『機械の眼 カメラとレンズ』展 @ 東京都写真美術館
東京ディズニーシーのアトラクションに、
「フォートレス・エクスプロレーション」というところがある。
「ザ・レオナルド・チャレンジ」という、比較的並ばないミッションがあったりして、
けっこう楽しめるのだけれど、、、ここに外の景色が見えるドームがある。
『カメラ・オブスクラ』という装置なんだけど、あれが「カメラ」の原点。
つまり「ピンホール・カメラ」というもので、
暗い部屋の中に、小さな穴からの光を入れて、壁に景色を写して楽しんだ。
やがて「レンズ」という眼が生み出されて、穴に装着され、
例えば(画家の)フェルメールが構図を考えるために使ったりもした。
そして、19世紀の前半に「感光材(フィルム)」が発明されて、
光を取り込んできた「箱」は、カメラとして進歩し始める。。。。
11月18日まで、恵比寿の「東京都写真美術館」で開かれているのが、
その「カメラとレンズ」をテーマにした写真展だ。
ピンホールカメラの穴にレンズが着いて、
それが、実は、意外な機能・効果を持っていて、
「写真」というものに様々な可能性を与えていった過程が、
この展覧会のメインテーマになっている。
つまり。。。。
レンズと云う眼を手にしたカメラは、まず、
「フォーカス(焦点)」の合致を手に入れた。
意図的に焦点をカッチリと合わせた写真が登場して、
それが次のテーマをもたらすことになる。
つまり、どこに焦点を合わせることにするのか、、、という事だ。
「パンフォーカス」と呼ばれる、
あたかもすべてに焦点が合っているような写真と、
逆に「ディファレンシャル・フォーカス」と呼ばれる、
たった一つのものに集中して焦点を合わせるという分化が始まる。
それは、つまるところ「被写界深度」ということになり、
それはやがてレンズの焦点距離の差をも意識するようになる。
つまり「広角レンズ」と「望遠レンズ」が登場してくる。
様々なレンズ、特に軽くてピントを合わせやすい広角レンズは、
カメラを固定されたアングルから解放した。
屋上や、飛行機からの撮影が可能となり、
人間が観たことも無いような景色が印画されるようになってゆく。
同時に、露光時間の違いによる変化にも注目される。
長時間の露光ができたり、逆に「瞬間」を捕えられるようになったり。
有名なミルク・クラウンの写真『ミルクの滴の小冠』も掲出されていた。
やがて、人工の光(フラッシュ、ストロボ)を手に入れ、
また顕微鏡の世界や、水中での撮影が可能になるとともに、
「写真」はますます芸術性を持つようになった、、、という事。
こうした歴史を、有名な写真とともに振り返るこの展覧会は、
けっして難しいものでは無く、ただ眺めていても楽しいもの。
特に「ライカの神様」と呼ばれた木村伊兵衛の作品が取り上げられていて、
改めて「スナップ」という概念が、写真だけでは無く、
人々の意識自体を変えて行った事をも感じられる。
(例えば、この写真も展示されている)
世界を詳細に、或いは意図的に切り取ってしまえる【眼】をもった機械が、
わたし達の日常をどう変えていったのかを感じ取れる、素晴らしい展覧会だ。
今度の日曜日まで、、、恵比寿のガーデンプレイスにて。
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