月蝕の夜に『お悩みはご一緒に』 @ 紀伊国屋サザンシアター
演劇には「シチュエーション・コメディ(シットコム)」というカテゴリがあって、
それとは別の括りで「ミュージカル」というカテゴリもある。
この『お悩みはご一緒に』は、
この2つを合わせた(と、作家が言っている)作品だ。
「シチュエーション・コメディ(シットコム)」というのは、
日本語にすれば「場面喜劇」といったところで、
少なくとも場面展開の無い、悲劇ではない舞台、といった意味だろう。
アメリカの30分テレビ番組の多くは、この「シットコム」で、
『ルーシー・ショー』とか『奥さまは魔女』が典型。
日本でも『てなもんや三度笠』なんてのがあったし、
三谷幸喜氏の『HR』などは、自ら「日本初のシットコム」と謳っていた。
さて、では、この『お悩みはご一緒に』は、
どんなシットコムかと言うと。。。。
「締切が迫っているのに、1ページも書けてない劇作家が、自室で苦悩する」
そーゆー話だ(笑)
たしか、キャラメルボックスにも(漫画家だけど)似た話があったなぁ。
で、このたった一室で展開される物語には、
主役の劇作家を始めとして、
その劇の演出家と、劇作家の彼氏という3人の「リアル人物」と、
劇作家の「雑念」として、
まるで「(ギリシャ悲劇の)コロス」のように登場してくる11人と、
劇作家が頭の中で培養している、
今度の劇に登場するキャラクター10人の、計24人が、登場する。
あ、あと一人、狂言回しがいたなぁ。。。。ともかく、大勢。
で、観に行った理由は、もちろん、我らが上野くんが登場するから。
それにしても、贅沢な俳優たちだ。
岡幸二郎くんが、普通の男性として(笑)登場してきて、
踊って歌う姿なんて、初めて見たかもしれない。
絶品なのは、御年74歳の光枝明彦大先生のパフォーマンスだ。
「雑念」の一人として登場するのだけど、
MCのような存在だったり、ソロ・パートがあったり、
ついにはフォッシー・スタイルのダンスまでご披露なさる。
しかも、、、24人の俳優の中で、もっとも台詞が立っているから凄い。
さて、我らが上野くん。
今回は、実に愉快な役どころで、楽しかった。
上野くんには、意外と似合う役かもしれないので、今後も期待(笑)
作品としては、まあ、気楽に観られて、価格相応な感じなのだけれど、
客席の寂しさが、このジャンルの難しさを表していると思う。
どーせシットコムにするのなら、2つの物語を作って、
マチソワで連続上演するとかしてみると良いかもしれない。
そもそも、シットコムは、無駄に連続するところが楽しいのだからね。
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