。

公民権的な部分では、1988年に映画で登場し、
2002年にブロードウェイ、
2007年に映画がリメイクされた『ヘアスプレー』だ。
そういえば、
この『ヘアスプレー』、最後には客席も総立ちで一緒に踊るんだけど、
これは『メンフィス』でもやればいいのになあ、、、と思う。

ともあれ、、、少ししかないこのキラキラした舞台、
見逃す手はない!

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