« 『築城せよ!』 @ 新宿ピカデリー | トップページ | 今日の、福井晶一くん、、、愛はけして消えない? »

2009年7月 2日 (木)

『セントアンナの奇跡』

「スパイク リー監督」の新作『セントアンナの奇跡』を観てきた。
スパイクリー監督というと、『ドゥ・ザ・ライト・シング('89)』で物議を醸して以来、
≪人種差別≫というキーワードで最も注目される監督だろう。

ミュージカル好きな人には、『RENT』の歌詞で耳にしているかな。
1996年に初演となった『RENT』は、
ジョナサンラーソンが7年の努力の末に結実させた作品だが、
その中の『Light My Candle』に監督の名前が出てくる。
『ドゥ・ザ・ライト・シング('89)』で話題というか、物議を醸した彼に、
ジョナサンはニューヨークらしさを感じていたのかもしれない。

ともかく、この『セントアンナの奇跡』は、
監督の名前が何より強力な引力を持つ作品だ。
とは言うものの、監督らしい物語や、メッセージ、テーマという部分よりも、
まず「画の綺麗さ、強さ」に圧倒される。
冒頭、かなりショッキングな事件の、その痕跡の強烈にして鮮烈な恐ろしさは、
しかし過剰ではなく、むしろ導入として見事であり、
最後には、その冒頭に設えておいた事件の衝撃度の意味を納得させてくれる。

と、いつに無く、映画の内容に踏み込んでしまっているが、
この『セントアンナの奇跡』は、そのタイトルに似合わず、意外と血なまぐさい。
なにしろ、タイトルの「セントアンナ」はナチスが虐殺を行った場所。
ナチスは「パルチザン(抵抗運動)掃討」として、民間人を大量に虐殺している。
 (もっとも、こういった行為はナチスに限ったことではないんだけどね)
「セントアンナ(サンタンナ・ディ・スタッツェーマ)」でも市民560名を殺した。
映画では、実際にこの虐殺が行われた場所でもロケをしている。

この「セントアンの虐殺」も知らなかった事だけれど、
もっと驚いたのは、第二次世界大戦における、アメリカ軍の黒人兵の存在。
そういえば、映画『史上最大の作戦』に黒人兵っていなかった気がするし、
「バッファロー・ソルジャー」という存在も知らなかった。
 (そういえば『バルジ大作戦』には黒人兵のエピソードがあったかな・・・)
この映画に登場するのは、そんな中で、初めて設立された黒人の部隊。

もう、この部分だけで、
いかにもスパイクリー監督の映画だなぁ、と思ったりするんだけど、
更に、監督は、
「この奇跡は、黒人だからおこせたんだ」
と言わんばかりの展開を見せてくれる。

そもそも「奇跡」なんて、偶然の重なりが総て上手く運んで、
そして起きた結果を指すんだろうけれど、
監督が注目したのは、
「そんな偶然の中に潜んでいる善き行い」
なのだと思う。

「右に行くか、左に行くか」
という選択がもたらす偶然には、善き行いが潜む度合いが少ないけれど、
例えば、
「エレベータに乗ろうとしている人を見かけた時、【開】を押すか・押さないか」
という選択がもたらす偶然には、善き行いが潜む度合いが多い。

とある出来事、あるいは人に関して、
関わった人々全員が「善き行い」に基づいて選択した場合、
それは「奇跡」と感じる出来事になるのかもしれないし、
もしかしたら【神】という存在は、その人々の「善き行い」の中にいるのかもしれない。

この映画は、とても血なまぐさく、人間の愚行ばかりを描いてるのだけれど、
観終わった後に感じるのは、【神】を信じたくなる気持ちだったし、
この映画の中で【神】を見かけたような気持ちにもなった。

正味2時間30分の長い映画だけれど、観る価値のある映画だ。

|

« 『築城せよ!』 @ 新宿ピカデリー | トップページ | 今日の、福井晶一くん、、、愛はけして消えない? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/60933/45511239

この記事へのトラックバック一覧です: 『セントアンナの奇跡』:

» セントアンナの奇跡 [映画君の毎日]
●ストーリー●1983年、平凡な黒人の郵便局員が客を射殺する不可解な事件が発生。この事件の背景には、第二次世界大戦中のイタリアでのとある出来事が隠されていた。黒人だけで組織された“バッファロー・ソルジャー”の4人の兵士は部隊からはぐれ、イタリア人の少年(マッテオ... [続きを読む]

受信: 2009年7月27日 (月) 午後 06時39分

« 『築城せよ!』 @ 新宿ピカデリー | トップページ | 今日の、福井晶一くん、、、愛はけして消えない? »