吉村和敏写真展『MAGIC HOUR』
写真展というものは、時に、とりとめのない展示があったりして、
「いったい、何を感じ取ればいいのか・・・」と戸惑うことも少なくない。
が、吉村和敏氏の写真展に関しては、そういう心配は無い。
なぜなら、吉村氏は明確で具体的な「テーマ」を掲示するからだ。
今回の写真展のテーマは『MAGIC HOUR』。
「太陽が昇る寸前、もしくは、沈んだ直後の淡い光に映し出される世界」
が、圧倒的な大きさで展示されている。
以前、吉村氏の写真展に『ブルーモーメント』というものがあった。
今回の『MAGIC HOUR』は、同じような時間帯ながら、
「青」とは限らず、むしろ重点は「淡い光」に置かれている。
だから、写真によっては「ピンク色の光」に包まれているものもあるし、
まるで日中のような色ではありながらも、滑らかで神々しい光の写真もある。
一枚一枚に、撮影場所とともに撮影時間が示されている。
しかしながら、そのデータをみるまでもなく、
早朝の写真には、適度な湿度と清澄な空気が、
夕方の写真には、その日のエネルギーが写っているのをも感じられる。
作品の大きさや、会場の雰囲気は、
2009年春に富山で開かれた『PASTORAL』に近い。
『PASTORAL』の時にも感じたのだけれど、
これだけ大きな写真だと、その中に居るような気持ちになる。
会場も集中できる場所なので、ほんとうに写真と対話しているようだ。
そして、今回の作品たちには、
「その世界への入り口」を感じる事が多かった。
よく、風景絵画の世界で言われるのだけれど、
「良い作品には、絵の中に歩いて入り込める入り口がある」そうだ。
で、今回の『MAGIC HOUR』には、そうした写真が多い。
しばらく相対していると、
その場の気温や、匂い、そして風が、写真から漂ってくる。
品川の一角で、世界旅行を経験したような展覧会だった。
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コメント
るるちゃん、コメントありがとう。
そしてお帰りなさい!
毎日が、また、さらに楽しい時間になりそうですね
吉村さんも、ブログで散々書いてますが(笑)
ほんと、会場が良いんです。
品川駅の新幹線口からは歩いてすぐですから、ぜひとも!
投稿: みかん星人 | 2011年1月20日 (木) 午前 09時24分
こんにちは。退院しました。
今回も素敵な個展であることが、みかん星人さんの文章から伝わってきました。
・・・・。
私も『MAGIC HOUR』の世界を味わいに行きたいものです。
現在、画策中(笑)
投稿: るる | 2011年1月19日 (水) 午前 09時55分