今日の、トニーくん、、、ある意味、必見。
と、いうわけで、こちらで予告した通り(笑)
またしても『ウエスト・サイド・ストーリー 50周年ワールドツアー公演』を観に行った。
今日のトニーは、「チャド ヒリガス」くん。
前回は「スコット サスマン」くんだった。
トニー以外の役者は、分かる限り、前回と同じ。
マリアは「アリ エウォルト」で、ちょっと面白い経歴の人。
なんと、TDSの『アンコール!』に出ていた事があるそうだ。
たぶん、みかん星人、観ているんだろうなぁ、、、彼女を。
さて、ありがたい事に、みかん星人はこの二人のトニーを観たのだけれど、
ぢつは、けっこう違いのある二人だ。
キャスト・リストの順で言うとチャドくんの方が上で、彼は「オペラ畑」の人らしい。
で、こんな感じ。
歌は、このように、めちゃめちゃ上手い。。。
けど、ちょっと芝居が弱い、、、というか、トニーとはちょっと違う感じだ(笑)
もう一人、東京の初日に登場したのが「スコット」くん。
ページを読むと、スタンドアップ・コメディアンの経験もあるらしい。
(stand-up comedianは、映画『マン・オン・ザ・ムーン』参照(笑))
パワフルで男らしい動きが「いかにもトニー」という雰囲気で良かった。
歌はチャド君に技法で敵わない感じがあるけれど、
「ワクワクしているトニー」というニュアンスがとても魅力的だった。
ともかく、この二人のトニーは、
どちらも「他の男の子」とは全く違った存在として舞台にいて、
この物語が、間違いなく「トニーとマリアの恋物語」であることを感じさせてくれた。
この「トニーとマリア」が際立った存在として機能しているのが、
劇団四季のWSSと全く違う印象を残す要因だったと思う。
歌ばかり書いているけれど、
この「ワールドツアー」のダンスも、やっぱり、凄い。
実は、初日の冒頭では「あれれ?」と感じた場面があった。
それは、立っている3人をそのまま飛び越えるアクションだったり、
つばを掛けた相手に飛びかかるジャンプの滞空時間とか(笑)
なんとなく「あー、、、やっぱり、ツアー俳優なのかな?」と思った。
2度目に観た時にも、この辺りはやっぱり同じだったので、
もしかしたら、演出なのかな?と思ってあげたりして・・・・
ともかく、その冒頭「プロローグ」が終って、
トニーの歌に驚いて、ベルナルドが真っ赤なスーツなのに驚いていると、
暗転した舞台に赤いスポットライトが4つ浮んで、
その中を体育館に向かうペア達が駆け抜けて体育館の場面になる。
この場面転換の上手さにドキドキしていると、
グラッドハンドの指導によるゲームが始まり、その音楽が止まる。。。
か、止まらないかのうちに、リフがグラシェラの手をとって踊り始めてしまう。
そして始まる「マンボ」のなんという迫力!
互いに仕掛ける「はないちもんめ」な部分も、特にジェット・ガールズがパワフル。
この場面で出てくるトニーを見ているのが惜しくなるほどのダンスだ。
この後も『クール』での揃い方が絶妙だったり、
『サムウェア』でのダンサーの動線がとっても綺麗だったりする。
劇団四季の専用劇場の一番遠い席の更に倍ほどもある距離から観ているのに、
受取るエネルギーは劇団四季の上品なダンスとは比べ物にならない程熱い。
観ているだけなのに、体温が上がって、息苦しくすらなる(笑)
そもそも、このワールドツアーWSSは、とても早く展開する。
20分の休憩を挟んで2時間20分で終ってしまうから、
劇団四季のものより、30分以上も短いのだ。。。凄い違い。。。
曲のテンポも早しい、展開も早い。
(なにしろ、マリアとアニタが歌い終わると同時にシュランクがやってくる(笑))
若者達の「急ぎすぎた2日」を描いている作品なので、
このテンポ、展開の早さは、納得の行くものだったし、
やっぱり、芝居は、こんな感じで駆け抜けてくれると、
余計な事を考える余裕が無いので(笑)気楽に楽しめる気がする。
この舞台を観て感じたのは、
みせる側が作品の良さと力を完全に信じているという事だった。
だから、一人一人が作品と直接向き合っている。
これは、劇団四季の『春のめざめ』の5月に感じたイメージだけど、
あの劇団は、みせる側が「作品」とは違うものと向き合って、
その違うものの意向の中で一人一人が立ち止まっているようだった。
その後、いまの『春のめざめ』は、見放された故か、すっかり開放されて(笑)
かなり清々しい熱風が吹いていて心地よいんだけどね(爆)
ともかく、久しぶりに、
「あー、やっぱり本場の芝居を観たい」と思ってしまう、強烈な舞台だった。。。
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コメント
とみさん、コメントありがとう。
なるほど、高井トニーかぁ。。。ラインはそれですね。
たぶん村トニーだと、ちょっと路線がズレルかも知れませんが。。。
演出を、たとえば衣装など、変えての上演は、
この作品を「古い物語」ではなく「身近な出来事」にしてくれる力がありますね。
(まあ、携帯電話とか出てくると困っちゃうんですけど(笑))
どの時代の観客に合わせても、
物語が持っている「普遍性」が揺るがないのが名作だと思いますし。
(なにしろ、オリジナルは400年も前・・・)
俳優への愛情は、
「どんな役で登場するか」にあるのではなくて、
「どんな役でも愛しく感じる」ところにあるのでしょう。。。
投稿: みかん星人 | 2009年8月23日 (日) 午前 12時48分
>みかん星人さま
四季のカンパニーが去ったのとすれ違いにワールドツアーが兵庫県に来られました。15日、チャド・アリペアで見ました。
歌、めちゃ上手。こんな方がトニー役者なんですかぁ。スコットさんも見たかったな。高井さんのトニーありです。
伝統も大事ですが、新演出による現代性の加味は意義ありますねぇ。子どものころに初めて映画見たとき(リバイバルです。)のようにおいおい泣きました。
あんな男に二重唱、トゥナイト五重唱は震えましたねぇ。
ミュージカルに求めるものが日米で違うのですが、歌詞と台詞の翻訳の重要性は感じました。Te edoro は訳してはあきません。
ま、福井さんへの愛はかわりません。
投稿: とみ(風知草) | 2009年8月17日 (月) 午前 11時13分