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2012年6月24日 (日)

『知れば知るほど面白い ツタンカーメンと古代エジプト王朝』

『アイーダ』東京公演応援プロジェクト、かもしれない。。。。

こういう本を、最近読んだ。

古代エジプト3000年の歴史を、
歴代のファラオを軸にして新書サイズにまとめ上げた本で、
著者の近藤二郎氏は、早稲田大学文学学術院の教授。
「王家の谷」でのフィールドワークを長く続けてる先生なので、
ツタンカーメン王が即位していた【新王国時代】に関して、特に詳しい。


知れば知るほど面白い ツタンカーメンと古代エジプト王朝 (じっぴコンパクト新書)

  • 近藤二郎
  • 実業之日本社
  • 800円

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書評

新王国時代】というのは、紀元前1550年から紀元前1070年までの事で、
古代エジプトの黄金期と言われているそうだ。

で、このブログ的に言えば、その【新王国時代】の花形、
「ファラオの中のファラオ」と呼ばれる『ラメセス2世』こそが、
我らがラダメス将軍のモデルであり、
つまりは、ミュージカル『アイーダ』の時代背景なわけだ。

この本では、いつくか「ほほー」と思う事があった。

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いちばん感心したのは、
「当時のナイル川に、滝なんてあるのか?」という疑問への答え。
この本には、いつくかの(手書きではない)地図が載っていて、
その中に「第一急淵」「第二急淵」というポイントが書かれている!

つまり、この「第二急淵」こそが「二番目の滝」の事だと思うし、
地図によると、そこはもう「ヌビア」の土地だとある。
「イカイタ」という村の事は、もちろん、書かれてないけれど(笑)

さて、「第一急淵」は、アスワンという当時のエジプトの最南端付近で、
ここが後(1950年代)に「アスワンハイダム」となるのだけれど、
ダムの建築によって水没する事が分かって、
その遺産の救済事業が「世界遺産」のきっかけともなったのが、
ラメセス2世が建てた『アブシンベル神殿』だ。

この神殿は、だから、「ヌビアの地」に建築されている。

ラメセス2世は、この『アブシンデル神殿』に限らず、
いくつもの神殿をこの「ヌピアの地」に作った。
『アイーダ』好きな者からすれば、その理由をいくつも妄想するけど(笑)
この本には、ちゃんとその理由も書いてあって、とてもわかり易い。

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『ラメセス2世』は、だから、けっして、
「ファラオの玉座に縛り付けられ」ていたのではないし、
向かったのも南方のヌビアだけでは無く、北東へも進出し、
まさに「ヒッタイト族」とも交戦している。
しかも、
この対ヒッタイト戦では、騙し討ちに遭って窮地に立たされるのだが、
彼はたった一人で、敵の戦車2500台を撃破したとまで伝えられている

さらに「出エジプト」の時のファラオも、ラメセス2世だという説もあるとの事。

他にも、同じ【新王国時代】の王女が、
実は、動脈硬化で亡くなっていた事が解明された、なんて記事もある。
「庶民はビール、貴族はワインを飲んでいた」なんて話も載っているが、
ともかく、当時の食生活は、今とほとんど変わぬ程に贅沢だったようだ。
お洒落ばかりでなく、晩餐も、結婚式も、さぞかし贅沢だったのだろう。

さらに驚くのは、その【新王国時代】に続く【末期王朝】においては、
「ヌビア人のファラオ」が居たという。
考えてみれば当たり前なのだけど、
ギリシャ人の「アレキサンダー大王」だって、ファラオとして君臨したのだ。

『アイーダ』の物語を妄想するだけでは無く(笑)
最先端の古代エジプトを学べる、楽しい刺激に溢れた一冊だ。

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