« 日本の夏、うず潮の夏、、、ちょっと台風きてたけどっ。 | トップページ | 『ナイト ミュージアム2』 »

2009年8月13日 (木)

『RENT』 + アフター・トーク・イベント

と、言うわけで、『RENT』再び。

Rent3

アダムパスカルくんが登場するトーク・イベントがあるという事だけで、
急遽追加取得したこの日のチケットは、
しかし、8日にこの『RENT』を観た後には、
「もう一度この舞台を観るチャンスを手に入れておいてよかった」
というワクワクをもたらしてくれた。

とりあえず、そのイベントのこと。
イベントは、舞台が終って10分ほどして始まり、15分ほどだった。
登場してくれたのは、我らがアダムパスカルくんと、高良結香さん。
用意してある質問に答えるという寸法。

日本の観客の印象を、二人とも、
「作品へのリスペクトを感じるけれど、とても静かな観客」
と感じているそうだ。
それは、
「欲張りな、観たいものを観に来るアメリカの観客」
との対比のようだったけれど、
それでも、この『RENT』の観客ほど加熱している客も珍しいので、
逆に、ブロードウェイの観客って、どんなにうるさいんだろう?とも思う。
 (実際、有名俳優が舞台に出てくるだけで大きな拍手が起こったりする<BW)

その観客が冷静だったので、
9日の夜公演の時に起きた地震でも、
「観客が冷静だから、たぶん、大丈夫なのだろう」
とアダムくんは思って芝居を続けたそうだ(笑)
舞台裏にいた高良さん達は、かなり動揺していたらしい。

アンサンブルの役名が微妙に変っていたり、
電話番号が変っていたりする理由を聞かれていたが、
二人とも知らなかった。
 (ちなみに、アメリカの舞台・映画・テレビの中に出てくる電話は、
  総て「555」で始まる事になっていた。。。最近の映画では、あまり聞かない)

アダムくんは、久しぶりに「ロジャー」に戻ってきた事に関して、
「時間が経過し、環境などの変化があって、楽にロジャーをやれている。
 特に96年のオープニングでは、ジョナサンを喪ったという事で感情的だったが、
 いまでは、その悲しみも癒されてきてると感じている」
と応えてくれた。これは、とても興味深いことだ。

このイベントでは「リスペクト」という言葉が何度も出てきた。
「リスペクト」には、なかなかしっくり来る日本語が無いと思うのだけれど、
要するに、尊敬し、大切にし、関心を持っている、というニュアンスだろう。
で、今回の公演を観て、改めて『RENT』という作品にリスペクトするけれど、
それはやはり「ジョナサンラーソン」という才能に対するリスペクトが核になっている。

と、同時に、このようにして初演の主役が二人揃ってツアーを行い、
それが日本にまで来てくれるというそのこと自体に、
アダムパスカルやアンソニーラップの、ジョナサンに対するリスペクトを感じる。
 (そしてまた、その二人の姿勢に対しても、観客はリスペクトする)

これほどの作品を書き上げた彼に、今一度伝えておこう。
" Thank you Jonathan Larson. "

さて、この『RENT』という作品の魅力とは、ではなんだろう?

みかん星人にとっての最大の魅力は、曲そのものだ。
まるで、ロック・コンサートそのものといった興奮とグルーヴ。
それが脈絡を持って、描き出された感情と共に届けられる。
情熱や苦悩や不安や希望が、
「それ」とハッキリ解るメロディーとリズムで増幅されて、共鳴する。

それにしても、ジョナサンラーソンの才能というのは、凄い。
作曲の多彩さも凄いけれど、
今回、特に強く感じたのは、歌詞の響きの美しさだ。
英語としては半分も理解できないのが残念だけれど、
歌詞に施された「韻」が、何度聞いても心地よいし、
不思議な満足感を与えてくれる。

俳優が、比較的自由に行動している感触も、この演目に似合っている。
とりわけ、悪戯好きな雰囲気のあるロジャーが動くと、
何気ない仕草でも可愛かったりする。
ロジャーは舞台の上にいる時間が(一幕の前半では特に)多くて、
他の人が歌っていても、ついついロジャーを見てしまうという感じだったり(笑)

2006年に、厚生年金会館で観た『RENT』では、
歌唱はともかく、舞台そのものにあるべき「物語」が感じられず、失望した。
今回の『RENT』を観て、その違いがなんとなく分かったのだけど、
それはマークに感じる【孤独】にあるように思う。
2006年のマークは、本当に進行役で、物語を纏っていなかった気がする。
が、アンソニーラップくんのマークは、いろんな場面で酷く孤独で、
そして、どの場面でも、居場所が無い感じだった。
それは『La Vie Boheme』ですら、そうだと感じさせる。
それがアンソニーラップくんの雰囲気のお陰で「いい人オーラ」に包まれ、
なんとも複雑で、そしてリアルなマークになっていた。

うん、なるほど、何度でも観たくなる作品だと思う。
「ブレイクスルー・シート」に挑戦してみたけれどハズてしまった。
もっと近い劇場なら、毎回この抽選に挑戦してしまうだろうなぁ。

|

« 日本の夏、うず潮の夏、、、ちょっと台風きてたけどっ。 | トップページ | 『ナイト ミュージアム2』 »

コメント

るいさん、コメントありがとう。

突発した甲斐がある舞台でしたね。
イベントがあることで、アダムパスカルのロジャーが観られると安心できましたし(笑)

この日のお客さん、に限らないのかもしれませんが、
通訳さんが訳す前に、多くのお客さんが反応してましたね。
いかにも「レント・ヘッズ」という感じで、
そんな雰囲気も楽しかったです。

投稿: みかん星人 | 2009年8月25日 (火) 午後 11時41分

こんにちは、みかん星人さん。

このトークイベントへ行く予定ではなかったんですが、おぢさまの記事を読んでると、どーしても観に行きたくなって(笑)
「突発」してしまいました
四季以外でしたのは初めてですよー。

このトークイベントも読んでると蘇って一人にやけてます(笑)
通訳さんよりわかりやすい日本語なので、RENT並に繋がりを意識して(!?)リンクさせて頂きました
お世話になりまーす(笑)

投稿: るい | 2009年8月25日 (火) 午後 11時31分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『RENT』 + アフター・トーク・イベント:

« 日本の夏、うず潮の夏、、、ちょっと台風きてたけどっ。 | トップページ | 『ナイト ミュージアム2』 »