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2013年12月 1日 (日)

吉村和敏写真展『カスタム・ドクター』 @ 新宿ニコンサロン

少し前に「予告」した吉村和敏さんの写真展、

『カスタム・ドクター』ソロモン諸島の伝承医

へと行ってきた。

残すところ、もう12月2日月曜日一日だけなので、
慌てて写真展会場へと向かった。

場所は西新宿ロータリーの一角に面した「新宿エルタワー」の28階。

途中でこんな光景を眺めながら、エレベーターで会場へ。

Airship

全編が白黒写真で、
そのほとんどすべてに人物が写っているという、
吉村さんのこれまでの写真展とは全く違う雰囲気。

ご本人も、
「いままで観に来てくれた人の1割ぐらいじゃないのかな」
と言ってましたが、確かに、これまでの、
「写真家吉村和敏の美し過ぎる風景写真」
とは全く違っている。

「カスタム・ドクター」とは、ソロモン諸島の村々に存在する医師の事で、
多くの村には、たいてい1人、もしくは2名のドクターが居て、
村の人々の「やまい」を治してきている。

ソロモンの人々にとって「やまい」とは「悪魔の憑りつき」であり、
ドクターが施す治療も、様々な薬草を使った投薬だけではなく、
呪術的な行為や、なによりも会話を重視した医療らしい。

在廊していた吉村さんと、久しぶりにお話したのだが、
驚いたことに、こうしたドクターたちは互いに交流は無く、
他の村の医師との情報交換もせずに、
「その村の医療」は、「その村」の中で完結しているのだそうだ。

その治療、とくに投薬に関しては、
数十種類の植物を材料にして調剤するのだけど、
その知識は必ずしも「血族」で受け継がれるものではなく、
「その村で医療に関心が高い者」が、
薬草の採取場所も含めて、貴重な医療の伝承を受け継いでいる。

吉村さんの感覚では、
日本の100年ほど前の医療に近いのではないか?との事だが、
彼らはこうした医療を、もうずーっと繰り返しているのだ。

「カスタム・ドクター」の存在を知った吉村さんは、
興味を感じて現地に向かい、長い時間を掛けて取材したそうだが、
「よくこんなところまで撮らせてもらえたなぁ」と感心する写真が多く、
例えばカウンセリングをしているドクターのアップ写真など、
現地に受け入れられ、信頼されての撮影だと感じる。

相変わらず「被写界深度」の設定・選択が巧妙で、
撮りたいもの・伝えたいものが明確な写真ばかりだ。
そういった意味では、いままでの「吉村作品」と同じだし、
むしろ、鋭利なメッセージが感じられて、
一枚一枚を丁寧に眺めたくなる、鑑賞時間が掛かる写真展だ。

残念なことに、冒頭にも書いた通り、12月2日で終了し、
この写真は二度と展示されることは無いだろうとの事。
もちろん写真集は手に入るし、枚数も多いのだけれど、
取材を重ねた吉村さん本人と語り合うチャンスもあるこの写真展、
もし時間が作れたら、駆けつけてもらいたい!

Custom

会場外の「ニコンサロン」の窓の外には、
樹木の存在をほとんど感じられない街が広がっていた。。。

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