アトリエ・ダンカン プロデュース『教授』 @ シアター・コクーン
本編は115分の作品。
本編終了後、5分の休憩に続いて、20分の「アフターライブ」というのがある。
そのラインナップがプログラムに掲載されてあるのだけど、
まさに「綺羅星のごときスター」のオンパレードだ。
特に初日には中尾ミエさんが『片思い』を唄われたそうで、
これは一番観たかったなあ。。。
他にも、山崎ハコさんが『織江の唄』を唄ったり、
園まりさんの『逢いたくて逢いたくて』、
福井くんが観に行った日には由紀さおりさんが『手紙』を。。。
今後も、17日昼は加藤登紀子さんが『ひとり寝の子守唄』、
20日の昼には石井一孝くんが『シクラメンのかほり』、
20日夜には木の実ナナさんで『私は街の子』、
21日は一青窈さんで『時代』、
23日昼には尾藤イサオさんが『ダイナ』、
そして24日千穐楽には上條恒彦さんが登場する。
この上條さんは、俳優としても登場してて、
かなりのサプライズもあるのだけれど、
そう、この舞台は、こうした「昭和の歌謡曲」が主要題材なのだ。
劇中では、中村中さんが弾き語りをしていて、
『アカシアの雨がやむとき』をはじめとする、
とてもとても素晴らしい楽曲を歌い上げる。
舞台そのものは、ストレート・プレイだけど、
こうして、昭和の歌謡曲に彩られることによって、
物語に特別なバイアスが掛かる事になる。
いろいろな舞台を観てきたが、
この『教授』は、私が思い描いていたひとつの理想に近い作品かも知れない。
既知の音楽を織り込むことで、初めて触れる物語の理解が深まるし、
登場人物の心象を、もちろん観客が勝手に、想像することもできる。
その、「観る側が勝手に想像できる」という部分は、
この『教授』の中でも話題にされる。即ち、
「簡潔な歌詞の中に聴き手が自分を投影できる事が歌謡曲の魅力」
であることを、この舞台そのものが利用しているという構造になっている。
また、『教授』というタイトルが示すように、これは大学の中での物語で、
その大学での「研究」の袋小路な感じも、とても魅力的だ。
物語が抱える「はかなさ」や「行き詰まり」を象徴している。
が、後半、急激な失速感があって、残念だった。
途中までは「いつまでも観ていたい」という気持ちでいたのだけど・・・
たぶん、前半に在った「物事を研究する・突詰める」ような展開が、
後半には「世俗とすり合わせ」になったことが理由なのだろう。
「象牙の塔」の中の物語が、「テレビのワイドショー」に汚されていった。
ただこれは、この物語がそもそも目指してる事だろうし、
劇中にも討議される「テレビの功罪」を映し出しているとは思う。
けれど、だからこそ、もう少し学問的な部分を際立たせてほしかった。
登場した俳優では、主要3人の一人、高橋一生くんが素晴らしかった。
発声の見事さ、間の上手さ、そして人物の成長ぶり、、、素晴らしい才能だ。
麗しの田中麗奈さんは、その「世俗」、つまり「兄」との絡みの中で、
もう少し違う側面が見てみたいと思ったけど、
まあ、ともかく、とてもとても可愛い、というか綺麗なので、楽しかった(笑)
40歳以上で、昭和の歌謡曲が大好きで詳しい人には、
ものすごくお薦めの舞台だと思う。
私も、いろんな余裕があったなら、21日辺り、もう一度行ってみたいものだ。
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