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2010年6月 2日 (水)

『バイ・バイ・ブラックバード』 by 演劇集団キャラメルボックス

『演劇集団キャラメルボックス』の劇団創立25周年記念の第2弾は、
完全に劇団オリジナルの新作『バイ・バイ・ブラックバード』という作品。

タイトルは、ジャズのスタンダード曲に由来するものだけれど、
曲自体が劇中に登場するわけではない。
この曲は、単に、通り過ぎて行っただけだ。

エンジェル・イヤーズ・ストーリー』を観たものの、
その後の『グロノス・ジョウンターの伝説』に行けなかったこともあり、
再び「キャラメルボックス」から遠ざかり始めていて、
今回の『バイ・バイ・ブラックバード』は、
事前情報をまったく知らないままに鑑賞してしまった。

後から考えると、けっこうに複雑な、というか面倒な話なのだけれど、
相変わらずの上手な説明展開で(笑)
物語の骨子は、それでも、自然に理解できる。

が、しかし、やはりこの物語は、本当に「やっかい」だ。

なにが「やっかい」かというと、、、
この作品が提示する「問題」は、
「もし、それが私だったら・・・」という置き換えが容易だという点にある。
だから、舞台を観ている間じゅう、心のどこかで、
「自分だったらどう考えるだろう?」という問い掛けが止むことがない。

もちろん、たいていの演劇作品で、観客は登場人物に同化し、
「私ならどうするだろう」ということを考えたりはするのだけれど、
この作品では、その「私だったら」を考える事が、実に多面的で、
私は、時々、舞台をみながら、自分の事を考えてしまっていた。

そういった意味で、少々、物語が複雑すぎた気がする。
3つのうち、1つは無くても良かったかもしれない<謎

この作品で、最も素晴らしいのは、客演の有馬自由氏(扉座)だ。
キャラメルボックスの役者陣は、最近はそうでもないのだけれど(笑)
全体に「若い人」が多い。
そんな中に、実年齢で登場する有馬氏の存在感は、大変に美しい。

さて、以下少々内容に踏み込んでしまうけれど、
この物語は「記憶・思い出」の意味、意義を問い掛けている。

「記憶・思い出」と言えば、森博嗣先生の『すべてがFになる』に、
「思い出と記憶って、どこが違うか知っている?」
という、素晴らしい命題があったけれど、
それが、この作品でも、少し説明されていて、
そしてまた重要なポイントにもなったいた。

もう1つ、、、
日頃このブログを読んで下さっている奇特な方には、
「思い出」という言葉で、『キャッツ』の名曲を思い出されるだろう。
T.S.エリオットの遺稿に着想を得た『メモリー』の歌詞は、
「どんな思い出であろうとも、それこそが未来を導く」
というニュアンスに読み取れるが、
この『バイ・バイ・ブラックバード』もまた、それに通じていると感じた。

劇団のページでも、「2度観たくなる作品」と宣伝しているが、
確かに、複雑さだけではなく、
この物語が「腑に落ちた」後で、冷静に見直したくなる作品だとも思う。
東京での公演は残り5公演と少なくなっているが、
続く神戸でも9公演ある。
友人にサポータークラブの人がいれば安くも観られるし、
相変わらず、舞台演劇が好きな人には、大いにお薦めの1本だ。

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