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2009年11月21日 (土)

『ヘンリー六世』 @ 新国立劇場

今年は「長丁場」な演劇が流行なのかしら?

今回は、休憩込みで9時間25分という舞台を観に行ってしまった。
ま、観たのは「第一部」だけ、なのですけどね(笑)

Poster

シェークスピア原作の『ヘンリー六世』という戯曲は、
時代背景が15世紀、百年戦争のトンネルを抜けようとしていた英仏が舞台。
1422年に、父である先王・ヘンリー五世が逝去したのが物語の始まりで、
時まさに、
聖なる乙女・ジャンヌダルクにより、フランスが解放されつつあったそんな頃。

Map

第一部で描かれるのは、
「百年戦争」に終止符が打たれ、
やがて「ばら戦争」と呼ばれる貴族の内乱の予兆まで。
実は、以前にも書いたけれど、
みかん星人にはジャンヌダルクが関心の的なので、
この『ヘンリー六世』も、第一部だけで充分という次第。

その、聖なる乙女・ジャンヌを演じたのは、
紆余曲折あって、舞台俳優として見事に開花したソニンちゃん。
『ミス・サイゴン』のキムでの鬼気迫る演技は話題となっていた。

で、彼女がみせるジャンヌは、これが実に凄かった。

いままでも、さまざまな「ジャンヌダルク」が描かれている。
劇団四季のレパートリーでもある『ひぱり』や、オペラにもあるし、
イングリットバーグマンを迎えての『ジャンヌ・ダーク』というのもある。
最近、でもないか、リュックベッソン監督の『ジャンヌ・ダルク』では、
ミラジョヴォヴィッチが見事に、英語で、複雑なジャンヌを演じていた。

そんな中でも、ソニンちゃんのジャンヌは、まさに狂気!
ジョヴォヴィッチのジャンヌも、相当に切れていると思ったけど、
ソニン・ジャンヌは、
神に選ばれた歓びの、恐れと、誇りと、驕りを見事に渡り歩く。
また、ジャンヌ独特の白金の甲冑の再現も見事で、
細く長い剣を見事に振り回しながらの、舞うような殺陣もお見事。

そもそも、
シェークスピアが描く、つまり「イギリス側」から描かれたジャンヌは、
「魔女」の典型であり、向かう所敵無しの悪魔なのだけれど、
ソニン・ジャンヌは、やや金属的な高い声で、その要素までも獲得していた。

ただ、イギリス側から描かれている物語なので、
ジャンヌの王、フランス王・シャルル7世が、妙にゆるい。
もちろん、演じる木下浩之氏の軽妙洒脱な芝居が楽しいところなのだが、
笑って好いのか、悲劇と捉えて好いのか、微妙な感じだ。

さて、いちおう、イギリス側の事も。。。

フランスを相手に勇猛果敢な勇将として登場するのが、
木場勝己氏が演じるトールボット。
この「トールボット」は「初代シュールズベリー卿John Talbot」のことで、
ワイン好きの人には有名な「シャトー・タルボ」の由来の人。

Talbot

「百年戦争」の最後は、このワインの産地ボルドーの陥落で終る。
それは、1453年の事で、ジャンヌの処刑33年後だったとされているが、
この舞台では順番が逆になっていて、クライマックスのジャンヌ処刑の前、
第二幕の中盤でトールボットは息子と共に戦死してしまう。

この第二幕の中盤までの芝居が、最高に素晴らしかった。
美しいシェークスピアの台詞が乱舞し、
舞台の上には、500年以上も昔の空気が流れ、
まさに演劇の醍醐味がそこにあった。
トールボットを演じた木場氏の演技は、実に凛々しく、美しかった。

そう、この舞台は第2幕が白眉。
戦争の狂気というよりも、権力の狂気が見事に描かれていて、
多くの人々の命が、権力構造の軋轢の中で消費される。
その中心に居るのが【ヘンリー六世】なのだけれど、
第一部での彼は、摂政と血族貴族達の間で翻弄される。
それを演じる浦井健治くんの健康的な健気さが痛々しいし、
きっと、第2部・第3部での彼は注目に値するのだろう。
ただ、
みかん星人としては、これ以上の権力闘争は観るに偲び無い(笑)

劇場のエントランスに、
この戯曲が初演された『グローブ座』の模型がおかれていた。
東京の大久保にも似た劇場があるけれど、
自然の光が差し込むここで、人間の本質をつく素晴らしい台詞が、
シェークスピアの手により織り成されて交わされていたのだねぇ。

Globe

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