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2014年8月 2日 (土)

[title of show] @ シアタークリエ

なんやかや、ついつい気になってしまう俳優の一人が、柿澤勇人くん。

『春のめざめ』に、毎週のように通っていた頃、
その短い間隔で観ていても、メルヒオール役の柿澤くんは、
観る度に芝居が深く、強く、明確になっていて、
「この子はどーなってしまうのだろう・・・」
と思っていたら、、、予感通りに退団してしまった。

その後はテレビの中で時折見かけてて、去年の11月、
ようやく『メリリー・ウィー・ロール・アロング』を観て、
「ああ、ちゃんと巧くなっているんだなあ」と安心した。

その柿澤くんが、飛ぶ鳥を落とす勢いの?「StarS」の一人、
浦井健治くんと組んで舞台に登場するのが、
タイトル・オブ・ショウ』という人を喰ったタイトルのミュージカル。

浦井くんも、今年、シャーロックホームズのミュージカル版で観て、
「歌だけじゃなくて、芝居が巧い俳優なのか・・・」
と感心していたので、とてもとても楽しみにしていた舞台。

『タイトル・オブ・ショウ』は、
2009年のトニー賞で「ミュージカル脚本賞」にノミネートされたもので、
つまりは、その脚本が面白すぎる作品。
・・・ちなみに、この2009年の脚本賞候補は、
『リトル・ダンサー』、『ネクスト・トゥ・ノーマル』、『シュレック』で、
『リトル・ダンサー』がとっている。
(さらに、ちなみに、ミュージカル作品賞は『シュレック』がとった・・・)

さて、このとにかく面白い脚本とは、どんなものかというと。。。

Img_3621

、、、プロットは、こんな感じ・・・

「ミュージカル・フェスティバル」のために、
ミュージカルのオリジナル作品を作り上げようとする二人の青年が、
結局、その制作に苦労する様子をそのまま脚本にしてしまう・・・
その、ガールフレンド二人も巻き込んだ3週間のドラマが筋。
さて、彼らは無事にミュージカルを完成させられるのだろうか?

「バック・ステージもの」の亜流(笑)というか、
番外というか、奥の手というか、卑怯というか、、、ともかく面白い。

最高に「面白い」というか「卑怯」なのは、、、、
登場人物には、ちゃんとオリジナル脚本通りの「役名」があって、
それは、
実際にこの作品の作詞作曲をした「ジェフ ボーウェン」を浦井くん、
脚本を書いた「ハンター ベル」を柿澤くんが演じる。

・・・にも掛からわず・・・

舞台の上の「ジェフ」は、
「日本のミュージカルを代表するプリンスの一人」
という背景をもって動き回るし、
「ハンター」に至っては、脚本家であるにもかかわらず、
発声法にうるさかったり、「第4のプリンス」を狙っていたりする。

こんなにも俳優の来歴を利用して笑いを取る舞台があって良いものだろうか?

笑いを呼ぶのは、もちろん、俳優たちの来歴ばかりではなくて、
いままでのミュージカルが、いろんな方向でおもちゃにされるのも楽しい。

例えば、、、舞台上では何度も携帯電話が使われるんだけど、、、
舞台の中央奥に、白い、今どき珍しいテープ式の留守番電話機があって、
暗転明けにはそこにメッセージが届く。
ブロードウェイでは、そこに、
本物の「サットン フォスター」からメッセージが届いたりしたらしい。
ともかく。。。
ミュージカルで「留守番電話」と云えば『家賃』。
応答メッセージの”Speeeaaak!”がなんとも当時の感じを出していた。
もちろん『接触』の3幕冒頭にも「白い留守番電話」が出てきて、
それがワイリー氏の孤独を見事に表現していた。

こういう感じで、
何かにつけて「どこかで見たなあ・・・」のオンパレード。
ミュージカル友達と観に行って、
いくつ見つけたかを語り合うのも最高に楽しいだろう。

Img_3619

ご覧のように、上演時間も「適度」なこの作品。

共演の女優さんも可愛くて楽しいし、
なによりピアニストの村井さんが素晴らしい!
もちろん彼のファンは、すでに駆けつけていると思うけど、
福井くんの伴奏もつとめたあの村井さんの魅力が大いに発揮されている。
 (この設定も、実に巧妙というか・・・狡猾)

まだ4ステージのチケットは残っているようなので(8/5未明時点)
どうかひとつ、またしても、みかん星人に騙されて、
シアタークリエに駆け付けて下されっ。

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コメント

つるPさん、コメントありがとう。

そうそう、、、向かいの劇場では、壮一帆さんが有終の美を飾っていますものね。
壮さんの「一帆」って、「一つの帆で海原へ突き進む」という志からだそうですが、さて、村井さんの由来は何でしょうね(笑)


それにしても、愉快というか、笑える舞台でした。
どーやって日本語版にしたのかも知りたいですよね。

それと、ネタ元というか、いぢられている作品のリストみたいなものも(笑)
途中に「PlayBill」の表紙が下りてきますが、その多くが東宝ミュージカルで、ALWのは無くて、、、、あの作品名の一覧が欲しかったなあ・・・・と思ってます(笑)

再演されるといいなあ・・・もちろん、その時には、その時の背景に焼直さなきゃ、ですね

投稿: みかん星人 | 2014年8月20日 (水) 午前 12時00分

日比谷は今“一帆さん”祭りです!

投稿: P | 2014年8月 6日 (水) 午後 01時14分

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