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2009年7月 8日 (水)

『死者に祈りを』 by フェイ ケラーマン

「リナ&デッカー・シリーズ」の2冊目。
初めてこのシリーズを読んだ『正義の裁き』は、こちら

このシリーズの特徴は、
警察小説なのに「家族」と「宗教」が大きな比重を持っている事にある。
というよりも、「ユダヤ教徒家族の亭主が警察官である」と言うべき程。

そして、今作の『死者に祈りを』は、まともに宗教をテーマにしている。
事件に巻き込まれるのは、
著名な心臓外科医にして「キリスト教根本主義者」という人物。
そして、その息子は「ローマ・カトリック教会の神父」という、そういう関係。
読み進むと、さらに宗教において、ややこしい事にもなるのだけれど、
ともかく、この小説には、、
宗教を「人生で最も大切な事柄だと信じている」ひと達が出てくるのだ。

それが殺人事件とどんな関係なのか、、、はともかく、
「殺人事件」という非日常において、信仰心がどう機能するのか、
もっと言うと、信仰が篤い人にとっての人生とは何なのか?が描かれる。

また、同時に、被害者が名心臓外科医であった事から、
「心臓移植」という産業の様子が見えるのも面白い。
丁度、日本の「臓器移植法改正」のニュースが連日報道されていて、
書かれているとある部分に、「なるほど!」と、ちょっと寒い思いをしたりもした。

前作もそうだったが、
このシリーズ小説の最大の魅力は、妻・リナの存在だ。
動きの少なかった前作に比べて、
今作のリナは、かなり重要な存在で、そして魅力的だ。
夫・ピーターを決して裏切る事は無く、
しかしながら、全く従順ではないというリナは、
例えば、スペンサー・シリーズの「スーザン」の様であり、
つまりは、現代の「妻の鏡」なのだろうと思う。

前作の時にも書いたけれど、このシリーズは遡って読んでみたいと思うし、
今後の展開が、スペンサー・シリーズより遥かに、楽しみである。


死者に祈りを

  • フェイ・ケラーマン
  • 東京創元社
  • 987円

Amazonで購入
書評

【書評リンク】

ムムリク さん
poppen さん
matika さん

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