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2009年11月27日 (金)

『キャピタリズム マネーは踊る』

マイケルムーア監督の新作を観てきた。
「キャピタリズム」というのは「資本主義」のこと。
「マネーは踊る」というのは、「会議は踊る、されど進まず」の引用か。

そう、今度の標的は「資本主義」。

アメリカの銃問題、ブッシュ政権への疑問、
そしてアメリカの医療保険制度を取り上げてきた監督だけど、
今回は、自由社会の象徴を標的に選んだ。

今に始まった事ではないが、この「100年に一度の不況」という状況の中、
「資本の横暴」が益々苛烈になっているのは、よく耳にする。
けれどそれは、銃や、不明な政治家や、未整備の医療制度への糾弾とは違う。
なにしろ、長いこと、資本主義は自由の象徴だと思われている制度なのだから。

そう思って観るからなのかもしれないが、、
この『キャピタリズム』での監督の弁証法は今までと微妙に違う気がした。
今までの作品にあった「論陣を張る」という感じではなく、
一つ一つの反証を挙げながら、「資本主義」という論に反駁している感じ。

ところで、そもそも、「資本主義」とはなんだったっけ?(笑)

簡単に言うと、【100円】を持っているA氏が、それで【品物】を買う。
その【品物】にA氏が何がしかの加工をし【商品】にして、
それを市場(しじょう)に持って行って売却し【120円】を手にする。
この時、はじめに持っていた【100円】が【資本】と呼ばれて、
売却で得た差額の【20円】が【利潤】だ。

一方で、最初の「もとで」となる資本を持ってないB氏は、
自分の労働力を【商品】として売却する事ができる。
B氏は、労働力を売却して得た通貨で衣食住を整えて、
次の労働力の再生をして、また、売却する。

これが複雑に絡み合った社会制度が、資本主義ということだろう。

さて、いま起きている問題をとても単純に書いてみると、
A氏の存在が1%に過ぎない少数派であるという点と、
彼らが【利潤】を得る手順が恐ろしく複雑になっているという事。
また、
B氏の労働力が安く買い叩かれ、労働力の再生が困難になっている問題で、
これは「ワーキング・プア」などと呼ばれる問題になっている。

A氏の存在がたった1%であるという事を、ムーア監督は、
「ここにアメリカン・ドリームという罠が仕組まれている」と見做しているし、
複雑になった「利潤方程式」である「デリバティブ」を学ぼうとして挫折したりする。

特に印象的なエピソードは、資本を持っているA氏が、
自社の従業員B氏を対象にした生命保険に加入していたという話だろう。
労働力の再生もままならないB氏が死亡して、A氏は多額の保険金を手に入れた。
しかしながら、その事実はB氏には伝えられず、一銭の慰労も無かったというのだ。

なぜ、このような事ができるのか、という事を、ムーア監督はつき詰めてゆく。
いつものような、特に『華氏911』に感じられたユーモアはあまりなく、
問題が身近で日常にあるだけに、じわじわと追い詰められる描き方だ。

映画のクライマックスは、なかなか衝撃的。
たぶん、アメリカ人なら知っている演説なのだろうけれど、
初めて観た私には、感涙ものの演説だった。
それは、在位の最後に収録されたF.ルーズベルト大統領の演説で、
『第2の権利章典』とよばれるものだそうだ。
その内容などは映画でご覧頂きたい。

試写会で、終映後に大きな拍手が起きたのにも、大いに納得の作品だ。

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