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2010年12月20日 (月)

『アベニューQ』 @ 東京国際フォーラム ホールC

2004年のトニー賞で作品賞を獲得したのが、この『アベニューQ』だ。
その時に大本命だったのが『ウィキッド』。
他には『キャロライン、オア・チェンジ』と『ボーイ・フロム・OZ』がいた。
「キャロライン」は観ていないけれど、これで3本観たことになる(笑)

で、まあ、いつものごとく、
「やっぱり、トニーを取る作品は、違う」
という事は、言えると思う。

ただ、なにが違うかと云うと、この『アベニューQ』に関しては、
「革新的だった」という事に尽きるだろう。
『ボーイ・フロム・OZ』は、あまりにも正攻法なミュージカルで、斬新さが無かった。
装置が派手で、大資本を背景に宣伝しまくった『ウィキッド』は、
実は、物語にはそれほどの奥行きは無く(笑)
少なくとも2004年を代表する演劇作品だとは、言い難い。
 (それでも、2001年のあの事件に影響されてはいるのだが・・・)

この『アベニューQ』が受賞した理由も、たぶん、物語ではない。
確かに時事的で、ユーモラスで、情緒もあり、悪い物語ではないけれど、
この作品の魅力は、そこではなくて、表現形態に他ならない。

それはまるで「セサミ・ストリート」というか、
むしろ、日本の「人形浄瑠璃」に近い【マペット演劇】に、その魅力がある。
ただし、こればかりは、どんなに言葉で説明しても無駄なので(笑)
ともかく一度騙されて、本当の舞台を観てもらいたい作品だ。

Avenueq

まるで登場するキャラクターのように写っている我らがベア達だが、
実際の舞台にも、かなり強烈なパワーを発揮する二人のベア、
「バッド・アイディア・ベアーズ」(右上)が登場していた。

さて、ポスターにあるように、マペットの数は9体だ。

けれど、マペットを扱う俳優は4名。
それも、動かしている人が喋っているばかりではなく、
違うマペットを扱いながら、他の人が動かしているマペットの声を出したりもする。

始めのうちは、そういう仕組みが分からなくて、
ともかく面白おかしく観ていたのだけれど、
次第に、その複雑な芝居に熱中していった。。。。凄い熟達だぁ。

後になって、面白く感じているのは、
舞台に登場する7人の俳優のうち、マペットを扱わない3人の事。
ひとりは売れないコメディアンの「ブライアン」。
そして彼のパートナーで、日本人の「クリスマス・イヴ」。
あとの一人は、舞台となるアパートの管理人「ゲイリー・コールマン」だ。

ゲイリー・コールマン」は、実在の人物を舞台に持ち込んだ存在で、
アーノルド坊やは人気者』という番組の主役だった人だ。
「世界で最も不幸なスター」と言われるほどの彼の人生は、
要するに「彼自身の人生」では無かった、という事だ。

「売れないコメディアン」も、
「架空の、いつか売れる自分」を思い描きながらの人生かもしれない。
「日本人」ではありながらも、
日本人から見たら「変な日本人」でしかないイヴも、
「属性に支配された自分」でしかない、とも言える。

逆に言えば、マペットというアイディアの狙いの本質は、
「何にも属してない自分」を獲得するためなのかもしれないなぁ。

簡単なようでいて、芝居においても、その表現方式においても、
なかなか奥深い作品だったと思う。

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