『アイーダ』 バックステージツアー
劇団四季の嬉しいサービスの一つに、「バックステージツアー」がある。
他の劇団で、こんな事をしてくれるところは、なかなか無い。
(以前『レ・ミゼラブル』で、宣伝を兼ねて、抽選制のがあった・・・落選)
バックステージツアーには、今までも何度となく参加した。
『オペラ座の怪人』、『キャッツ』(バックじゃないけどね)、
『コンタクト』、『春のめざめ』、そして『夢から醒めた夢』、、、
こうした作品が、どうやって創り上げられているのかを、直に感じてきた。
また、同じディズニー・ミュージカルの『美女と野獣』では、
「ディズニー・マジックのヒント」に触れられた。
『アイーダ』では、今まで数えきれないほどのイベントに参加したが、
今回のバックステージツアーでは、
その「ディズニー・マジック」を密かなテーマとして臨んでみた!
で、思いっきり内容に踏み込んで書いてますし、
「えー裏側なんか知りたくないよ~」と言う方も、ご遠慮ください。
いつもの様に、バックステージツアーのMCは舞台監督。
『アイーダ』の舞台監督は東さんで、なんでも、
「関西でのバックステージツアーのMCは、いつも東さん」
と思われるほど、何度もMCの経験があるそうだ。
語り口が軽妙洒脱で、とても楽しいイベントになった。
先ずは緞帳のお話。
どの作品よりも印象的なあの緞帳は、3枚組で出来上がっているそうで、
その3枚の機能が説明された。
よくみると、その瞳が「地球」になっているのだけれど、日本は無い(笑)
さて、緞帳が上がると照明に関するお話。
『アイーダ』は「トニー賞」を4つ取っているが、照明効果もその一つ。
天井に33基、左右に10基ずつの「ムービングライト」を設置。
さまざまな色を織り成す背景には207基のライトが置かれている。
その背景で、最も印象的なのが「ヤシの木」のものだろう。
(実は、みかん星人、あれはパピルスだと思っていた(笑))
上から「シルエット」が降りてきて、上手からはタラップが出てくる。
で、とあるタイミングですべてが止まると、
照明の加減で、シルエットの下がまるで「水面」のように見えてくる・・・
ここまでの芝居が凄いと、その瞬間に波音まで聞こえてきそうな程で、
『アイーダ』の中でも、特に好きな場面だ。
で、この「ヤシの木のシルエット」は、鉄製で、バトンから下げられている。
客席からはどこにも「釣り糸のようなもの」は見えないが、
舞台に上がるとその構造が解る。
話が前後してしまったが、
ツアーではこの「波止場の場面」までの舞台転換が順番に説明された。
冒頭の緞帳が上がると、何もない舞台、「基本舞台」が現れる。
(実は、この何もない基本舞台は、本番でも一度だけ出てくる!)
そこに、冒頭の博物館の装置が順番に運び込まれてゆく。
ほとんどの装置がコンピュータ制御によるもので、
基本的には『美女と野獣』と同じだ。
ただ、この博物館のシーンで、人力で動かされているものが一つある。
それは「洗濯女」のケースで、平たいロープで下手袖へと仕舞われる。
さらに、背景とも言うべき「ホルスの目の壁」が降りてきて博物館完成。
で、このホルスの目は、
アムネリスの歌に熱がこもるとともに燃え上がるのだけど、
その仕組みも説明された。
「キリン」と呼ばれる装置で、本当に炎があるように見える。
続いては、この博物館からラダメスの船への場面転換。
この日の録音を使って、だから朴アイーダと福井ラダメスの声で、転換。
ここからは「音声」のお話。
23人のキャストに25本の無線マイク。
多い2本は、動きの激しいアイーダとラダメスが2本装着しているとの事。
骨伝導の音も拾う事で俳優の声の響きまでも集音しているそうだ。
この音声に関することで、このツアーで知りたい事があった。
それはアムネリスがウエディングドレスに変わる時の事。
あの最後に、アムネリスが歌ったままで帽子を被るが、
その時、額のマイクぎりぎりに帽子の縁があるにも拘わらず、
被る雑音がしないことがずーっと不思議だった。。。。
で、スタッフに訊いたところ、、、なんと、
「俳優が練習を重ねて、慎重に、音がしないように被せている」
のだそうだ、、、だから、実は、時々雑音が出てしまう事があるらしい。
(かなり観てきたけど、私も福井狂さんも、雑音を聞いた事は無いヨ~)
続いては、ラダメスの船の船室の場面へと転換。
転換のきっかけは、あのディズニー・ミュージカルとは思えない台詞!
