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2011年3月20日 (日)

『夏への扉』 by 演劇集団キャラメルボックス @ テアトル銀座

大好きな小説が、映画になるのは、ドキドキする。
ましてそれが「演劇」となると、正直なところ、観るのをためらう。

それが、ハインラインの『夏への扉』だったりすれば、
その期待も、そして危惧も、最高潮だ。
 (たぶん『十二国記』が舞台になったら、怖くて行けない)

と、いうわけで、ようやくの観劇となった。

「その心配は、杞憂だった」
と、そうハッキリと言い切れるほどの完成度ではなかった気はする。

それでも、過不足の無い脚色は見事だし、
特に、舞台の奥行きを利用した場面は面白かったし、
なにより、人間ではないキャラクター、
それは「ロボット」も含めて、の擬人化が、なるほどと思えた。

が、この展開の早さは、
はたして、原作を読んでいない人にはどうなのだろう?
「やっぱり『SF』は難しい、つまらない」と思われる分には良いけれど(笑)
「なんだったんだ。。。『夏への扉』って?」と思われると、悔しい。
そして、原作が持っている、
不思議で言い様の無い圧倒的なカタルシスまでは届いてないと思う。

それでも、タイトルそのものがテーマとなっているこの小説の、
そういえば『塔の上のラプンツェル』や『美女と野獣』にも通じる男の子の物語は、
なんとか巧く完成していた。

閑話休題

この時期に、こうして演劇を続ける、この劇団の様子を通して、
今一度、
「どうして、こんな時期に、エンターテインメントを止めてはならないか」
について書いておこう。

この日、3月20日の夜の部は、約7割の観客だった。
おそらく、平日はガラガラなのだろう。
なにしろ、この劇団は、平素からチケットの払い戻しに応じる程だから、
どうしても空席ができてしまう。

が、キャラメルボックスの、独特なファンタジーを愛する人は多い。
それはもちろん、被災した人々の中にも、多いはずだ。

では、もし、この個性ある劇団が、横並びの【自粛】の中に織り込まれて、
「こんな時に行くべきじゃない」という風評のもと、客が来なくなって、
そして、不本意ながらも消滅してしまった場合。。。。
被災した「キャラメルボックスのファン」は、何を楽しみにすればいいのだろう?

大切なのは、希望であり、夢であり、それを叶える未来なのだ!

被災した人々の中に、
「エンターテインメントを楽しむ未来が、日々の支えです」
という人は、絶対に少ない存在ではないと思う。
だとしたら、その未来のためにも、災害から免れた者達は、
希望の火をともし続ける必要がある。

エンターテインメントに栄養を与え続ける必要があるのだ。

だから、あらためて、もう一度、再び、書いておく。

芸術に触れに行こう。
それもまた、復興への大きな力となるのだから

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コメント

ハイタカさん、コツコツ参りましょう。

「人は、パンのみにて生きるに非ず」でしたよね。

平素な日常においてさえ、
観劇の予定は胸躍り、日々の牽引力となります。
まして、この時期、
「これが片付いたら、映画を観に行ってやる」
と言う決意だけで、力が湧いてくるものだと思います。

さあ、せめて美味しい紅茶を淹れる時間を楽しみましょう

投稿: みかん星人 | 2011年3月22日 (火) 午前 12時41分

みかん星人さん

ありがとう!

被災してエンターテイメントがだめになってます

でも心の栄養はどれだけ大切か
実感してます

どうか、希望の灯を消さないで下さい

こんな時だからみにいって下さい

投稿: ハイタカ | 2011年3月21日 (月) 午前 09時39分

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