英国王のスピーチ
こういう「史実もの」を観る場合は、
「歴史の舞台裏」を知る楽しみがあると思う。
でもまあ、その辺りは、映画を観ていただくこととして・・・
もう一つは、
歴史上の人物に、どれぐらい迫る演技をしているのか?
という楽しみ、もしくは、陶酔感があると思う。
例えば『ガンジー'82』でのベンキングスレーを観るような陶酔感だ。
実際のジョージ6世は、痩身で細面。
ヘビースモーカーだったようで、肺がんとかもあって、56歳で亡くなる。
在位はたったの15年だったそうだ。
で、やっぱり、当然だけれど、
チャールズ皇太子やヘンリー王子に通じる雰囲気を持っている。
で、そういう部分では、コリンファース、ちょっと違うかもしれない。
似ているのは、ヘレナボナムカーターが演じた王妃エリザベスが良い。
親しみ易く、それでいて動作が優美なのがなんとも素敵だし、
ジョージ6世を『善良王』へと導いた人らしい、素晴らしい演技だった。
クライマックスでのスピーチは、それでも、かなり似ているようだ。
こういう面白い動画があって、暇な方は聞き比べてみると面白い。
また、実際のスピーチをちゃんと聞きたいなら、こういうのもある。
もっとも、この映画の場合は、再現性そのものが大切なのではなくて、
人が、無意識にしている自縛の呪縛から自分を解放する姿が美しいのであり、
同時に、『ライオンキング』のように、自分の地位に就くという物語が大切。
(この辺りは、冒頭、バーティとライオネルの出会いの場面が面白い)
そして、この物語という部分を、イギリス映画らしく見事にまとめていると思う。
(これが、もし、ハリウッド映画なら、
見事に克服し、最後はファーストネームで呼び合う場面になるだろう)
ところで、このクライマックスのスピーチ。
実に効果的な音楽が使われていたけど、
あれは、ベートーベンの交響曲7番なんだよね。
ドイツとの開戦を伝えるスピーチの背景が、ドイツの音楽。。。
うむ、、、イギリス映画は、奥が深いなぁ。
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コメント
takaさん、コメントありがとう。
そう、、、要するに「家族」を描いた映画だったという事ですね。
弟をからかう兄貴。。。ああいう輩が大嫌いなので、蹴飛ばしたくなりましたが(笑)
つまりは、素晴らしい演技と物語だったのでしょう。
それにしても、「王冠をかけた恋」を別の角度から見ると、
「王冠を投げつけた恋」という感じなのが、ショッキングでした(笑)
投稿: みかん星人 | 2011年3月 4日 (金) 午前 01時07分
おとみさん、コメントありがとう。
仰る通り。。。
一歩間違えば「ロイヤル・ファミリーのゴシップ」にしかならないこの題材を、
「ある男の覚醒物語」にしてある部分が素晴らしいですね。
おかげで、ただの「ファミリー映画」であるともいえます(笑)
タバコは、それにすがってさえいたジョージ6世の気持ちを考えると、
なんとも、まさに「愛おしい」としか言いようのない思いです。
投稿: みかん星人 | 2011年3月 4日 (金) 午前 01時01分
TBありがとうございます!
久々にアクションのない映画を見ました。(^^;
コリンがジャンプしたり、ダンスするくらい?(笑)
あのベートーベンにはびっくりでしたが、さすが、王さまのいる国なんだなぁ~って。。
この時代背景で愛に生きる長男と家族思いの次男の物語にも思えました。
投稿: taka | 2011年3月 2日 (水) 午後 10時07分
>みかん星人さま
自分探しに論点を絞ったところがサクセスの理由でしょう。ホントにすっきりしてました。舞台でもいいくらいです。2人のプリンスの違いは、国民に愛され2児をもうけたエリザベスと、国を傾けたファムファタル・ウォレスと、どっちを選んだがだったと、しっかりアピールしておられました。
タバコ止めてとエリザベスに成り代わって叫びたかったです。
投稿: とみ(風知草) | 2011年3月 2日 (水) 午後 07時22分