『BEFORE AFTER』 by ミュージカル座
上野聖太さんの出演を機会にして、ミュージカル座の舞台は、
『アイ・ハヴ・ア・ドリーム』と『アイランド』を観ている。
今公演の『BEFORE AFTER』は、
古くなって使い勝手が悪くなった家をリフォームするミュージカル。
・・・ではなく。
ミュージカル座がイギリスの作曲家に発注して制作した作品で、
この日の舞台が「世界初演」ということになるそうだ。
受注したのは「スチュアート マシュー プライス」氏で、
原案と作詞、そして作曲もしている。
そこへ、児童文学も書く脚本家「ティモシー ナップマン」氏が加わり、
イギリスでの2週間のワークショップの末に完成させたそうだ。
舞台に登場する俳優は2人、ベンとエイミーのペアだけ。
ただ、ミュージシャンも3人、ピアノとギターとチェロがいる。
ピアノ1本の『スリル・ミー』も聞き応えがあったが、
「もう一人のボーカル」のように響くチェロや、
「もう一本のスポットライト」のように舞台を彩るギターが加わると、
やっぱり「ミュージカル」の楽しさを実感する。
さて、この俳優2人とミュージシャン3人が紡ぐ物語は、、、
「誰もが夢見る、人生を永遠に変えてしまう人との出逢い」
これがこのミュージカルのモチーフになっていて、
90分の舞台の中で、この「永遠の出会い」が描かれる。
その描き方が、なかなか面白い。
「誰もが経験する、忘れられない恋。
もしもやり直すチャンスが訪れたとしたら、今度はうまくいくだろうか・・・。
引き寄せられるように訪れた思い出の場所で、
かつての恋人ベンと再会したエイミー。
しかしベンは事故で記憶を失い、エイミーのことも忘れてしまっていた。
事故の前後の二人の姿を追ったラヴストーリー」
こう、公式ページにの「あらすじ」あるように、
舞台は「事故前」の【Before】と、
「事故後」の【After】の二つの場面を交互に描いて積み上げてゆく。
ご丁寧な事に、背景に【Before】と【After】の文字まで描かれて、
舞台の上が何時の事なのかも教えてくれる。
ま、物語はともかくも、こんな他愛もない恋バナを、
時に軽快な曲で、時にもの悲しい曲で、
たまにスリリングだったりシリアスなニュアンスを絡めた音楽で紡ぐのが、
なんといってもミュージカルの王道だと感じる。
その王道も、やはり配役次第なのだろう。
ベンを演じたのは小林遼介くん。
少しばかり癖があるというか、ハスキーな匂いのある声は、
才能はあるけれど落ち着きがない青年らしくて良い。
エイミーは、来年のレミゼでコゼットが決まっている清水彩花さん。
アイドル歌手みたいな声質が甘くてかわいいんだけど、
「パパ」を大事にする役どころが、ほんとにコゼットで、
それが似合うそのセレブな雰囲気が良い。
物語としては充分に完成していると思うので、
さまざまな演出や、小屋にとらわれない興業をして、
知名度が上がってくれることを期待したい可愛い作品だ。
まだ4回しか上演してないなんて、ほんとにもったいない。
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