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2014年9月11日 (木)

『ジャージー・ボーイズ』

2006年の『トニー賞』のミュージカル部門で、
「最優秀ミュージカル作品賞」と「主演男優」「助演男優」、
そして「照明デザイン賞」を獲得したのが『ジャージー・ボーイズ』。

その、いわば名作ミュージカルを、
「あの」クリントイーストウッド氏が製作して監督した映画、
ジャージー・ボーイズ』を観てきた。
いつものように、詳しくは公式ページで。。。音が出るので要注意。

そもそも、イーストウッド監督は音楽にも造詣が深く、
グラン・トリノ』ではエンディングの曲も書いていたと思うし、
『バード』という、JAZZ好きにはたまらない作品もある。
今回は、既成の「舞台ミュージカル」の製作監督に取り組んだ。
しかも、主演に「トニー賞・最優秀ミュージカル主演男優賞」を取ったご本人、
「ジョン ロイド ヤング」くんを迎えて、、、、だ。

さあ、音楽好きで、独特のスタイルをもった監督が、
この「トニー賞を取った舞台ミュージカル」をどんな映画にしたのか・・・

ここから先に書いてる事は、観てからの方が面白いと思う。

ただ一点。。。
この映画には、勢い余ったらしく、監督も一瞬出演している。
いや、試写会の前にはそういう情報が無かったので見つけられなかったけど、
「たぶん、出ているのなら、あの音楽場面だろう」と想像できなくはない。

ともかく、この映画は「音楽の力と魅力」に溢れている。
ミュージカル好きなら、またしても、みかん星人に騙されてもらおう!
この秋のイチオシ映画だ。

「舞台ミュージカル」を映画にする場合、
例えば『レ・ミゼラブル』のように、そのまま映画にしてしまうのが普通だろう。
『マンマ・ミーア!』も『RENT』もそうで、
映画の中に描かれる日常の中で、登場人物は舞台のように唐突に唄いだす。

けれど、さすがはイーストウッド監督。
そもそもが「ステージもの」であることもあり、
歌が流れるのはステージやスタジオであって、平場(笑)で唄ったりしない。
だから「ミュージカル的なもの」が苦手でも、この映画なら大丈夫。

じゃあ、なにもかも映画的で、舞台の雰囲気は無いのか、、、というと、
これが冒頭からとんでもない仕掛けをしてあって、
「あー、やっぱりイーストウッド監督作品は、面白い!」と思わされる。
その仕掛けとは、
スクリーンの中の登場人物が、観客に語り掛けてくる、という点だ。
ちょっとスノッブな言い方をすると、
「この映画では、登場人物か第4の壁を破ってくる」のだ。

この手法(声だけのモノローグは別)は、普通の映画にはあまりない。
子ども向けの映画やコメディー映画では昔からあるけどね。
(『さあ、みんなの声援で悪い奴をやっつけよう』みたいな)

ただ、これは舞台ではよくある手法で、舞台好きはこれに慣れている。
(先ごろ観た『タイトル・オブ・ショウ』もそう)
だから、この映画が、「第4の壁」を破っている事で、
「そうだ、これは舞台が原点の映画なんだ」と意識させてくれる。

どうやらこのスタイルは、オリジナルの舞台が原点らしい。
主人公4人のグループ「ザ・フォー・シーズンズ」の名にちなんで、
舞台を4つの部分「春夏秋冬」にわけ、
それぞれのパートをメンバーの一人が解説しながら進むらしい。
(ちなみに、舞台公式ページて再生されるビデオの冒頭は、映画も同じ)
映画では、それがより洗練されて、じつに巧妙に壁を破ってくる。

 

さて、この「ミュージカル」というよりは「音楽映画」な映画は、
だから、当時の音楽事情を知っていると、さらに楽しいだろう。

ニューヨーク州の隣だけど、
「何も無いニュージャージ州」出身の4人組「ザ・フォー・シーズンズ」は、
「ザ・ビートルズより前にアメリカの音楽界を席巻していた」とある。
それは1960年代の前半を指すらしくて、
当時、アメリカの西海岸では「ザ・ビーチ・ボーイズ」が売れていた。

その直前、1950年代のアメリカの音楽は「ロックンロール」で、
チャックベリーやプレスリーといった大スターが起こした大革命の時代。
その根底にあった「リズム&ブルース」という黒人音楽がますます注目され、
「シュープリームス」とか「テンプテーションズ」が、
「黒人のR&Bを白人たちに」というモータウン・レコードの狙いと共に、
アメリカ中の若者たちを魅了していった。

そうした中で「ハーモニー」を基調として聞き手を魅了したのが、
東の「ザ・フォー・シーズンズ」であり、西のビーチボーイズだったわけ。

 

さて、、、ともあれ「一時代」を築いた『シェリー』などの名曲が、
当時の景色(エドサリバン氏も登場!)で唄われる様子は必見だし、
どういった経緯で生まれて、それが彼らに何をもたらしたのか・・・・
「アメリカン・ドリーム」の裏側を感じ取れて興味深く、痛々しくもある。

特に、冒頭から物語をリードする、
「やんちゃな男の子・トミー・デヴィート」に関しては、
このページを読むと、ほんとに「成功」とは難しいものだと思う。

最後の大団円まで、何度も拍手したくなる素晴らしい映画だ。

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