『エリザベート』 @ 帝国劇場
とうとう、ミュージカル『エリザベート』を観てしまった。
ウィーン・ミュージカルは、『モーツアルト!』に感動したこともあり、
それほど敷居の高さを感じていなかったけれど、なかなかきっかけが無かった。
そこへ、今回の帝国劇場の公演では、
石丸幹二くんが、黄泉の帝王・トートとして登場するとのこと。
なので、とうとう、『エリザベート』観劇と相成った次第。
舞台は19世紀の後半で、登場するのも実在の人物ばかり。
まあ『エビータ』だって最近の実在の人物なんだけれど、
こちらの『エリザベート』は、伝記物語という感じではなく、
「黄泉の帝王・トート」という存在を登場させることで、
知らずに見ていると、
実在の人物だとも、100年前の物語とも思えない程に絵空事感が強い。
『エリザベート』の魅力は、その音楽の心地よさにあると思う。
『モーツアルト!』もそうだったが、
初めて耳にするのに、すんなりと胸の中に降りてきて、
メロディーそのままの感情が心の中に巻き起こる。
うっかりすると歌詞を聞き取り損ねるほどに、曲に聞き入ってしまう。
そういえば、この作品のオーケストラの音は、素晴らしく綺麗だった。
指揮は塩田先生で、特にロックな曲での弦が色っぽかったなぁ。
セットも面白く、高さを利用したり、鏡を利用したりと、
いかにも宮殿の物語という雰囲気があって、楽しい。
街頭の場面でも、群衆の動きがぐちゃぐちゃしていて面白かった。
うん、、、舞台の見た目や、音楽は、すごく良かった。。。
ただ。。。物語には乗れず、
カタルシスはおろか「かんどー」という感覚も得られなかった。
登場した人物は、
基本的に登場したその時から最後の場面まで「変化」することは無い。
たとえば、そもそも揺るぎない存在である「トート閣下」は、
冒頭でいきなりエリザベートに恋をする変化を見せるものの、
「生きている貴女に愛されたい」
との願いが最後まで叶わないことによる「変化」はない。
エリザベートにしても、後悔はするものの、その価値観に変化は見られないし、
最後フランツと向き合う時においては、時すでに遅い状況だ。
『エリザベート』の物語は、たぶん、みかん星人には合わないのだと思う。
そういえば『オペラ座の怪人』も、曲は好きだけれど、ドラマにはハマれず、
鑑賞後の感覚が似ているように思う。
きっとこの『エリザベート』は、こうして耳と目を楽しませる作品なのだろう。
あ、、、ロックなトートを舞い踊る石丸くんは素敵だった。
ただ、石丸くんのソフトな声質は、攻撃性を感じないので、
「圧倒的な怖さ」というよりは、「気が付いたら殺されている怖さ」かな。
もしかしたら、
山口トートとか、城田トートをみると、違いが確認できるかもしれない(笑)
【追記】
この日は、終演後に「最後のトークショウ」があった。
石丸くん、朝海さん、石川さん、浦井くんの「ファミリー+1」という面子。
大雑把にいうと、トークショウの到達点は、
「いろんなキャストで楽しんでください」
ということになるかと思うのだけれど(笑)
確かに、ああして「トートによるフランツの変化」とかを聞かされると、
全部みてみたくなるから、すごい罠だ。
また、石川さんが話されたエピソードで、
ウィーンの舞台に立つトート役の人が、
「私も『愛と死の輪舞』を唄ってみたい、と言っていた」
というのは、なるほどと思った。
この『愛と死の輪舞』は、7月に瀧澤くんが唄ってくれて、感心したけれど、
メッセージが明確で耳に残る曲だと思っていたので、さもありなんだろう。
それにしても、トークショウでの石丸くんって、いつも面白いねぇ。
以前『アスペクツ・オブ・ラブ』のイベントで何度か経験したけれど、
「その場の雰囲気」を一気にひっくり返すような発言をする(笑)
石丸くんによると、
この『エリザベート』はキャストの入れ替わりで日々変化するので、
千穐楽には、違うお話になっているかもしれないそうだ(*^^)
なんか、彼がいると、ありえそうだから、可愛いよね。
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