『知れば知るほど面白い ツタンカーメンと古代エジプト王朝』
『アイーダ』東京公演応援プロジェクト、かもしれない。。。。
こういう本を、最近読んだ。
古代エジプト3000年の歴史を、
歴代のファラオを軸にして新書サイズにまとめ上げた本で、
著者の近藤二郎氏は、早稲田大学文学学術院の教授。
「王家の谷」でのフィールドワークを長く続けてる先生なので、
ツタンカーメン王が即位していた【新王国時代】に関して、特に詳しい。
知れば知るほど面白い ツタンカーメンと古代エジプト王朝 (じっぴコンパクト新書)
- 近藤二郎
- 実業之日本社
- 800円
【新王国時代】というのは、紀元前1550年から紀元前1070年までの事で、
古代エジプトの黄金期と言われているそうだ。
で、このブログ的に言えば、その【新王国時代】の花形、
「ファラオの中のファラオ」と呼ばれる『ラメセス2世』こそが、
我らがラダメス将軍のモデルであり、
つまりは、ミュージカル『アイーダ』の時代背景なわけだ。
この本では、いつくか「ほほー」と思う事があった。
いちばん感心したのは、
「当時のナイル川に、滝なんてあるのか?」という疑問への答え。
この本には、いつくかの(手書きではない)地図が載っていて、
その中に「第一急淵」「第二急淵」というポイントが書かれている!
つまり、この「第二急淵」こそが「二番目の滝」の事だと思うし、
地図によると、そこはもう「ヌビア」の土地だとある。
「イカイタ」という村の事は、もちろん、書かれてないけれど(笑)
さて、「第一急淵」は、アスワンという当時のエジプトの最南端付近で、
ここが後(1950年代)に「アスワンハイダム」となるのだけれど、
ダムの建築によって水没する事が分かって、
その遺産の救済事業が「世界遺産」のきっかけともなったのが、
ラメセス2世が建てた『アブシンベル神殿』だ。
この神殿は、だから、「ヌビアの地」に建築されている。
ラメセス2世は、この『アブシンデル神殿』に限らず、
いくつもの神殿をこの「ヌピアの地」に作った。
『アイーダ』好きな者からすれば、その理由をいくつも妄想するけど(笑)
この本には、ちゃんとその理由も書いてあって、とてもわかり易い。
『ラメセス2世』は、だから、けっして、
「ファラオの玉座に縛り付けられ」ていたのではないし、
向かったのも南方のヌビアだけでは無く、北東へも進出し、
まさに「ヒッタイト族」とも交戦している。
しかも、
この対ヒッタイト戦では、騙し討ちに遭って窮地に立たされるのだが、
彼はたった一人で、敵の戦車2500台を撃破したとまで伝えられている
さらに「出エジプト」の時のファラオも、ラメセス2世だという説もあるとの事。
他にも、同じ【新王国時代】の王女が、
実は、動脈硬化で亡くなっていた事が解明された、なんて記事もある。
「庶民はビール、貴族はワインを飲んでいた」なんて話も載っているが、
ともかく、当時の食生活は、今とほとんど変わぬ程に贅沢だったようだ。
お洒落ばかりでなく、晩餐も、結婚式も、さぞかし贅沢だったのだろう。
さらに驚くのは、その【新王国時代】に続く【末期王朝】においては、
「ヌビア人のファラオ」が居たという。
考えてみれば当たり前なのだけど、
ギリシャ人の「アレキサンダー大王」だって、ファラオとして君臨したのだ。
『アイーダ』の物語を妄想するだけでは無く(笑)
最先端の古代エジプトを学べる、楽しい刺激に溢れた一冊だ。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント