『スリル・ミー』 @ 銀河劇場
物語は、実際にあった事件をモデルにしている。
しかも、プログラムによると、ほとんど「その通り」に再現してあるようだ。
1924年のシカゴが舞台なのだが、
その頃のアメリカといえば悪名高い禁酒法の時代で、
しかも「シカゴ」となればアルカポネが台頭してきたちょうどその頃。
つまりは「狂乱の20年代」の真っ最中。
だから、、、まず、ファッションがいかしている(笑)
いやもう、、、二人の様子の美しい事!
また、当時は「ゲイ」が市民権を得ていた時代でもある。
ほとんど3人目の登場人物と言ってもいいピアノがまた良い。
1920年代の「ジャズ・エイジ」の匂いをさせながらも、
時にクラシカルに、また冷静に冷徹に舞台を支配する。
タイトルの『スリル・ミー:Thrill me』は、
まあ「わくわく、ドキドキさせてよ!」みたいな意味だと思うし、
舞台の上で語られる単語としての「スリル・ミー」はそういう意味だ。
だけど、舞台に漂うのは「ハラハラ感」と、文字通りの「スリル」だ。
この舞台は、まさに「スリリング」で、「あそび・余裕」が全くない。
まるで命綱もネットも無い綱渡りを観ているような感覚。
それは、台詞の応酬や動きの関連のみならず、
音楽や照明のタイミングにおいても、一部の隙も無い。
目の前で俳優が紡ぎ続ける「舞台」でありながら、
緻密なカットを積み上げた「映画」を観ているような完成度。
そのスリルに、時々呼吸を忘れてしまうほどに魅入られてしまう。
舞台で語られる物語自体はとても悲痛で、
物語の中に入ってしまうといたたまれなくなるだろう。
実際、何度も観たいとは思えない内容だ。
だけど、しかし、『スリル・ミー』の舞台で繰り広げられる「演劇」は、
圧倒的に美しい。
タイトル通り、それは「わくわく」させてくれるし、
小気味良く展開される様子は、麻薬のように中毒性がある。
だから、違うペアでも観てみたいな、、、、とも思うんだけど。。。
さて、このカッキー&松也ペアに比肩するモノでなかったら悲しいし、
そしたらたぶん、最後まで座って観ていられないだろうなあ(笑)
と、いうわけで、、、舞台好きなら、いちお、お薦め。
できたら、なるべく遠くから、全体を眺めるといいと思う。
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