「俺にもっといい考えがある!」だ。
船が上がると現れる「船室」の部分は、船の中に畳まれた布を展開。
LKの太陽みたいなものだ(笑)
続いて、上に書いた波止場の場面へと転換する。
ここでも、今日の録音を聞かせてもらう。。。「忘れない事だ!」なんて!
さて、いよいよ、ステージに上がって、舞台裏を観て歩く。
その間、客席では、舞台監督の質疑応答が続く、、、これも、面白い。
『アイーダ』の装置・道具のいくつかは、福岡の開幕前に見学している。
その時に、実は「手錠」に触らせてもらったのだけど、よくできていた。
もちろん、そんなこんなのあらゆる小道具がほぼ全部見られた。
で!いよいよ、最も見たかった装置との対面。。。
それは「ラダメスの船」の模型。
この船には8人の漕ぎ手が居るのだが、
舞台から見えない側の漕ぎ手4人が、ミッキーマウスなのだ!!
(まあ、JCSの「アンナス」って感じなんだけどねー)
つまり、このアイーダにも「隠れミッキー」がいるってわけだ(笑)
(『美女と野獣』にも、隠れてる、、、LKでは未確認)
さて、アムネリスが立つ「ケース」もあった。
「Stature of Princess」という表題があって、
紀元前1962年~1928年(だったと思う)と書かれていた、、、34年間?
ほぼ4000年前という設定、「中王国時代」なんだなあ。。。
この頃のエジプトは、確かにヌビアの金を狙って南下していたらしい。
そんなに多くの遺物を知らないのだけれど、
そもそも「女性王族の像」というのが残っているというのが、
『アイーダ』を初めて観た時から不思議と言うか、疑問だった。
最近の研究で解った「ハトシェプスト女王」は、
その後継のファラオによって抹消されていた存在だったほどで、
「女性王族」に関して、あれ程に整った像があるというのは稀有だろう。
だからこそ、アムネリスの像に関してはいろんな事を想像してしまう。
「自分を模った」物を用意するという文化(儀式)があるようなので、
たぶん、彼女自身が自分の像を作らせることは可能だろう。
で、その像に、未来の二人が結ばれるための「魔法」とかを書いて、
(この『死者の書』の展覧会で、エジプトには多くの魔法があったと知った)
100回生まれ変わる間に、きっと結ばれることを願ったのではないだろうか?
もしかしたら、あの像の中には【アムネリスの手紙】が内蔵されてて、
そこには、
ラダメスへの思いや、アイーダと過ごした楽しい時間を綴っているかもしれない。
ともかく、二人が出会って、結ばれるその時まで、
アムネリスは二人と過ごした時間を忘れることなく、
その魂は、あの像とともに「その時」を待ち続けることにしたのだろう。
そういえば、どこかのイベントで、五東アムネリスが、
「棺が消えたその場所に星が点り、やがて多くの星の中に紛れてゆくその様を、
アムネリスは一人で見守り続けるんですよね」
という事を話していた。
イベントにも拘わらず、みかん星人は本番を観ているように感動した。
さて。。。。
本当は、舞台監督の「質疑応答」も書いてみたいのだけど、
余りにも長いので、また機会が有ったら、、、にしよう。
そうそう、、、一つだけ。
アムネリスの「プール」だと思っていたあれは、お風呂、スパだそうだ。
前回の海公演までは、少なくとも、スパで泳ぐ俳優が居たのだけど、
今回の秋劇場では、泳ぐ人が居ない。
・・・これ、質問に書いたんだけど、採用されなかったなあ(笑)
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コメント
ぽんさん、コメントありがとう!
観劇ポイント、、、ぽんさんも見つけて、教えてください(*^^)
問い掛けは、、、メレブのセリフですか?
