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2012年7月28日 (土)

『アイーダ』 @ 四季劇場 秋  セリフについて、あれこれ。。。

こうして、東京の『アイーダ』に、福井ラダメス将軍が登場し、
その朗々たる台詞に接し、改めて、
「やっぱり『アイーダ』は素晴らしい」と、再確認している。

『アイーダ』という作品は、
エルトンジョンのメロディーが美しいミュージカル・プレイではあるけど、
物語は、意外にも、ストレート・プレイのように「台詞」で展開される。

この記事では、その「台詞」について、書いてみよう。

Aida5

これから観る人や、「余計なお世話」と言う方は、ここまででござる

ミュージカル・プレイの、ひとつの理想として、
「すべてが音楽(歌)で語られる作品」というのがあると思う。

その典型が『レ・ミゼラブル』だっり『アスペクツ・オブ・ラブ』だろう。
今回の秋アイーダが登場していた『エビータ』もまた、音楽だけの作品。
『RENT』は台詞も多いけど、音楽が物語を進める傑作だ。

その一方、
ミュージカル・プレイながらも、歌われるのは、物語では無く、
その一瞬一瞬の心情であったり、情熱であったり、夢である作品もある。

その、とてもわかり易い典型が、『春のめざめ』だろう。
制作者が、記者会見で、この作品の音楽を、
「今、その瞬間の、魂の叫びを、舞台の時間を止めて客席に伝える」
ための手段だと言っていた。

そして、この『アイーダ』も、実は、歌は物語をあまり進めない。
しいて言えば『ローブのダンス』か、、、あれは、歌の中で決意をする。

ともかく、故に『アイーダ』は、実は台詞がとても大切な作品だ。

そして、だからこそ、俳優の資質や背景で、物語が変わってしまう。

Aida6

例えば、、、冒頭の船内における、ラダメスのこの台詞、、、

  『私のがある、、、遠慮は要らぬ』

ラダメスに敵対し、頑なで、彼をまったく認めていなかったアイーダが、
この台詞で、少しばかり、クールダウンする。
そして、観客は、アイーダが、
「このエジプト人は、私が知っているエジプトの男と、少し違う・・・」
と思っている事を感じ取る。

もし、この台詞にメロディーがあって、歌い上げていれば、
この台詞のニュアンスはメロディーに固定されて、予感は消える。
台詞だからこそ生まれる、観客が感じる予感。
では、その予感とは、何だろう。。。、、
それは、実は、その俳優(ラダメス役)によって、変わってしまう。

エリートの余裕とも、自信とも、傲慢ともとれる。
自分の武芸に自信があるとも、アイーダの行動を見たいともとれる。
女性に対して余裕があるようにも、見下しているようにもとれる。

こうした「ラダメスに対する印象」は、
もちろんその場での台詞の言い方が大きく寄与する。
声の張り、音程、スピード、抑揚、イントネーション。。。。
(頭の中でシミュレーションすると面白いよぉ、この台詞のバリエーション)

それとともに、俳優の経歴を知る者は、そこに他の役の影をみたりもする。

 気まぐれ猫だったり、リーダー猫だったり。。。

 戦争に疲れ果てたオプチミストのギリシャの英雄だったり、
 軍の力を政治に利用して成り上がった南米の大統領だったり。。。

 優しくなかったばかりに辛い日々を送る古城の王子様だったり、
 優しすぎて、そして強すぎて、だからこそ息子と別れた王者だったり。。。

 アメリカの底辺で地道に生きようとした夢見る青年だったり。。。。

こうした背景を感じることができる事、、、これが『アイーダ』の大きな魅力だ。

他にも、ラダメスのセリフには・・・
分からないのか」とか「寒いのか」とか
全部嘘だったんだ、芝居だった、すべての言葉が」とか(笑)
演じる俳優次第でニュアンスが大きく変化する台詞があって、楽しいし、
だからこそ、実力のある俳優に演じてもらいたいのだ。

 

