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2010年6月15日 (火)

『テラ・ルネッサンスII ~鬼丸昌也さんの挑戦~ 』


鬼丸昌也さんの挑戦 テラ・ルネッサンス 2

  • 田原実
  • インフィニティ
  • 1260円

Amazonで購入
書評

「『心を育てる』感動コミック」も6冊目。

此度の『テラ・ルネッサンスⅡ』を読んで、
このコミックが目指しているものが分からなくなった気がする。

これまで、私は、この【感動コミック】について、
「面白い、独特な、興味深い人や組織を描いたコミック」
という認識を持っていて、だから、
「どうして、そういう人物・組織が成り立ったのか」
に関心を持ちつつ読んでいたところがあった。

最初に読んだ「美容室バグジー」は、まさにそんな展開で、
「どうして、あの美容室は、成功したのか」
という物語として素直に読むことができた。

しかしながら、この「テラ・ルネッサンス」シリーズは、ちょっと違う。
【Ⅰ】の時にも少し感じていたのだけれど、この組織に関しては、
「この組織が、どうやって誕生して、どのように活動をしているのか」
という、その組織そのものを描いているというよりも、
「この組織は、なにに出会い、なにを見て、なにを提供しているのか」
が描かれていて、
「テラ・ルネッサンス」という組織そのものは、あまり描かれていない。

確かに、描かれているエピソードは強烈で感動的だ。
ニュースでさらっと語られる戦争・内乱・紛争が、
ニュースを聞く者と同じ「一人の命」にとってどれほど苛烈な事なのかを思い知る。
また、【教育】の意味や意義も考えさせられるし、
バングラディシュで始まった【マイクロ・クレジット】が、
ウガンダでも行われている事は知らなかった。
 (ルワンダやカメルーンでも実施されているという)

例えば、、、

第2章は「元・子ども兵社会復帰支援プロジェクト」がテーマとなっている。
11歳で誘拐され、12歳で初めて人を殺し、
10年以上も前線で戦わされた兵士が、失明し村に戻ったものの、
戦闘中の恐怖から眠れず、また、村人からは「人殺し」として差別されてしまう。
そんな彼が、「テラ・ルネッサンス」の支援のお陰で、
英語を学び、玄関マットを製作する技能をも手にいれる。
そして、同じような境遇にある人と出会い、その人を支援するまでになる。
彼は、信じる事の強さや、自分の人生を生きる事の素晴らしさを伝えてくれる。

このエピソードは、それ自体とても素晴らしいし、感動的だと思う。
ただ、私としては、ここに登場した「テラ・ルネッサンスの支援」が、
どういう経緯で成立しているものなのか?も、知りたい。

支援の内容は書かれている。
★必要最低限の食料と医療の供給。
★カウンセリングによる心理的な支援。
★基礎教育をはじめ、技能教育による能力向上に関する支援。
★そして、技能を活用するためのマイクロクレジットによる収入支援。
このステップが、困難な状況にある人々を救っている。

では、これらの支援は、どのように調達されたのだろう?
金銭的な部分はもちろんの事、
食料を調達する事からその調理管理、そして医師の手配は?
高度な教育が必要なカウンセラーは、どうやって見つけ出すのか?
技能教育ができる教官だって、その場所だってどうやって見つけるのか?

「テラ・ルネッサンス」という組織が、
人々にどんな光明をもたらしているのかよりも、
私は、鬼丸氏をはじめとする彼らがどんな努力をしているのか、それが読みたい。
ホームページに行くと、
インクカートリッジや書き損じたハガキを募集している事が書かれているが、
その事、つまり活動資金の調達に関して、この本では1ページほどしかない。

(あえてこう表現するが)「美談」はけっして悪くない。
けれど、少なくとも私は、それがどうやって成立し維持しているのかを知りたい。
比較するのは、鬼丸氏に対して失礼かとは思うが、
それこそ、現政権が無闇に配る資金が「こどもの未来」を輝かせるにしても、
その原資が「未来からの莫大な借金」であるのは認め難いことなのと同じで、
「どうやって成立しているのか」にこそ「美談」の本質があるとも思う。

このシリーズ、まだ続きそうなので、
【Ⅲ】では、この辺りに期待しておきたい。
なにより、「テラ・ルネッサンス」に協力できるのなら、そうしたいからだ。

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