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2012年7月21日 (土)

『ウエスト・サイド・ストーリー』 @ 東急シアターオーブ

なんだかんだ言いながら、『ウエスト・サイド・ストーリー』は、何度も観ている。

もちろん、一番見ているのは、劇団四季の『ウェストサイド物語』。
3年前には、ワールドツアー版の『ウエスト・サイド・ストーリー』を観た。
当然、映画館でも観ている(笑)

そして、この夏、新しくオープンした劇場の杮落し公演に行ってきた。

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劇場に関しては後述するけれど、
ともかく、ワクワクさせられる空間だ。
なにしろ、東京国際フォーラムのあの雰囲気が、
渋谷の夜景の中に浮いているのだから。。。

先ず、基本データ(笑)
1幕は、1時間20分(<実質、、、この日は5分遅れでスタートで85分)
20分の休憩の後、2幕は45分!
ただし、魅力あふれるカーテンコールがあって、
席を立つまでには、あと10分ほど余分に掛かる(笑)

さて、、、今回は、内容に踏み込みまくりなので、
これから、という方は、ここまででござりまする。

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「48年ぶりのブロードウェイ版上演」

ということが宣伝されているし、
チケットが売れている理由も、新しい劇場の魅力だけでなく、
この「オリジナル演出」が観られるという部分も大きいだろう。

で、その、オリジナル演出版は、驚くほど「劇団四季版」に似ていた(笑)

それは、大道具などの配置から、俳優たちの衣装デザインまで、
 (トニーくんのジャケットの色が違っていたか・・・)
言葉と人種だけが違う、と言って良いほどに、同じだ。

ただ、もちろん、全く同じではない(笑)
なにしろ、上演時間の短さが物語るように、
このオリジナル演出版は、とてもテンポよく展開する。
 (2009年のワールドツアー版も、短かった・・・)

先ず、オーバチュアが無い(ので、開幕前の楽団員の「マンボ!」も無い)
トニー君が磨いている「ドクの店」の看板のデザインも全く違う。
トニー君が体育館にやってくるのが早いし、
彼がマリアを追いかけて、『マリア』を唄って、マリアと再会するまでが、
流れるように展開してゆく(笑)
もっと凄いのは二幕で、
『サムウェア』では、なんと、エニィボディズが、あのアリアを唄うし、
somewhereが悪夢へと変わってしまう部分も無い、、、
 (だから、リフもナルドも、二幕には出てこない!!)
「ドクの店」の地下は、一瞬で路上になってしまうし、
ラストシーンに『ハムレット』の様な儀式は出てこないのだ。。。

ちなみに、このラストに関しては、
「劇団四季版」がもちろんオリジナルそのままなんだけれど、
今回の公演プログラムで、その変更意図に関して書かれている。
詳しくは、2,000円で買って読んで下さい。

そうそう、プログラムを読んで分かったのだけと、表記が違う、、、
劇団四季版は『ジェット団とシャーク団』なんだけど、
この公演では『ジェッツ団とシャークス団』という事になっている。

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と、まあ、細かい事を書いてきたけれど、
そしてまた、相変わらず、みかん星人は、この物語が好きになれないけど、
今回の舞台では、今まで以上に、この物語の「悲しさ」と向き合わされた。

その、最大の理由は、言語だと思う。
この「2009年ブロードウェイ版」とも言うべきWSSは、
シャークスの使う言葉がスペイン語であることが、特に注目された。
 (2009年のトニー賞で、リバイバル・ミュージカルにノミネートされた)

シャークスのメンバーがスペイン語で話し出すと、
舞台に思わぬ「臨場感」が生じてくる。
アメリカに移住しながらも、アメリカ語を自由に話せない苛立ちや、
そしてもちろん、アメリカに染まりたくないというプライドが、
「やるせない思い」として、明確に、痛烈に、伝わる。

これまでも、この物語を見るたびに、
「ダンスが好きで、上手くて、仲間思いで情熱的な少年たちが、
 どうしてこんな最悪の方向へとしか進めなかったものか・・・」
と、ほんとに胸が締め付けられる思いをしてきた。
が、今回、片方がスペイン語を話すことで、
一層強く、胸が潰れるような思いをさせてもらった(笑)

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分かり合える手段であるハズのダンスや歌すら機能しなかったこの物語は、
だからこそ、改めて、ものすごく嫌いだと、そう書いておこうと思う。

8月5日まで、渋谷で上演している。
チケットは残り少ないようだけれど、
演劇が持つ、強烈な「カタルシス」に打ちのめされたければ、ぜひ!

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コメント

おとみさん、コメントありがとう。

不可能とは思いますが、、、劇団四季の劇場規模(きっと『海』)で観たいなあ。。。と思いました。小屋が広すぎるんですよね、この作品にしては。

問題は、オケが入らないところですか(笑)

投稿: みかん星人 | 2012年9月30日 (日) 午後 11時52分

みかん星人さま
テンポが良かったのと、アイ・フィール・プリティと拝啓、クラプキ巡査殿がゴキゲンでした。オーバチュアがないのと、抗争のダンスに緊張感を欠いていたのが気になりました。
若くて歌上手っていいですね。

投稿: とみ(風知草) | 2012年9月28日 (金) 午後 10時42分

そか、、、劇場について、書きそびれた。。。

「シアータオーブ」は1,972席の比較的大きな劇場だ。
「オーブ」とは「天球」の事で、かつてあった五島プラネタリウムへのオマージュと言う事らしい。また、かつて有った劇場に掛かっていた、ル・コルピジェがデザインした緞帳のミニチュアも掲示されている。

入っている建物は、これまた話題の「ヒカリエ」なのだが、このヒカリエの建物自体が、とても素晴らしい。渋谷に集まる多くの電車の駅との連絡が良いうえに、それらを利用する「通行者」と、ヒカリエのテナントを利用する「買い物客」の動線が、上手に分離されているのだ。


そのコンセプトは、劇場にも適用されている。劇場だけを目指す為のフロアーがメインロビーに用意され、そこから2基のシャトルエレベーターが、レストラン街と劇場へ急行してくれる。各階どまりのエレベーターも4期あり、それほど待たずに劇場の入り口に到着できた。

もちろん売り場の方にもシャトルエレベーターがあって、こちらはシースルーで実に美しい。

おかげで、劇場への到着と、劇場からの退場が、とてもしやすい・・・大阪の四季劇場も交通機関との連絡は良いが、このエレベーターシステムは見習ってほしい。


内部もガラスと円錐を多用した、少々幻惑的な構造となっているが、移動してみるとさほどの混雑も無く移動できる。
トイレの行列が酷い、、、という事は無かったみたいだけど、一方通行ではない点が残念かもしれない。


劇場の2階部分のホワイエにはラウンジが有って、飲食が提供されている。東京国際フォーラムやオーチャードホールにもあるが、オーブのラウンジは、なんといってもその景色に魅了される。まさに「渋谷の街に浮いている」ような感じだ。劇場には、ぜひとも休憩時間を長くする工夫をしてほしい(笑)


渋谷駅から雨に濡れることなく到着できるし、つまりはいくつかのホテルからも空調の中を歩いて行ける。だからこそ、観劇の際には少しばかりお洒落して、舞台の感動とともに「その場にいる」ことを楽しんでほしい、、、そんな場所だ。

投稿: みかん星人 | 2012年7月23日 (月) 午後 05時56分

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