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2010年10月 5日 (火)

『シラノ・ド・ベルジュラック』 @ 俳優座劇場 by 演劇集団キャラメルボックス

今回の「演劇集団キャラメルボックス」の舞台の冠は、ちょっと長い。

平成22年度文化庁芸術団体人材育成支援事業」という助成を受けいる事と、
社団法人日本劇団協議会」の「次世代を担う演劇人育成公演」とのこと。
さらには、「成井豊の世界名作劇場」という次第。

その演目のタイトルは『シラノ・ド・ベルジュラック』。
この記事に書いたが、みかん星人が大好きな名作戯曲だ。

これを、よく知った俳優が、見慣れた演出で上演している。
当然、素晴らしく面白かった。
改めて、みかん星人にとって、本当に「シラノ」という男は、憧れだと思った。

もとの戯曲は上演時間が長いものだそうだが、
(東宝が上演しているミュージカル『シラノ』は休憩入れて170分)
もちろんキャラメルが上演するからには、
いつものように休憩なしの130分に収めてある。
舞台を全5幕とし、場面転換に降りてくる幕に適度な解説があるので、
たぶん、初めて「シラノ」を観る人にもわかりやすかっただろう。

このキャラメルの舞台で初めて「シラノ」に触れるとしたら、
それはとても素晴らしく充実した体験になるだろう。。。羨ましい!
余分な肉を丁寧に取り除いた上質なヒレステーキを食べるようなものだ。

なにしろ、ちゃんと喜劇になっていることが、とてもうれしかった。
みかん星人が最初に「シラノ」に触れたのは、
先にもリンクしたページにあるように、ラジオドラマだった。
当時の個性的で傑出した声優たちが最高に可笑しい演技をして、
それはもう、滑稽そのものなラジオドラマになっていたのだ。
(シラノ:内海賢二、ロクサーヌ:水森亜土、クリスチャン:野沢那智)

この『シラノ・ド・ベルジュラック』は、
基本的にエネルギッシュな喜劇でなければならないと思っている。
映画『愛しのロクサーヌ'87』(シラノ:スティーブマーチン、ロクサーヌ:ダリルハンナ)は、
だから、とても面白かった。
演出の成井氏も、対談の中で「アップテンポなコメディーに」と言っているが、
それには大賛成だし、今回はそれに大成功していると思う。

冒頭の不思議な導入から、それが衣裳へと変わる手管のうまさ。
大道具の変幻自在な面白さ、
そして、いつもその声に特徴を感じていた、今回のシラノ役阿部丈二くんの、
大胆にして、滑稽、饒舌にして繊細ながらも、孤独と戦うその演技が、
最後の、あの余りにも美しい場面で見事に機能していた。

ただ1点、今回のキャラメルでは、いつもは上手くハマる音楽が今一つだった。
歌詞のないBGMは問題ないのだけれど、歌詞が聞こえてくるのはバランスが悪い。

まだ少しだけ席に余裕があるそうなので、
もし、この傑作戯曲を知らないのであれば、この機会を逃す手はありませんよ!

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