『だいだいいろの童話集』アンドルー・ラング世界童話集第10巻
「アンドルー ラング」の編纂による「世界童話集」は12巻あるそうだ。
「色別の童話集」とも呼ばれるその12巻の色名は、
青、赤、緑、黄、桃、灰、菫、深紅、茶、橙、薄緑、薄紫の12色。
「だいだい色の童話集」を読んだ限りでは、
色と収録されている物語は無関係のようだ。
それでも、さすがに10巻目ともなると、近場の童話では足りなくなってて、
最初の物語はアフリカの童話。
これがまた、なにやらマルケスの原点のような不思議なお話。
日本にも似たようなのがあった気がするが、
「立派な男の子が、各地の猛者を従えて旅をする。
けれど、やがて、対等の存在と出会い、雌雄を決して天に召される」
という話。
寓意を感じない、純粋な「お話」という感じだ。
もちろん、寓意の多い物語もたくさんある。
そして、その寓意に込められた価値観が、地域や民族を越えて、
意外にも共通しているのも面白い。
たぶん原書にあったのであろう「挿絵」も多く収録されている。
「既に『物語』は語りつくされた。後はバリエーションの時代だ」
という意見を見聞きしますし、私もそんな気がしています。
ただ、だからこそ、『物語』の原点を多く知る事が面白いのだと思うし、
それには、こういった「世界の童話」を読む事が必要になると感じている。
多くのバリエーションを楽しみたいのなら、いつか読んでおきたい全集だと思った。
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