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2009年7月18日 (土)

『スペリング・ビー』 @ 天王洲銀河劇場

2005年に発表された『第59回トニー賞』で、
「ミュージカル助演男優賞」と「ミュージカル脚本賞」を受賞した作品、
スペリング・ビー』が、いまようやく日本で上演されている。

この作品は「英単語綴り暗唱コンテスト」を舞台にしているので、
日本での上演は難しいと思っていた。
もしかしたら、舞台をあの「漢字検定」に翻案して、、、なんて思っていたけれど、
もちろん、ちゃんとオリジナルを尊重した舞台での上演。

とにかく、興味津々で観に行った。

Spellingbee

劇場は「スペリング・ビー パットナム郡大会の会場」そのものになっていて、
客席はそのまま大会会場の観客席という設定。
芝居が始まっているにもかかわらず、登場する司会者が、
「携帯電話などの使用は、出場者の集中を妨げますので使わないように」
といったアナウンスなんかもしたりする。

さて
「どうやって英単語の暗唱を舞台に乗せるのか?」と心配していたのだが、
この作品のポイントは、その綴りの言い合いにあるのではなかった。
まあ後になって考えれば良く分かるのだけれど(笑)
トニー賞の作品賞にノミネートされた程のこの作品の面白さは、
「大会そのそもの」ではなくて「大会参加者そのもの」にあったのだ。

(普段の生活では使わない難しい)英単語を暗唱する子ども達だから、
「優秀な児童」が登場する、、、のではなく、そこに様々な物語がある。
2009年の実際の大会でも、
決勝進出者11人のうち8人がインド系・アジア系の子どもで、
参加者全体でも11%がノン・ネイティブ、
40%が英語圏以外の子どもだったとうことらしい。
子どもがこの大会で優秀な成績をおさめる
という事が、
「アメリカ人の一部である」という誇り?に結びついたりもするようだ。

つまり、この舞台に登場する子ども達の「背景」に今のアメリカ社会が滲んでいる。
特に親との関係に見えてくるアメリカ社会は、なかなか重要で興味深い。

もちろん競技会だから、優勝者は一人で、他の者は全員が敗者、という寸法。
「敗北」という現実に向き合わなければならない子どもの様子もまた、面白い。
唖然として混乱したり、ふとした事で【勝敗】という価値観を見直したり。
そしてまた「勝ち抜く」という事がどういう事なのかを考えたり。

また、面白い事に、
そういった勝敗によるストレスをケアする役目のオブザーバーが存在する。
この存在がまた、なんとも、凄いのだけれど。。。ここから先は、舞台にて!

最初の週末だったけれど、空席が多かった。
さすがにトニー賞を取った脚本は素晴らしいし、登場する役者も粒揃い。
いかにもミュージカルらしい部分も用意されているし、
なにより「生演奏」の舞台なので、音がめちゃめちゃ楽しいのだ。

そして。。。なんと、この舞台に参加できる機会が用意されている!

「観客が舞台の上にのぼる」という作品では、『春のめざめ』などがあるが、
この『スペリング・ビー』の舞台への参加レベルは、半端じゃない!
出演している俳優さんのファンなら、毎日でも通って参加すべきだと思う。

Entry1

この大会のミツバチのロゴのあるこの机でエントリー。
ちなみに、彼らが飲んでいるのはノンアルコールのハチミツ入りドリンク。
 (【bee】とはミツバチの他に「隣人との寄り合い」という意味があるらしい)

Entry2

さて、ここにエントリーして、参加できると、どうなるのか。。。は、続きに。

エントリーが叶うと「参加証」が手渡されて客席で待つ事になる、、、らしい。
 (あのクマ君たちもエントリーしたけれど、出場は叶わなかった・・・)

芝居が始まると、司会者に呼び出されて、舞台に上げられる。
そして、他の役者達と同じ「参加者ひな壇」に座らされて、
さらに、指名されると舞台の中央にあるマイクの前に出て、
英単語の綴りを暗唱させられるのだ!(笑)

舞台は、大会の場面ばかりではなくて、
時折そこでダンスなんかもするのだけれど、、、
一般参加者も、もちろん、そこで踊る事になる(笑)
それがまた、なんとも楽しげで、羨ましい!

たぶん、そうそう簡単に乗せてもらえないみたいなのだけれど、
もし観劇するのなら、絶対に参加エントリーしておくべきだ!

特に、今井さんのファンは、なんとしても勝ち取ろう!(笑)

あ。。。あと、、、坂元さんのファンは、大爆笑必至です。

というか、、、あれ、坂元さんだから、、、の演出なのかな?
どーせなら、今井+坂元+新妻で、別のミュージカルも匂わせて欲しかったり(爆)

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