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2013年2月16日 (土)

アトリエ・ダンカン プロデュース『教授』 @ シアター・コクーン

こちらの記事でも紹介されている『教授』を、機会を頂いて観てきた。

内容などに関しては公式でご覧ください。

「アトリエ・ダンカン」の公演は初めてだけど、
この『教授』の主演:椎名桔平+演出:鈴木勝秀の作品は、
レインマン』をグローブ座で見ている。

実は、そのグローブ座の舞台は、いまひとつ、な部分があったのだが・・・
さて、、、今回の『教授』は、どうなのか、、、楽しみにして行った。

本編は115分の作品。
本編終了後、5分の休憩に続いて、20分の「アフターライブ」というのがある。
そのラインナップがプログラムに掲載されてあるのだけど、
まさに「綺羅星のごときスター」のオンパレードだ。

特に初日には中尾ミエさんが『片思い』を唄われたそうで、
これは一番観たかったなあ。。。
他にも、山崎ハコさんが『織江の唄』を唄ったり、
園まりさんの『逢いたくて逢いたくて』、
福井くんが観に行った日には由紀さおりさんが『手紙』を。。。
今後も、17日昼は加藤登紀子さんが『ひとり寝の子守唄』、
20日の昼には石井一孝くんが『シクラメンのかほり』、
20日夜には木の実ナナさんで『私は街の子』、
21日は一青窈さんで『時代』、
23日昼には尾藤イサオさんが『ダイナ』、
そして24日千穐楽には上條恒彦さんが登場する。

この上條さんは、俳優としても登場してて、
かなりのサプライズもあるのだけれど、
そう、この舞台は、こうした「昭和の歌謡曲」が主要題材なのだ。

劇中では、中村中さんが弾き語りをしていて、
『アカシアの雨がやむとき』をはじめとする、
とてもとても素晴らしい楽曲を歌い上げる。

舞台そのものは、ストレート・プレイだけど、
こうして、昭和の歌謡曲に彩られることによって、
物語に特別なバイアスが掛かる事になる。

いろいろな舞台を観てきたが、
この『教授』は、私が思い描いていたひとつの理想に近い作品かも知れない。
既知の音楽を織り込むことで、初めて触れる物語の理解が深まるし、
登場人物の心象を、もちろん観客が勝手に、想像することもできる。

その、「観る側が勝手に想像できる」という部分は、
この『教授』の中でも話題にされる。即ち、
「簡潔な歌詞の中に聴き手が自分を投影できる事が歌謡曲の魅力」
であることを、この舞台そのものが利用しているという構造になっている。

また、『教授』というタイトルが示すように、これは大学の中での物語で、
その大学での「研究」の袋小路な感じも、とても魅力的だ。
物語が抱える「はかなさ」や「行き詰まり」を象徴している。

が、後半、急激な失速感があって、残念だった。
途中までは「いつまでも観ていたい」という気持ちでいたのだけど・・・
たぶん、前半に在った「物事を研究する・突詰める」ような展開が、
後半には「世俗とすり合わせ」になったことが理由なのだろう。

「象牙の塔」の中の物語が、「テレビのワイドショー」に汚されていった。

ただこれは、この物語がそもそも目指してる事だろうし、
劇中にも討議される「テレビの功罪」を映し出しているとは思う。
けれど、だからこそ、もう少し学問的な部分を際立たせてほしかった。

登場した俳優では、主要3人の一人、高橋一生くんが素晴らしかった。
発声の見事さ、間の上手さ、そして人物の成長ぶり、、、素晴らしい才能だ。
麗しの田中麗奈さんは、その「世俗」、つまり「兄」との絡みの中で、
もう少し違う側面が見てみたいと思ったけど、
まあ、ともかく、とてもとても可愛い、というか綺麗なので、楽しかった(笑)

40歳以上で、昭和の歌謡曲が大好きで詳しい人には、
ものすごくお薦めの舞台だと思う。
私も、いろんな余裕があったなら、21日辺り、もう一度行ってみたいものだ。

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