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2013年5月11日 (土)

『リトルマーメイド』 @ 四季劇場夏

劇団四季が満を持して取り組んだ『リトルマーメイド』を観てきました。
これもまたステップとして、今後も、
MARY POPPINS』とか『NEWSIES』を遠慮なく持ってきてください。

日本で上演されるのは「ヨーロッパ版」との事で、
既にオランダロシアで好評のようですね。
では、ブロードウェイではどんなステージだったかというと、、、こちら、、、

なんと、フライングではなく、ローラースケートだったんですね~
興業としても芳しくなかったようで、
「ヨーロッパ版」で巻き返しているというところでしょうか。

で、ともかくこの『リトルマーメイド』、みかん星人は「とても好き」です

ステージ上の表現にこんなに魅了されたのは、、、、
例えば、、、『JCSS』のジャポネスクの大八車とか、
ソンドハイムの『サンデー・イン・ザ・パーク・ウイズ・ジョージ』の映像とか、
最高だったマシューボーンの『プレイ・ウイズアウト・ワーズ』の動き、、、
そういったものに近い興奮と驚きですね。

しかも「ともかく楽しい」雰囲気の中なので、ひたすら感動しました

さて。。。。その「感動」の質ですけど、、、

これは「ミュージカルの舞台」を観ている感動では無く、
「テーマパークのショー」を観ている時の感動に近いものだと思います。

つまり、夏劇場が、本格的な『マーメイドラグーンシアター』になった感じ(笑)

「ミュージカルの舞台」と「テーマパークのショー」の最大の違いは、
【登場人物の感情への理解】にあると思うのです。

同じディズニーのミュージカル『美女と野獣』や『ライオンキング』では、
野獣やベル、ムファサやシンバ、時にはサラビにすら感情移入できます。
『アイーダ』においては、ミュ―カル・ナンバーすらも台詞に思える程で、
ありとあらゆる場面で登場人物とシンクロすることができますし、
演じる俳優の、その内面の掘り下げによって伝わるドラマも変わります。
観る度に心洗われる感動、つまり「カタルシス」を得られます。

が、「テーマパークのショー」には余計な感情はありません(笑)
船内の騒動が密航者によるものであっても、
ネズミの船長が「OK」と言ってしまえば大団円。
観客が求めるのは「楽しくて、夢中になれる、美しいステージ」なんですよね。
テーマパークで「自分の来し方行く末」を考えたくないですし

もちろん、この『リトルマーメイド』にだって、
感情を織り込んでない訳ではありません(笑)
ですが、そんな事に拘っている必要はまったくありませんし。
「カタルシス」を越えた「幸福感」に包まれる事でしょう。

王子さまのエリック君が、
「ファミリー・ミュージカル」のような判り易さであっても、
海の王様・トリトン王の行動基準が単純であっても、
海の魔女・アースラが意外にヘタレであっても、
「フェミニズム」なんて運動がまったく無効であっても、
なんの引っ掛かり無いままに「あー楽しかった」言えてしまいますし、
「しあわせだ」という気持ちを得るには、それで充分だ。。。とも感じます。

ただ、ですから、舞台に出てくる俳優に課せられるのは、
「役を深く理解する」事では無くて、
「役を信じ切る」という感覚であったり、
自分が「音楽家の蟹・セバスチャン」である事から、
一瞬たりとも意識を逸らさない「集中力」でしょう。
なにしろ、劇場からそう遠くないところに、
S席より2,600円も安い値段で12時間も楽しめるパークがあるのですもの。

俳優も、あのパークのキャストの気分でいないと辛いかも(笑)

実際、そういった意味で、今のキャストは実に素晴らしいと思います。

なにより、ヒロイン・アリエルの谷原さんは、
表情も豊かですし、ともかく声質・声量ともにアリエルそのもの。
セバスチャンの飯野さんも、アースラの青山さんも、
「楽しくって仕方ない」というパフォーマンスでした。
あと、、、コックさん、楽しかったなあ。。。。

正直、物語のクライマックスと言うか、エンディングは、
冷静に観ていたら「ばかばかしい」と思えるものです(爆)
でも、それまでの140分の楽しさに麻痺してますから、OKなんです。

特に二幕に入ってからは、完全に「パーク・モード」で、
どの場面も、まさに「パークのショー」を観ている気分でした。
逆に言うと・・・・
もしも途中で夢から覚めるような事があると・・・・退席するかも

さて、、、そういったわけで『リトルマーメイド』は、
いままで「ミュージカル・プレイ」が苦手だった人には、
ちょっとした光明がある作品かも知れません。
「これだったら、子ども・恋人と一緒に来ても大丈夫」
と、観終わっても楽しいままでいられるかもしれませんね。。。

ともかく、ご家族そろって楽しめる、気持ちのいい作品だと思います。

【追記】

上演時間は、1幕は70分。
20分の休憩があって、2幕が65分で、合計2時間35分。

席ですが、少し後ろが良いかもしれません。
カンですけど、2階の最前列とか、最高かもしれませんね。

グッズはいろいろありましたが、、、小さなクマもいます。

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コメント

ぽんさん、コメントありがとう。

ほんとに、素直に「かんどー」できますよね。
とくに子どもたちには観てもらいたい作品だと思います。
これでミュージカルに入門してくれたらいいなあ・・・

実は先日、久しぶりに前日予約に挑戦しました。
週末のチケットで難しいかと思いましたが、奇跡のようにしてチケットが確保できて、新入学のお祝いとして従妹一家にプレゼントできたのです。

その新一年生の娘さんは、エリック王子のハンサムぶりに魅了されたようですし、従妹夫婦も観劇する楽しさを実感できたようです。

だからね、、、ほんとは、先にたくさん売りすぎなんだよね(笑)
極端な事を言えば、2階席は直前1週間前に売り出す、みたいなことがあっても良いと思うんだけどなあ・・・・

ま、ともかく、私はもうしばらくは行く予定がないので、次の発売を楽しみにしていましょうかね。。。。

投稿: みかん星人 | 2013年6月 6日 (木) 午前 12時37分

みかん星人さん、

お久しぶりです

とっても楽しいレポ&分かりやすい解説、ありがとうございます。

私も今日初めて観てきましたが、とにかく楽しくて、久しぶりの爆発的感動でした 明日にでもまた観たい!けど、チケットがもうないのが残念です。。。

「役を深く理解する」事では無くて、「役を信じ切る」という感覚、というのはすごく的確な解説だと思います。観ている側も、作品・ストーリーを理解するというより、その世界観に入っていって純粋に楽しむ、そんなミュージカルだと感じました

次回のレポ(解説?)も、楽しみにしています!

P.S.
「~が・・・であっても」の部分、笑ってしまいました。でも、否定はしません。笑。

投稿: ぽん | 2013年5月30日 (木) 午後 11時02分

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