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2012年7月30日 (月)

『アイーダ』 続・セリフについて、あれこれ。。。

『アイーダ』という作品が、ミュージカル・プレイなのに、
意外と台詞が重要だ、というお話、の、調子に乗って、その続き。

Aida9

ので、またしても、
これから観る人や、「余計なお世話」と言う方は、ここまででござるsmile

前回の終わりに取り上げた、アムネリスの寝室での、

 『お父様のお加減はいかがでございますか』

というアイーダの台詞について。

古代エジプト(に限らないけど)は、とても階級が明確な社会だ。
『アイーダ』にも、それはよく描かれていて、
「今は卑しい奴隷の身」といった表現がある。

これは、アムネリスとアイーダが初めて会う場面にもあって、
アイーダが、王女様からの問い掛けに、直接返答し、場を凍らせていた。

そんな社会の状況(常識)の中・・・・
では、さて、異国の、奴隷の身の侍女が、王女に向かって話す時に、
お父様」という言葉を使うだろうか?

ここは、普通、常識的には、
「ファラオのお加減」であったり、「王様のご様子」と言うものだろう。
百歩譲っても「お父上のお加減はいかがでございますか」だ。
 (一幕最後の場面には、庶民からではあるが、「お父君」という言葉がある)

けれど、アイーダは、
アムネリスの父を「地位の呼称」では無く「お父様」と呼び、
アムネリスは、それを少しも気に掛けず、普通に会話を続ける。

寝室のこの会話から、
「アイーダは、アムネリスを権力者の娘ではなく、
 家族を愛して心配する、自分と同じ人間として観ている」
という事と、
「アムネリスにとって、アイーダは、不思議なほどに私を理解し、
 支えてくれる、心許せる女性、友人である、と感じている」
という事が伝わってくる。

実際、この二人は、その世界を見渡しても、
互いに分かり合えるほとんど唯一の存在であり、
もし、戦時下でなければ、ステキな友好関係を築いたとも想像できる。

ここでのこの交流が、その後『迷いつつ』の入り口となるし、
やがて二幕のクライマックスでの台詞へと繋がってゆく。

 

さて、この「アムネリスの寝室場面」そのものが、
『アイーダ』が普通のミュージカルとは違う事を示していると思う。

『儚い喜び』と『ローブのダンス』という大きな曲に挟まれたこの場面は、
本来、形式上は、「息抜きの場面」として存在する。
 (アンサンブルの着換えの時間、、、とも言えるけど(笑))
「息抜き」なので、実際、笑える台詞も用意されていて、
日本ではあまり笑いが起きないものの、
ブロードウェイでは大きな笑いが起きる場面らしい。

この、形の上では「息抜き」である場面が、
実は、『アイーダ』の物語を最も大きく動かしている事が、とても面白い。

そもそも、主役の3人が直に向き合う場面は、ここしか無いのだ。
 (裁判の場面もあるけどね。。。そこもまた、歌では無い事に注目!)

アムネリスの寝室で。。。

ラダメスは、自分の決意をアイーダに伝える。
 (もし歌なら『はやく王様になりたい(LK)/ラダメス・バージョン』)

アイーダは、そんなラダメスに触れて、自分の道を模索する。
 (もし歌なら『私じゃない(ウイキッド)/アイーダ・バージョン』)

そして、アムネリスは、ラダメスの心が見えなくなり、
やがて「知らない事が、たくさんあるのね」と、気づく事になる。
 (もし歌なら『オン・マイ・オウン(レミゼ)/アムネリス・バージョン』)

こうして、それぞれが社会的な立場を強く自覚したものの、
それでも、
ラダメスとアイーダの関係は止まらずに深まってゆく。。。その起点。

こうした、とても重要な場面が(ほとんど)台詞で綴られる点を観ても、
『アイーダ』が俳優に求める「役者としての資質」が深い事が解る。
 (アムとアイーダの小さなデュエット曲も、可愛いんだけどね)

 

ところで、、、以前の『アイーダ』のプログラムをご存じだろうか?

いつからか(前回の東京公演かな)その表紙がブラウン系になり、
今回の東京公演では、印象的なパピルスの影絵がモチーフだけど、
以前のプログラムは、美しく煌めく青だった。

それは、たぶん、このアムネリスの寝室の壁紙がモチーフだったのだろう。

舞台に一度だけの、しかも地味なこの場面の背景が、表紙になっていた。
それは、この場面がいかに重要であるのかを表現していたのかもしれない。

 

さあ、今週も、我らが福井ラダメスが続投するようだ。。。
あと13回、、、平日マチネが多いけど(笑)イベントもあるし、
どんな台詞の響きを聴かせてくれるのか、とてもとても楽しみだ。

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コメント

みかん星人様、

昨夜は、エジプトに行っていたので、
お礼が遅くなってしまいましたが、、、sweat01

リクエストに応えて下さり、
本当にありがとうございました!!!!!!!!

自分では、気が付けないけど、
読んで、「そうだったのかー!」と、目からうろこflair

みかん星人さんの解説(分析?)のおかげで、
昨日の観劇は、より心に深く響きましたshineshineshine

調子に乗って、、、もう一つお願いしてもいいですか?笑。

ぜひ「アイーダのあれこれ」のシリーズ化をして頂けたら嬉しいですconfident

長文失礼致しましたsweat01

投稿: ぽん | 2012年8月 1日 (水) 午後 11時20分

ぽんさん、、、、

と、言うわけで、シリーズ化は無理ですので(笑) バックステージツアーの記事を、とりあえず、上げてみました。

あと、今ではちょっと間違いがあるのですが、過去に【アイーダ・クイズ】というのを書いてます。で、それはちょっと「あれこれ」かと思います。

今後とも、疑問など、一緒に考えてみたいと思いますので、どんなに長くても、短くても、コメントを楽しみにしておりますcatface

投稿: みかん星人 | 2012年8月 3日 (金) 午前 10時33分

「と言うわけで」、、、とは、どういうわけで?笑。

シリーズ化にならないのは残念ですが、
バックステージツアーの記事、ありがとうございます!
嬉しいです~confident

【アイーダ・クイズ】というのもあったのですねshine
さかのぼって、読ませて頂きますshine

投稿: ぽん | 2012年8月 6日 (月) 午後 11時29分

ぽんさん、、、

「と、言うわけで」というのは、
「大人の事情で」と云った意味でしょうか・・・けっして、ネタが無いとか、
「もう、支援する事もないだろう」
なんて事では無いと思います。。。。たぶん。

と、いうわけで、、、今夜は「オフステ」の記事ですsmile

投稿: みかん星人 | 2012年8月 7日 (火) 午前 12時18分

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