えっと。。。もう少し、待っててください(笑)
(「メレブ だれをみた」で検索すると、出てきますよ・・・たぶん)
投稿: みかん星人 | 2012年8月10日 (金) 午後 07時52分
Pさん、遠慮なく続けてください。
友石くんのラダメスは、2004年の11月~12月だったようですね。その頃は「貸切」も多かったりして、なかなかチャンスが無かったと記憶しています。ただ、その期間中に一度イベントが有って、その関係でブログや、当時はまだよくあった「ホームページ」にいつくか記事が残っているようですね。
台詞に関しては、あとから考えるとよく解らないものがいくつかあります。
一番謎のままなのは、ラダメスがゾーザーに向かって言う最後の台詞。。。んー、ニュアンスはなんとなく分かるのですが、謎です。
いよいよ東京の『アイーダ』も週末を残すのみですね。
千穐楽も完売してくれると嬉しいのですが・・・
投稿: みかん星人 | 2012年8月10日 (金) 午後 07時48分
みかん星人様、
次回の観劇ポイント、ありがとうございました

でも・・・
みかん星人さんから問いかけ?が、全く分からず、また悶々としています(笑)
私も長々引っ張ってしまって、本当に申し訳ないです
が、考えてみるものの、本当に分かりません(涙)
気が向いて、時間がある時で結構ですので、
また教えて頂けたら、嬉しいです
投稿: ぽん | 2012年8月 9日 (木) 午後 11時45分
長々この記事を引っ張ってしまってスミマセン…
大先輩ブロガーさん、商売としてるブロガーさん、そしてこちらのブログは福井さんファンになってから欠かさず拝見させていただいております♪(コメントはしたことないのですが)
確認したら大先輩ブロガーさんは2005年から書き始めたようなのですが、友石さんが出演されたのは大阪初演だけだったようで(しかも14回!)、そもそも記載が無いようでした…残念。
でも私も気になっていたメレブの上記台詞、こちらのブログで解答がわかりスッキリしました!
やっと福井ラダメスネタがわかるようになったので(笑)、遡って読ませていただいております。
投稿: P | 2012年8月 9日 (木) 午後 01時05分
ぽんさん、、、だと思っていましたよ
次回の鑑賞ポイントは、そうですねー。。。
例えば、ヌビアの収容所には「赤ちゃん」がいるんですけど、そのママに時折寄り添っている、今なら脇坂さんかな、は、実は「パパ」ではなくて「伯父さん」なんだそうです。
ゾーザーの手下がアイーダを探しに来た時の悶着の時の、彼の動きにも注目してください。
ヌビアといえば、ネヘブカの存在も注目ですね。
ラダメスから果物などを貰ったと報告するとき、彼女は仕えているアイーダを呼び捨てにします。もちろん、あそこで「アイーダ様」等と呼べはしないのですが、もう一歩踏み込めば、二人はいつもそうやってファーストネーム(と、当時言っていたとは思えないけど)で呼び合う仲だったのかもしれませんね。。。だとしたら、アイーダが最初にアムネリスと出会った時の行動にも、もっと深い意味が出てきます。
そうそう、もう一人のヌビア人狂言回し、メレブも、ひとつ、面白い台詞を言います。
「アイーダ!誰をみていたって・・・・」と、途中で言葉が消えてしまいますが、さて、このメレブの台詞は、どういう意味なのでしょう
投稿: みかん星人 | 2012年8月 8日 (水) 午前 12時26分
Pさん、、、そうですか、友石くんでしたか。。。
友石くんのラダメスは、観ることができませんでした。
同じ「福井さん大好きブロガー」の大先輩さんが、今年の頭にブログを止めてしまわれたのですが、その方は総てのキャストをご覧だったハズですので、記事が残っているかもしれませんねー。。。この右にあるリンクで探してください。
ほとんどの衣装は、たぶん、俳優さん達の楽屋に置いたままなのだと思います。将軍服のところで、私も「福井さんのは?」と質問したところ、楽屋にあるというお答えでしたので。
で、よく知らないのですが、ああいった衣装って、洗濯ってどーしているんでしょうね・・・まだまだ質問したいことはありますね(笑)
投稿: みかん星人 | 2012年8月 7日 (火) 午後 11時56分
Pさんの後のコメントは、私、ぽんでした。
隠れミッキーに衝撃を受けて、名前を書くのを忘れてしまいました

失礼致しました・・・
砂埃の謎を解明して下さり、ありがとうございました!
