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2010年2月13日 (土)

『父が子に語る日本史』 by 小島 毅

「ねえお父さん、教えて、歴史って何の役に立つの?」
こう、帯に書かれた問い掛けが、なかなか上手い。

「なぜ歴史を学ぶのか?」という命題には、幾つもの答えがあると思うが、
みかん星人が好きな回答は、これだ。
「人が歴史を学ぶのは、人は歴史から何も学んでいない事を知るためだ」

まあ冗談はともかく、
「学問」として確立している分野に関して学ぶ事は、決して無駄ではない。
何かひとつの学問を学ぶプロセスには、
他の学問を学ぶ際にも応用できる普遍的な要素があると思う。

また、孤立している「学問」というのも存在しないと思う。
例えば、「歴史」の中に、数学の「ゲーム理論」を感じたりもする。
 (つまり、誰がヒーローになるのか?を考えたりする時にね)

いくつもの、学んだ「学問」が、自分の中で融合するその場所にこそ、
その人が本当に学びたい「何か」が在るのだとも思うし。

が、実際には、
記憶に頼る試験を乗り越えながら学ぶ「歴史」は辛いし、面白くない。

そこで、この本の登場、という事かもしれない(笑)

ともかく、著者は最初に、この本を、、
「歴史に興味を持たせてくれるような本や先生に出会う」
ための一助となるべく書いたと述べているし、
それはたぶん成功していると思う。

「たぶん」と書いた理由は、
著者が、この本の読者として設定した学生にとって、
本当に「興味を持てる本」であるか否かが解らないからだ。
初老の、学校で学んだ「歴史」以外の歴史の面白さを知った私には、
この本はなかなか面白いと思ったし、興味深いものだった。

最も興味深い観点は、
「『歴史』とされる伝説・伝承の中に何が隠れているのか?」
という歴史の読み取り方をテーマにしている点だろう。
例えば、
今では教科書においてさえ「厩戸王」と呼ばれる聖徳太子に関して、
彼の存在や業績がどんなものであったか?を取り上げるのではなく、
「なぜ、聖徳太子という歴史上の英雄の存在が必要だったのか?
 また、聖徳太子が立派な英雄であるのを大切にする理由は何か?」
といった事に注目させる事で、
読者に日本という国の成り立ちをも考えさせるのは、上手いと思う。

この本を読みながら、
書かれている事に関していろいろいと論じてみたくなるのも面白い。
「自国の歴史を、後世の人々が粉飾をするのと、
 私たち自身が自分の日記に夢物語を潜ませる事にとは、
 同じ思いが働いているのだろうか?」なんて思ったりもして(笑)

著者は、既に多くの、話題を呼ぶ本を書いておられるし、
今年になってその自国語論文が発表され注目された、
日中歴史共同研究」の委員のお一人でもある。
そんな学者氏のスタンスに、
こうした学生向けに書かれた本で触れておくのも良いと思う。

かなり、お薦めの本だ。


父が子に語る日本史

  • 小島毅
  • トランスビュー
  • 1575円

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書評

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