一方、もちろん、アイーダにも、重要な台詞がある。

ここで、
気づきにくいが、とても重要な意味をもつ台詞を書き出しておこう。

それは、アムネリスの寝室での、アイーダの台詞。

 『お父様のお加減はいかがでございますか』

これは、私も初めの頃は逃していたのだけど、
アムネリスとアイーダにとってはとても重要なセリフだと思う。

さて、どういった意味で重要なのかは、
ここまで読んで下さるようなコアな人には分かると思いますので、
あえて書きません(笑)

ともかく、ミュージカルでありながらも、
台詞がとても大切な作品である『アイーダ』。
さあ、あと何度、その物語に陶酔できる事だろうか。。。。

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コメント

肩こりママさん、コメントありがとう。

観劇の大きな楽しみに、
「あの俳優さんが、今度はこんな役!」
というのがありますね。

福井さんが、これからどんな役で出てくるのかわかりませんけど、とりあえず、東京でムファサしてほしいです(笑)

投稿: みかん星人 | 2012年8月 2日 (木) 午後 08時03分

台詞と音楽について
そして役者に他の役の影を見る

まさに同じく感じています
そして現在の福井さんだから演じられるラダメスがあると思います
在り続けて欲しいと…

実年齢に近いラダメス
そんなラダメスのご登場がもちろんあってほしい
そして福井ラダメスも感じて欲しい
そんな比較も観劇の醍醐味でしょうね
そういう比較はあって 私の中では以前の福井ラダメスと現在の福井ラダメス
どちらもアリなので比べてどうのこうのという思いもありません

貴重なものを観劇できました!
そして思うのですよね~
現在の福井さんならジャンバルジャンがぴったりだと!
近日新キャスト発表とありますが なかなか東宝の公式でキャスト発表がありませんね~

投稿: 肩こりママさん | 2012年8月 2日 (木) 午前 12時27分

と、いうわけで、ハイタカさん。。。お待ちしています。

投稿: みかん星人 | 2012年7月31日 (火) 午前 12時14分

Pさん、コメントありがとう。

「もう、、、大切なキスだったのにぃ。。。いけずぅ」
ってところでしょうかねー

ともあれ、なにをしても可愛い福井ラダメス。。。
機会を逃しませんように!

投稿: みかん星人 | 2012年7月31日 (火) 午前 12時14分

ぽんさん、コメントありがとう。

と、いうわけで、続編用意しました。

投稿: みかん星人 | 2012年7月31日 (火) 午前 12時11分

初福井ラダメスに観劇…もそうだけど、感激している毎日です。

「…そして、キスも…」がなんとなく乙女に聞こえるのは私だけでしょうか?
あのタメとか、大事そうに言うところが…
いや、ステキなんですけどね

なかなかクマくん達に遭遇できなくて残念です。
なぜラダメスくんはミニ版なのでしょう??

投稿: P | 2012年7月30日 (月) 午前 01時32分

>さて、どういった意味で重要なのかは、、、あえて書きません(笑)

そこをあえて、書いて頂きたい(笑)

将軍様に悩殺されていっぱいいっぱいなのと、
まだそういった分析力がないので、、、

ぜひ聞かせて頂きたいです

投稿: ぽん | 2012年7月29日 (日) 午後 11時31分

そうなのです!曲の中でアイーダの変化、ラダメスの変化が感じられるというか、時間を感じる曲がすきで迷いつつ何かは、歌ってないアイーダの変化に泣けちゃうのも。アイーダ観たいなあ

投稿: ハイタカ | 2012年7月29日 (日) 午後 11時19分

ハイタカさん、コメントありがとう。

もう一曲、『迷いつつ』の途中でも、アイーダが意を変えたりしますので、物語を動かす曲かも知れません。。。。

ともかくも、曲だけ聞いていると、「その場面」を鮮やかに思い起こすとともに、次の曲へとつながる場面の台詞を、脳内で、補完していますよね。

さて。。。火曜日も、行けるかな・・・・

投稿: みかん星人 | 2012年7月29日 (日) 午後 10時48分

なるほどなと。
アイーダを聴きながら通勤していて、曲と曲の間を補完している自分がいて、その壮大なドラマにやっぱりみたいな~ってなってたのですが、でも東京に本当のアイーダというかラダメスが君臨したのは、嬉しいことです。
アイーダ。リピートしたくなりますよね

投稿: ハイタカ | 2012年7月29日 (日) 午後 08時55分

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