『アンネ』 @ シアター代官山
「経済不況」というのは、実に厄介な状態だ。
とくに厄介なのは、そこからの回復手段が、
その経済の、その国家の「未来」に大きく影響する点にある。
日本では、昭和60年の後半から猛烈な円高になり、
輸出に頼るこの国は深刻な「円高不況」に陥ったことがある。
多くのメーカーがその頃から生産拠点を海外へと移転してしまった。
そこで政府は「内需拡大」と「円安誘導」を行ったところ、
国内に多くの資金が出回り、やがて「バブル」を生むことになった。
「円高不況」からは脱し、狂乱的な好景気になった(ように見えた)が、
「バブルの崩壊」がこの国をさらに深刻な不況にし、多くの資産が失われた。
この日本におけるバブルの崩壊の半世紀前、
ドイツには、不況を、ある「民族」のせいにしたという歴史がある。
その「不況からの脱出」がもたらした悲劇の物語が、
劇団ひまわりの舞台『アンネ』だ。
公式ページの冒頭に、アンネの言葉が掲げられている。
私は、死んだ後でも生き続けたい。
アンネの、この強烈にして、あまりにも切ない叫びは、
「ナチスによるユダヤ人大虐殺」の悲劇の象徴だ。
では、この「ユダヤ人大虐殺」は、なぜ起きたのか?というと、
その要因の一つが、
「ドイツが大不況から脱するために、良かれと選択し、
民主主義の正当な手続きを経て成立した政策の結末」
であるという事を忘れてはいけない。
「わたくしの名前を冠した素晴らしい経済政策の信を問う」
として、多くを後ろ手に隠したまま、数百億円をかけ、
あたかも『民主主義』を実施しているかのような手段を弄する政治屋は、
70年前に自殺したチョビゲおやじと同じようにみえる。
前回公演の時よりも、更に、今まさに、観なければならない舞台だ。
11月30日まで、恵比寿、代官山近くの「シアター代官山」にて、
アンネフランクが、今日もまだ、生き続けている!
・・・それは、ある意味、とても残念なことだけど・・・
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コメント
お金がないと生活できない。
けれど、お金のために生きるのはむなしい。
経済はどうでもいいとは思わないけど、そればかりが目標にされてしまうのは違うと感じます。
「大不況から脱するために、良かれと選択し、民主主義の正当な手続きを経て成立した政策の結末」の最も恐いところは「民主主義の正当な手続き」だったということだと思います。
争点が何かもわからない選挙で国民の関心も薄いですけど、それこそ「民主主義の正当な手続き」を道具に使ってしまおうとする目論見のような気がします。歴史に学んで、そんな愚行がまかり通らないようにしなければと痛感してます。
投稿: みひろ | 2014年12月 1日 (月) 午後 10時59分