『私のこの目で』 by 劇団スカラベ
このブログで注目している「上野聖太」くんが、
『劇団スカラベ』の旗揚げ公演『私のこの目で』に登場しています。
作品は、2005年にオフ・ブロードウェイで初演された、
原題を『See what I wanna see』というもの。
「Michael John LaChiusa(マイケル ジョン ラキューザ)」が書いたこの作品は、
その題材を、芥川龍之介の短編小説に求めた意欲作。
なにはともあれ、この週末にとりたてて計画がない演劇ファンは、
是非ともこの作品を観てほしい。
特に、上野聖太ファンには、必見の舞台でしょう。
この『私のこの目で』が題材とした芥川の作品は、
『袈裟と盛遠』、『藪の中』、そして『竜』の3篇。
一幕も二幕も、冒頭は『袈裟と盛遠』で、数分だけれど、ちょっと難解。
一幕は、それに続いて『藪の中』が演じられる。
『藪の中』といえば、黒澤明監督の『羅生門』の原作としても有名だし、
この作品の中にも「1951年に上映している日本映画」として登場している。
ちなみに、
『羅生門』は1951年のヴェネチア国際映画でグランプリを取っている。
この舞台で演じられる『藪の中』は、、
舞台を、その1951年のニューヨークに移してある。
それ自体は悪くないと思うのだが、途中から、なんとなく違和を感じる。
物語の骨格が微妙にずれている感じがするし、
なにより、「アメリカ人・キリスト教徒」の価値観とは相容れない気がしてくる。
「なぜいまさら、こうして、微妙に歪んだ『藪の中』を見せられるのだろう?」
という気持ちを抱いたまま、一幕は終ってしまう。
が、、、二幕の『竜』が始まって少しすると、
「なぜ、一幕で、ご丁寧に『藪の中』を観客に見せたのか」
の理由が、身震いするような戦慄と共に押し寄せてくる。
もちろん、それぞれの冒頭にある『袈裟と盛遠』の意義も、伝わってくる。
もちろん、その理由はここでは書かないが、
こういう、
一幕総てを使った大掛かりな「伏線」は、あまり経験が無い。
恐ろしいほどによく出来た作品だと思った。
そうそう、大切な事を忘れていた。
これ、なんと、ミュージカルなのだ(笑)
1950年代と、2000年代の音楽のニュアンスも上手く織り込まれていて、
なかなか面白いメロディーのミュージカルだった。
(意外と多くの動画がネットにのっている>see waht I wanna see)
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