『マイヤーリング』
「マイヤーリング」というのは、
オーストリア・ウィーンの南にある街の名前。
1889年の冬、
オーストリア=ハンガリー帝国の皇太子・ルドルフ君が、
男爵令嬢の「マリー ヴェッツェラ」嬢と、
その街にある皇室の狩猟館で心中をした事で知られている。
この心中事件は『うたかたの恋』として小説になり、
1936年には、フランスで、
シャルルボワイエとダニエルダリューの主演で映画になり、
1968年には、
オマーシャリフとカトリーヌドヌーヴの主演で映画になっている。
今回上映されている『マイヤーリング』は、
1957年にアメリカでのテレビで放送(なんとカラー!)されたもので、
監督は1936年の映画を撮ったアナトールリトヴァク監督。
そして、
ルドルフを演じたのはメルファーラー。
マリーを演じたのは、
当時メルファーラーと結婚していたオードリヘプバーン。
一度だけ放送されたその番組が、
57年の沈黙を破って、目の前に現れた。。。白黒映画だけどね。
物語は、
観たことは無いけれど、宝塚の『うたかたの恋』と、
これまた観た事無いけど、
ワイルドボーンの『ルドルフ ~ザ・ラスト・キス~』と同じもの。
もちろん、解釈にはいろいろあるので、
興味がある方は調べてみると面白いだろう。
ともかく、今回は、
オードリーの幻の1本が、日本で初公開されたという事に尽きる。
制作された時期からすると、『ローマの休日』の4年後で、
『昼下りの情事』とか『パリの恋人』の前後になる。
1954年に、このルドルフのメルと結婚しているんだけど、
その出会いと云うか、惹かれあったのは、
舞台の『オンディーヌ』で、オンディーヌとハンスを演じた時だったらしい。
オードリーは、このオンディーヌでトニー賞を取っていたりして、
ほんとうに充実した中で結ばれたんだろうなあ。
この映画の中のオードリーは、なるほどとても綺麗。
直前に観ていた『ローマの休日』のアンとは違って、
例えば、抱き寄せられた時の身体のしなり具合とかも美しくて、
『ローマの休日』に続けて観てしまうと、
ちょっと、一抹の寂しさと云うか(笑)残念と云うか(爆)
でも、女性として実に充実していた時期なのが、スクリーンに現れている。
映画としては、延々と堂々巡りしている感じがあって、
ラストも事実だけに拠っている感じで、
たぶん、今作ったら、もっと深いものにできるんだろうなあ、、、と思う。
思うけど、、、よくもまああんなに可愛くて、
匂うがごとく色っぽいオードリーが残っていたというだけで、大満足の1本。
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