『築城せよ!』 @ 新宿ピカデリー
試写で観た映画を金を払ってもう一度観る、という経験は、2度目。
ただ、その1度目の『カジノ・ロワイヤル』は、前売券を買ってあったからで、
今回のように、
「試写を観て、どうしてももう一度観たくなった」
という映画は、この『築城せよ!』が初めてだ。
(とは言え、ファーストデイで1000円だったからもあるんだけど
)
でまぁ、試写で観た時に感じた「ひどさ」は、
あらかじめ覚悟して臨んだ2度目の鑑賞であっても、少しも衰えず、
およそ、始まって30分内外、退屈というか、むしろ妙な怒りすら感じた![]()
途中、
「ほんとに、もう一度観たくなるほど、良かったんだっけ?をれ?」
と自問自答したりして。
「ひどい前半」の大きな理由は、二つ。
一つは、カメラが不安定で、折角の美しい映像が台無しになっていること。
あまつさえ、焦点が合ってない場面が多くて、場面の意図が伝わらない。
もう一つは、物語がなかなか始まらないこと、だ。
絶えず揺れ続ける映像は「はやり」だとしても、
とりわけどうしても許しがたいのは、焦点(ピント)の甘さだ。
改めて画像をみると、このカメラ【RED ONE】の性能の凄さが解る。
微妙な絞り(アイリス)の変化で起きる深度の変化が、
まるでフィルムに残されたかのように滑らかに記録されている。
なのに!だ、大事なところで、大事な部分に焦点が合ってないことが何度かある。
そこでの表現の軸を外してしまったら、
監督達が、「映画は映像で伝える!」を理解してないことがバレちゃうのに。。。
そして、、、物語の構成も、ひどい、というか残念に思った。
この映画の魅力は、ダンボールで本当に城を作り上げてしまったことにある。
なのに、映画が半分ほど進まないと、ダンボールでの築城が出てこない。
だから、もっとみてみたいと思う、
「ダンボールで築城する工夫・細工・苦労」が少なくて、すごくもったいない。
きっと、ドラマが全く無いダンボール築城ドキュメンタリ映画であっても、
観客を呼べるんじゃない?
(むしろ、その方が、ドキュメンタリ映画でオスカーを狙えたかも
)
と、まあ、お金払って観てまで貶してもしょうがないんだけど、
「そんな映画なんだけれど、でも、私はこの映画がもの凄く好きだ」
というお話は、「続き」の中で。。。。
再見してみて感じたのが、
築城を阻止しようとする町長・江守徹氏の演技の確かさだ。
築城を願う【殿】を旧派・歌舞伎の役者が演じ、
ペットボトル工場建築を公約とする【町長】を新劇の役者が演じている。
そういう対比で観ていると、本当に面白い。
「型」とか「風情」を感じさせて存在をアピールする【殿】は、
故に時代との違和が際立って、逆に恐ろしいほどに本物だと感じる。
一方の【町長】は、心理の変化を細かい芝居で表現して、
いかにも今まさに存在する役人として憎々しいほどだ。
クライマックス、この二人が「自分の信じるもの」を突き付け合う場面は、
それまでのいろんな不満を一気に蹴散らしてしまうほどの対峙だった。
もちろん、丁寧に再見させていただいた片岡愛之助氏は、
あたかも、無彩色の部屋に置かれた柿右衛門の作品のようで、
この映画の中における次元の違いが、そのまま時代の違いとして伝わり、
400年前に本当に存在していた人物としか思えなくなってくる。
また、自分に足りないものに気が付いた殿の変化や、
鎧を脱いで颯爽と歩いて登場するといった肝心な場面での愛之助氏は、
思わず声を掛けたくなるほどに魅力的だった。
ぜひとも、舞台での彼を拝見したい![]()
再見したクライマックスは、
「ガッカリした部分」に更に失望したのと同じように、
試写で「もの凄く興奮し、感動した」あの気持ちの倍以上を感じた。
最後の20分だけ、一日じゅう観ていたい!![]()
いままで、実に多くの「感動」を経験してきたけれど、
この『築城せよ!』が与えてくれる感動は、とても充足感のあるもので、
「胸の中が、温かいもので満たされて、ふくれあがる」感じだ。
で、いろいろと思い巡らしていて、似た感覚を思い出した。
『コーラスライン』だ。
最近映画にもなって、あれもなかなか素晴らしかったけれど、
やはり舞台の、そう自由劇場で、ザックの隣でみた『コーラスライン』の感動。
夢中になって何かに挑む。
その結果が後世に残るか?評価されるか?ということではなく、
ただひたすらに挑んだことを大切にし、誇りに思い、心に刻む。
それが、この『築城せよ!』が与えてくれる感動の正体だ。
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コメント
こんばんは!
改めてご覧になったんですか!? いやあ、それはそれは。 すごいですね。
前半は確かに映像がとても雑な印象で、しかも物語の展開がとっても強引で、これが続くようだったら観るのやめようと思うくらいのスゴさでした。
それが殿の登場とともに雰囲気ガラっと変わるのもすごいです(笑
もしかして、演出が数人いたのでしょうか?
それでもクライマックスの妙な感動に至ってしまうところがこれまた不思議。
私も、ダンボール城が観たくて試写に行っただけに、愛工大さんの協力の下、メイキング要素も織り交ぜても面白かったのではと思いました。もちろんご案内役は愛之助さんということで(笑
投稿: rose_chocolat | 2009年7月 4日 (土) 午後 09時07分
rose_chocolatさん、コメントありがとう。
凄いでしょ?呆れちゃうでしょ?
我ながら、どうして「もう一度」と思ったのか、、、
ただ、今も、「もう一度」という気持ちがあるのが不思議です。
たぶん、ホントに、最後の20分のためだけ、なのでしょうね。
確かに、愛之助さんが案内で、
『ダンボール城メイキング映画』として1時間の短編を同時上映したら、
これはもう、すっごく観たいですね。
うーん。。。あのプロデューサーさんなら、映像素材から作りそうだ(笑)
DVDに期待しましょう。
投稿: みかん星人 | 2009年7月 5日 (日) 午後 11時09分