『スペリング・ビー』 @ 天王洲銀河劇場
2005年に発表された『第59回トニー賞』で、
「ミュージカル助演男優賞」と「ミュージカル脚本賞」を受賞した作品、
『スペリング・ビー』が、いまようやく日本で上演されている。
この作品は「英単語綴り暗唱コンテスト」を舞台にしているので、
日本での上演は難しいと思っていた。
もしかしたら、舞台をあの「漢字検定」に翻案して、、、なんて思っていたけれど、
もちろん、ちゃんとオリジナルを尊重した舞台での上演。
とにかく、興味津々で観に行った。
劇場は「スペリング・ビー パットナム郡大会の会場」そのものになっていて、
客席はそのまま大会会場の観客席という設定。
芝居が始まっているにもかかわらず、登場する司会者が、
「携帯電話などの使用は、出場者の集中を妨げますので使わないように」
といったアナウンスなんかもしたりする。
さて
「どうやって英単語の暗唱を舞台に乗せるのか?」と心配していたのだが、
この作品のポイントは、その綴りの言い合いにあるのではなかった。
まあ後になって考えれば良く分かるのだけれど(笑)
トニー賞の作品賞にノミネートされた程のこの作品の面白さは、
「大会そのそもの」ではなくて「大会参加者そのもの」にあったのだ。
(普段の生活では使わない難しい)英単語を暗唱する子ども達だから、
「優秀な児童」が登場する、、、のではなく、そこに様々な物語がある。
2009年の実際の大会でも、
決勝進出者11人のうち8人がインド系・アジア系の子どもで、
参加者全体でも11%がノン・ネイティブ、
40%が英語圏以外の子どもだったとうことらしい。
子どもがこの大会で優秀な成績をおさめるという事が、
「アメリカ人の一部である」という誇り?に結びついたりもするようだ。
つまり、この舞台に登場する子ども達の「背景」に今のアメリカ社会が滲んでいる。
特に親との関係に見えてくるアメリカ社会は、なかなか重要で興味深い。
もちろん競技会だから、優勝者は一人で、他の者は全員が敗者、という寸法。
「敗北」という現実に向き合わなければならない子どもの様子もまた、面白い。
唖然として混乱したり、ふとした事で【勝敗】という価値観を見直したり。
そしてまた「勝ち抜く」という事がどういう事なのかを考えたり。
また、面白い事に、
そういった勝敗によるストレスをケアする役目のオブザーバーが存在する。
この存在がまた、なんとも、凄いのだけれど。。。ここから先は、舞台にて!
最初の週末だったけれど、空席が多かった。
さすがにトニー賞を取った脚本は素晴らしいし、登場する役者も粒揃い。
いかにもミュージカルらしい部分も用意されているし、
なにより「生演奏」の舞台なので、音がめちゃめちゃ楽しいのだ。
そして。。。なんと、この舞台に参加できる機会が用意されている!
「観客が舞台の上にのぼる」という作品では、『春のめざめ』などがあるが、
この『スペリング・ビー』の舞台への参加レベルは、半端じゃない!
出演している俳優さんのファンなら、毎日でも通って参加すべきだと思う。
この大会のミツバチのロゴのあるこの机でエントリー。
ちなみに、彼らが飲んでいるのはノンアルコールのハチミツ入りドリンク。
(【bee】とはミツバチの他に「隣人との寄り合い」という意味があるらしい)
さて、ここにエントリーして、参加できると、どうなるのか。。。は、続きに。
エントリーが叶うと「参加証」が手渡されて客席で待つ事になる、、、らしい。
(あのクマ君たちもエントリーしたけれど、出場は叶わなかった・・・)
芝居が始まると、司会者に呼び出されて、舞台に上げられる。
そして、他の役者達と同じ「参加者ひな壇」に座らされて、
さらに、指名されると舞台の中央にあるマイクの前に出て、
英単語の綴りを暗唱させられるのだ!(笑)
舞台は、大会の場面ばかりではなくて、
時折そこでダンスなんかもするのだけれど、、、
一般参加者も、もちろん、そこで踊る事になる(笑)
それがまた、なんとも楽しげで、羨ましい!
たぶん、そうそう簡単に乗せてもらえないみたいなのだけれど、
もし観劇するのなら、絶対に参加エントリーしておくべきだ!
特に、今井さんのファンは、なんとしても勝ち取ろう!(笑)
あ。。。あと、、、坂元さんのファンは、大爆笑必至です。
というか、、、あれ、坂元さんだから、、、の演出なのかな?
どーせなら、今井+坂元+新妻で、別のミュージカルも匂わせて欲しかったり(爆)
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