すっきりしました~
そうだったのですね~
アイーダの音楽やストーリーはもちろん、
照明やセットもとても美しくて、大好きです。
今回は将軍様ばかり目で追ってしまいましたが(笑)、
次回エジプトに行く時は、スモークにも注目してみます。
本当にありがとうございました
投稿: ぽん | 2012年8月 7日 (火) 午後 10時56分
コメントありがとう、、、えっと、誰だろう
隠れミッキーは、7月号の『ディズニー・ファン』で紹介されていました。もちろん写真も掲載されています。
砂埃は、舞台に開いている穴から「スモーク」を立ち上らせて、それにライトを当てることで演出しているとの事。
いつだったかのリハーサル見学会で、この場面のリハーサルを見せてもらった事があります。その日のアイーダは濱田さんでしたが、この場面では「乾いた大地を意識しよう」というような事を話していましたっけ。。。
投稿: みかん星人 | 2012年8月 7日 (火) 午前 12時35分
ええ”-!? アイーダに隠れミッキー!!??
ちょっと衝撃的でした、、、
そして、見たかった、、、笑。
コメントで「砂埃」のお話が出ていましたが、、、
「ローブのダンス」で、ヌビアの民のダンスが始まると、何度見ても、砂埃がたっているように見え、いつも鳥肌がたちます。あれは、証明の効果なのでしょうか?それとも、、、、ほこり?(そんなことないと思いますが、笑)
ずっと気になっていて、、、
何かご存知でしたら、教えて頂けないでしょうか?
投稿: | 2012年8月 6日 (月) 午後 11時48分
度々失礼します。
本日のトークイベントは豪華でしたね!
まさか福井さんが登場されるとは思わず、ものすごい得した気分です
メイン5人なんて、劇団の本気を見たようです(笑)
ディズニーの許可!
さすがみかん星人さん、一歩踏み込まれたご質問!
スモーク、客席からお姿拝見してました(笑)
将軍様の衣装は友石さんのだそうです。最近まで出演されてたことを知りませんでした。衣装さんが「比較的きれいなので飾ってあります」的なことを言ってました。
そういえば衣装はほとんどありませんでしたね。クリーニングかな?
投稿: P | 2012年8月 5日 (日) 午後 11時40分
Pさん、コメントありがとう。
この劇団のイベントは、俳優のファンではない「演劇のファン」にとっても、楽しみの多いものですね。
今日、8/5も、トークイベントですが・・・・わくわく
ミッキーは、出会ってみると「まあ・・・こんなミッキー」という感じでしたねー
スパで泳ぐ人を出さないのって、デイズニーの許諾は得ているのかなあ・・・イベントで訊きたかった(笑)
アモナズロは、たぶん、いませんよね。。。川原さん(アモナズロもゾーザーも演じられましたね~)だと、晩餐会の後ろに立っていると、「すわ、暗殺者か」という気配で、目立ってました
スモークの回答の時、ちょうど舞台でその砂埃を吸っていたのが、、、わたしです(笑)
そうそう、、、あの将軍服、ちょっと小さめでしたよね・・・・あの人のでしょうか。。。
投稿: みかん星人 | 2012年8月 5日 (日) 午前 09時56分
私も「春のめざめ」以来2度目のバックステージツアーでした。
とても充実していましたね!
事前に隠れミッキーのことをお聞きしてたので確認する事が出来ました。
ありがとうございました!LKは以前TV番組で紹介していましたね。
スパの泳ぐ人、アモナスロ王の役者さん(海劇場では晩餐会で上半身裸で立ってましたよね)、私も気になってました。劇場が小さくなったからアンサンブルさんが少なくなったり、立つ場所が無くなったのかな、と勝手に思ってました…
ちなみに監督に最後に読まれた質問、私です(笑)
砂埃(?)の仕組みについて。他にもたくさん書いたのですが時間切れでした(泣)
台詞についても色々聞いてみたいなぁ~
1つ残念だったのは、飾られた将軍様の衣装が福井さんのではなかったことでしょうか…(笑)
明日(もう今日ですね)のオフステージトークも楽しみです!長文失礼いたしました!
投稿: P | 2012年8月 5日 (日) 午前 12時27分