『コンダーさんの恋~鹿鳴館騒動記~』 @ 明治座
『ローマの休日』、『マイヤーリング』に続いては、
日本でオードリーと同じ役を演じてる名女優・大地真央さんの舞台、
『コンターさんの恋~鹿鳴館騒動記~』を観に行った。
舞台での大地さんは初めてだったけど、
なるほど実にコケティッシュで可愛い人だなあ。
動きも滑らかで淀みないし、台詞も歌も良く通る。
コートを翻す様子には見惚れてしまう。
共演者の牧瀬里穂さんも、舞台で観るのは初めて。
どんなお芝居をするのかと思っていたら、
これまた立ち振る舞いも、台詞も綺麗で、
遠目(3階席)からも分かるほどの目鼻立ちもあり、可愛い。
あ、、、
大地さんも、3階からでも、目の前にいるみたいにハッキリしてます(笑)
ほかにも、驚くほど英語が達者な秋本奈緒美さんは、
実に凛々しい捨松さんでしたし、
対するベンガルさん演じる大山巌閣下の薩摩弁の見事さにも感服。
正直なところ「大衆商業演劇」的ぐたぐたな、
ファンサービスばかりの舞台だったら困っちゃうな・・・
と思っていたんだけど、
まあ演出がG2氏だからそれは杞憂とは思ってはいたものの、
それにしても面白い舞台で、俳優と物語と演出が見事に揃って、
しかも最先端の映像技術を導入したりしての、魅力ある舞台だった。
そして、なにしろ「鹿鳴館」が舞台の作品なので、
その背景や意義、評価、そして構造まで知っているから、
初見なのに楽しめたし、楽しめるだけの内容でもあった。
劇団四季の三島由紀夫版『鹿鳴館』は明治19年11月の鹿鳴館で、
この『コンダーさんの恋は』明治16年の落成前の鹿鳴館に始まって、
二幕では、三島版に近い時代にも至る作品。
そういう意味では、三島版(劇団四季版)『鹿鳴館』の、
入門編と云うか、導入部と云うか、ともかく分かりやすい。
登場人物も、4人(登場するのは3人)ほど、共通している。
先ずは、
この舞台の始まりの頃ではまだ総理大臣になっていないけど、
三島版の時には総理大臣になっている伊藤博文氏と夫人の梅子さん。
この舞台では、博文公の姿は無いけれど、
梅子さんは、そもそも芸妓上がりのひとなので、作品モチーフとの絡みも好い。
三島版の『鹿鳴館』では、
「その節はお揃いでどうぞ」という台詞があったので、
あの舞台を観ていた人は記憶があるだろう。
あとの二人は、この舞台で一つの物語を創り出す大山夫妻。
三島版を観ている人には、結ばれるのが解っているんだけど、
この舞台では、あの年の差カップルが結ばれる経過が描かれる。
そう、、、この舞台の魅力は、
こうした「実在した有名人の『もしかしたら』がみられる」ところにある。
もちろん、多くの舞台や映画が、
「もしかしたら」のシミュレーションなわけだけど、
この舞台のように登場してくる人物が、ことごとく実在で有名で、
その歴史における言動が、舞台でも垣間見られたりするのは凄く楽しい。
そうだ、、、もう一つ、三島版との共通項があった。
三島版、というか劇団四季の舞台ではピンと来なかったのだけど、
この舞台で「なるほど!」と思えたのが、
「反鹿鳴館派」というか、
「日本の文化を大切に!」と叫ぶ輩の乱入事件。
劇団四季の舞台では、その乱入が階下の出来事で、
想像するしか無かったんだけど、、、この舞台では、出てくる(笑)
「あー、こういう感じだったのか・・・」と、納得した。
なにやら安いチケットも出ているそうなので、
劇団四季の『鹿鳴館』が消化不良のままの人も含めて、
なかなか魅力的な、演劇の楽しさに満ちた舞台として、お薦め!
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