今日の、福井晶一くん、、、見事な死に様!
久しぶりに、福井くんを拝見しました。
先に書いてしまうと。。。
「ワールドツアーWSS」と「劇団四季WSS」の最大の違いは、
役者、歌、演出といった部分ではなくて、「オーケストラ」の違いが大きい。
それは劇団四季WSSが録音であるのに対して、
「ワールドツアーWSS」が「生演奏」という部分ももちろんあるんだけれど、
「音楽」そのものがかなり違う。
こちらの記事に載せたYouTubeの映像を聴けば分かると思うけど、
この『なにかが起こりそう』、
「ワールドツアーWSS」のは、管と打楽器を全面に出して軽快でマーチのよう。
(このオーケストラ、金管が5人、木管が4人ほどいた・・・全部で20人以上!)
ところが、劇団四季の録音オケは、弦が主体で、
滑らかではあるが時に重く、とても「予感にわくわくする」ようには聴こえない。
それは他の楽曲でも同じで、
特に、劇団四季の『トゥナイト-クインテット』の録音オケは、
何が鳴っているのか判らないほどに混沌としていて、
舞台の上の多重唱と重なると、音圧は見事だけど、鈍重に聴こえる。
劇団四季は、10月からの東京での『アイーダ』も録音でやりそうなんだけど、
『オペラ座の怪人』すらも、東京以外では録音オケ上演というのだから信じられない。
基本的に「ミュージカル・プレイ」は生演奏がデフォルトだと思う。
(しかも、生オケではない理由が「演奏者不足」というから驚きだ(笑))
東京でのWSSは生演奏だったし、だからオーバチュアの「マンボ」も魅力あった。
(神戸のこの回では、お客さん?がオーバーチュアで「マンボ!」と叫んでくれた)
それでありながら「これが本物」と言うのだから、笑ってしまう。
と、
「ワールドツアーWSS」と「劇団四季WSS」の格の違いがあっさりと判ってしまったので、
その後は、ひたすら俳優の演技に注目していた(笑)
(歌い出しても、歌ではなくて演技に注目。。。という感じ)
まず、素晴らしかったのは萩原くんのベルナルドだ。
夢を抱いてやってきた新世界で受けた屈辱の数々が、
たぶんに、妹や友人を大切にする彼の優しさを苛んで、
絶えず苛々している男・ベルナルドがいた。
加藤ナルドのような「怖さ」ではない、むしろ「痛々しい」ナルド。
とっても愛しいベルナルドだった。
そして、我等が福井トニー。
正直いえば、このソワレの彼は、一幕では「まあまあ」だった。
が、二幕、まず『Somehere』での総てが、泣けるほど良かった。
けっして足元を見ることも無く、ひたすら理想を夢想するトニー。
予感していた「なにか」と出会って、本当の「アントン」を生きようとするトニー。
やわな(笑)バレエではない、誇りと期待に満ち満ちているパワフルなダンス。
まさに、福井晶一くんの独壇場という場面だった。
靴紐もなんとかこなした彼の、更なる高みは、ラストにあった。
舞台の上で、重要な人物が死にゆく場面はいくつもあるが、
このWSSのトニーと、レミゼのエポのそれは、
「ミュージカル作品らしい死に方」の典型かもしれない(笑)
要するに、歌いながら死んでゆくという、
ミュージカル嫌いな人にとっては最悪の場面(格好の標的?)になっている。
実は、みかん星人も、こういう場面は、ちょっと苦手だ(爆)
でまぁ、だから、もう一人のトニーくんの、
まだまだ元気そうな死に方には苦笑したものだ。。。
しかしながら、福井トニーくんは、この日、とても見事に逝った。
そもそも、この記事で福井狂さんが書いている、
「福井くんの死に方はすごく上手い」というのは聴かされていたけれど、
「まだ、本当に信じてはいなかったんだ」といったところだった。
が、この舞台のトニーくんの死に様は、
まさに「信じなかった自分自身に対する悔しさでいっぱい」の風情で、凄い。
冒頭にも書いたけれど、「ワールドツアーWSS」を観た後なので、
いま、劇団四季のWSSを観たら、すごくガッカリするのでは?と思っていたのだが、
実のところ、オーケストラ以外の部分、そして一幕のクライマックス以降は、
劇団四季の舞台がみせてくれる演出の細やかさを再認識していた。
ワールドツアーの舞台は、確かに歌は圧倒的だったし、ダンスも凄い。
けれど「余韻」というか「ため」というか、心情の描き方が大雑把だった。
例えば決闘シーンでのトニーの暴走が伝わってこなかったりしたし、
なにより、このラストシーンでの演出が実に粗く(笑)<ワールドツアー版
「まあ、随分と違うのね。。。」と、そんな事ばかりに感心していた
こうして、改めて劇団四季のWSSをみると、
それが日本語で演じられているから、という事とは全く別に、
一人一人のキャラクターと物語を丁寧に描こうとしているのが分かる。
そして、福井トニーの見事な最期もあって、「なるほど」と思った次第。
尤も、「丁寧だから良い」というものでも無いんだけれどね(笑)
説明過多というか、余計なお世話な部分もあると思う。
(実際『春のめざめ』は、総てにおいて説明過多)
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コメント
とみさん、コメントありがとう。
いやいや、初めて拝見した萩原ナルドは、
劇団が、この作品に無理やり押し付けようとしている印象とは違うもので、
たぶんにオリジナルが持っている「アメリカという仕組みの怖さ」が感じられましたね。
ワールドツアー、字幕を気にせず、存分にお楽しみください!
投稿: みかん星人 | 2009年8月11日 (火) 午後 11時48分
>みかん星人さま
萩原さんのベルナルド。遠征前半と人格変わっておられました。恋人や妹を守り、集団を束ねる優しい兄貴でした。
福井さんの絶好調もあって、サイコーでした。
来週は来日が兵庫県に来られますので行きます。
投稿: とみ | 2009年8月10日 (月) 午後 12時58分