『サンタクロースが歌ってくれた』 @ サンシャイン劇場
演劇集団キャラメルボックスが、
劇団創立25周年のクライマックスに用意したのが、
劇団の演目の中でもとりわけ人気の高い名作、
『サンタクロースが歌ってくれた』だ。
「名作」とはいうものの、舞台で観るのはこれが初めて。
しかも、初演のキャストが揃っているという事で、とても期待していた。
もちろん、その期待は充分に満たされた。
なにより素晴らしいと感じたのは、
客演の上川くんや近江谷くんが登場しても、それほど極端に目立つことが無く、
むしろ若手の、というか今や中軸でもある、たとえば實川さんが、
とても凛々しく美しく堂々と輝いていることだ。
どこぞの劇団のように、退団した俳優が登場すると、
「やっぱり、あの人が居なくなった穴は大きかったんだなぁ・・・」
なんて落胆をしなくても済むのだ(大笑)
また、久しぶりに、ドタバタと舞台を右往左往する、
「いかにもキャラメルボックスらしい芝居」も、楽しかった。
ここしばらく(とは言え、ここしばらく観ていなかったのだけど(笑))
キャラメルボックスの芝居が、妙に上品というか、手管に長けていて、
それはそれで落ち着きのある舞台としては望み通りだったけれど、
こうして「いかにもキャラメルボックスなドタバタ」を観ると、
舞台から、とても強力な「生きる力」を感じることができる。
それはまた、
この『サンタクロースが歌ってくれた』の構造が感じさせる、
「演劇パフォーマンスを目の当たりにする快楽」を再認識させてくれた。
これは、先日観た、『マンマ・ミーア!』における、
或いは、4年前に鑑賞した『鹿鳴館』における、
さまざまな邂逅を繰り返した俳優の対峙による心地よい緊張感。
はたまた、
『ジャンヌ・ダルク』の舞台に登場した100人近い人間の、
或いは『ジーザス・クライスト・スーパースター』に描かれる歴史的瞬間の、
その生身の人間が舞台の上で創りだすダイナミズムの疑似体験。
こういった、舞台演劇ならではの、他では得られないカタルシスが、
この『サンタクロースが歌ってくれた』にも充満しているという事だ。
いや、むしろ、この作品の狙いそのものが、
「演劇ならではの快感」の核心を、的確に、抽出することにあるのだろう。
と、同時に、たぶんきっと、「演劇集団キャラメルボックス」が、
この傑作を超える作品を創りだすことは、もはや、難しいとも思う。
奇しくも、その事もまた、この作品のテーマの一つでもある。
(あのALWだって、真に凄い作品は、30代前半までだと思うしね。。。)
そういったわけで、
キャラメルボックスが25周年を契機に観せてくれたこの公演は、
劇団のファンはもとより、「演劇ファン」にも貴重な体験となるだろう。
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