『天才執事ジーヴス』 @ 日生劇場
ロイドウエバー君とティムライス君のコンビ最後のミュージカル『エビータ』が、
レコード・アルバムとしてリリースされた年のその前年の1975年に、
ロイドウエバー君は喜劇作家のエイクボーン君と組んで、
1本のコメディー・ミュージカルを制作した。
『Jeeves』というタイトルのそれは、しかしながら不評で、
たった38回のステージで幕を閉じることになったそうだ。
21年後の1996年に大改造されて『By Jeeves』として再登場し、
これはウエストエンドでも、ブロードウェイでも大好評で、
そして、ようやく、日本にもやってきた。
日生劇場の公演『天才執事ジーヴス』を観てきた。
上演時間が、20分の休憩を挟んでの3時間と、
コメディーとしてはかなりの長丁場、、、だけど、本が面白いので、
最初の導入でまごつかなければ、眠くなることはないだろう。
ロイドウエバー君の音楽はいろいろいと聞いてきたけれど、
エイクボーン君の脚本作品は初めて観た。
で、この『天才執事ジーヴス』では、圧倒的に脚本が面白い。
というか、正直なところ、
「ロイドウエバーの音楽」を期待していくと、がっかりする。
「初めて耳にするのに、どこかでなじんでいるようなメロディー」とか、
「幾重にも重なって、ひたすら音の響きに魅了されるハーモニー」とか、
「場面や人物の関連を音楽から読み解く歓び」は、ここには無い。
けれど、この作品にしかない「さすがはロイドウエバー!」は、ある。
それは、
とても自然で、流暢で、耳触りのいい、場面を美しく際立たせる音楽で、
たとえるなら、
「チャールズチャップリンの名作映画を観る歓び」と似ている。
舞台を観ながら、次第にその的確な音楽に魅了されていった。
舞台の形式は「劇中劇」で、『ラ・マンチャの男』みたいなもの。
で、この『天才執事ジーヴス』の劇中劇は、急誂えの劇なので、
何もかもが「その場で調達」であり、
その調達からすべてが、執事の見事な仕事になっているというもの。
物語は、まあよくある「シチュエーション・コメディー」なのだけど、
実は、ここが多分に、これを好きになれるかどうかの分かれ目と思うが、
『天才執事ジーヴス』というタイトルや、伝えられている広告とは、
その中身の「安直さ」とか「コミカルさ」が、かけ離れていると思う。
劇団四季の作品で言うと、
『スルース』を観に行ったら『ブラックコメディー』だった、、、みたいな感じ。
さて、、、
なんでも、主役の二人、
ウエンツ瑛士くんと里見浩太朗先生は「ミュージカル初挑戦」だそうだけど、
ウエンツくんって、むかし、某劇団で箱に入っていたよね(笑)
それはともかく、この二人は、実にお見事。
ウエンツ君は、ほとんど出ずっぱりなんだけど、
(さすがに出が出だけあって)台詞はよく通るし、歌も楽器もうまい。
なんといっても「決めポーズ」がとってもかっこいい、、、頭小さいし。
で、里見浩太朗先生は、たった一曲なんだけど、、、ショーストップ!
そして、この作品を「観たい」と思わせてくれた樹里咲穂さんは、
コメディーに似合いの声と歌で魅了してくれて、
いやもう、本当に大満足。。。最後はエルフィーまで観せて頂いた。
「絶対に面白いから」とは言い難いし、3時間もあるし、
今度の日曜日で終わっちゃうんだけど、、、観て損はない。。。かな。
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コメント
Pさん、コメントありがとう。
はい、、、「サービス」の神髄を観た思いがします。
・・・・ところで、どーして”勉強”にいった事をご存じなのですか?
投稿: みかん星人 | 2014年7月14日 (月) 午後 11時48分
肝心の“勉強”はできたんですか?(笑)
投稿: P | 2014年7月14日 (月) 午後 01時04分