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2009年6月 6日 (土)

『築城せよ!』

2009年6月20日からロードショー公開の映画『築城せよ!』を観た。

みかん星人は、映画を観ながらメモをとったりするのだけれど、
この『築城せよ!』を観ながら書き記したことは、こんな感じ。

「愛知工業大学が制作に加わっている」
 (「製作」ではなく「制作」となっているところも注目だ)
「カメラが稚拙。揺れすぎで気持ち悪い」
 (その割りに映像が綺麗だったのは【RED ONE】だったからだ)
「芝居が下手すぎる。特に阿藤快は酷い」
「あまりにも都合のいい脚本。ドラマに入り込めない」

ともかく、見始めた20分ほどは、余りにも酷くて悲しくなった。
いまどき、こんな映画があるとは。。。と。

しかし、メモは、ここで終わっている。
いや、実は、総てを観終わった後に一言書いてあるのだが、それは、こうだ。

「最高に、面白かった」

この映画ほどに、中身を知らずに観た映画は、あまり記憶に無い。
主演の「片岡愛之助」も「海老瀬はな」も知らない(笑)
ほとんど「スニークプレビュー」状態で観たのだけれど、
改めて、こうして「なにも知らないで観る」ことの面白さを痛感した。

まず、役者に魅了される。
映画でも、舞台でも、しばしば「役者目当て」で鑑賞する事がある。
いささか尋常ではない観劇姿勢と言われるのも、概ねそんな場合だ。
そして、多くの場合、その役者が好きであれば、
そこでどんなパフォーマンスがあっても、それなりの満足を得て帰る。
時に、その役者への興味本位で鑑賞した場合は、
「意外に良かった」か「やっぱりダメだった」という結末になり、
どっちにしても酒肴となってくれる。

しかしながら、今回のように、なんの予備知識も無い場合で、
その役者のパフォーマンスと、それが生かされる脚本が仕掛けられていれば、
予想もしない、満ち足りた、心踊る、画期的な感動を得られる。
特に、この映画で「恩大寺隼人将」を演じる片岡愛之助の魅力は凄い!
詳しくは書けないのだけれど、
すべての場面で彼は「役」そのものと同化し、殿様、そのものだった。

もちろん、みかん星人は【殿様】なんて知らない。
子どもの頃、近くの西武線・下井草駅で「殿様キングス」を見かけた程度だ。
だから、なにをもって【殿様】と見做して好いのかは、もちろん、解ってない。
が、この『築城せよ!』の凄いところは、
「殿様というのは、こういう存在なんだよ」
というのを、ちゃんと脚本で描いている部分にある。
だから、彼・恩大寺隼人将が次第に【殿様】然としてくる有様がよく解る。
また、彼・片岡愛之助の仕草・声・視線が、実にそれらしくて、美しい。

ヒロイン・ナツキを演じた海老瀬はな、も、
たぶんに予備知識が無かった分だけ、その魅力を強烈に感じた。
彼女が演じるのは、よくある青春ドラマなのだけれど、
微妙に下手な芝居が、むしろ味となって、最後には素晴らしい輝きを見せる。
ここも詳しくは書けないけれど、あの最後の場面は、もっともっと長く見ていたかった。

モノを作り上げるという行為の魅力。
それがチームワークであるという、実に当たり前の事が伝える感動。
「封建制度」と「民主主義」の面白い関係。
そして、余りにも単純に「夢」を描く簡潔さに、改めて感じるときめき。

実質110分の映画だけれど、
もし、これが90分でまとまっていたら、間違いなく今年ベストワンだと思う。
ともかく、そう、最高に面白かった!

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コメント

お久しぶりです。
「築城せよ」を楽しみに待っている(福岡では来月公開なんです)ので、興味深く読ませていただきました。
・・・で、最初はガックリ(^^;)

片岡愛之助さんは、私がイチオシでご贔屓にしている歌舞伎役者さんなんですよ。
なのに、余りにも酷くて悲しいのーー?って。

でも、結局は最高に面白く、おまけに愛之助さんの魅力が凄かったとは、嬉しい限りです(*^_^*)
来月を楽しみに待つことにします。

ところで、いよいよ東京にアイーダがいきますね。
(今まで東京でなかったことが笑えますが。)


投稿: hirocat | 2009年6月11日 (木) 午後 09時34分

hirocatさん、コメントありがとう。

そう、この映画は「全国随時公開」で、ほぼ単館ロードショーなんですね。
東京でも1館でしか上映しません。
全国の皆様、こちらをご確認いただいて、しっかり築城なさいませ!
http://aitech.ac.jp/~tikujo/theater/index.html

さて、片岡愛之助さんのこと。
いやもう、こんなにも魅力のある役者さんがいるとは、、、
あの佇まい、動き、視線、そしてなにより【声】の強さ!
台詞の一つ一つが、その抑揚や強弱の巧みさによって、明確に届いてくるのです。
スクリーンの中に、ああいう存在がある邦画は久しぶり。

それゆえに、周囲との落差が激しいのですが、
それがまた、時代の差に見事に繋がっていて、
これがまた、物語を過剰なまでに盛り上げていました。

愛之助さんの芝居を観るためだけにDVDが欲しい、、、
邦画のDVDを買おうかな?なんて思ったのは、何時以来でしょうか(笑)

ともかく、本当に素晴らしい映画です。

あと、予告編とか、相変わらず見せすぎです。
なるべく観ずに、そしてあまり期待せずに、観に行く事をお薦めしますsmile

投稿: みかん星人 | 2009年6月12日 (金) 午前 07時24分

はじめまして。 TB&コメントありがとうございます!
同じ試写でしたか~。
確かに、最初、「これが劇場公開!?」と言いたくなるような展開で(笑)、これが続くようだったら抜け出して、同行者さんと飲みにでも行くか!?と思ったくらいですがw

でも最後は妙に感動してしまった(笑
片岡愛之助さん、殿様に変身してからがよかったですね。とてもあれは同一人物とは思えない感じでした。さすが!

投稿: rose_chocolat | 2009年6月24日 (水) 午後 08時39分

rose_chocolatさん、コメントありがとうございます。

ですよね。。。
いまどき、高校生が学際で上映する自主制作映画の方が、マシかもしれません。

ただ、その、たぶんに偶然の産物である「素人然」な部分が、
無茶なアイディアにリアリティーを与えたかもしれません。
真面目に作られていたら(いや、制作は真面目なんだろうけど)
「そんなバカバカしい話が・・・」と後半にしらけたのかも(笑)

惜しいのは、もっと「築城の苦労」みたいなのをみたかった。
冒頭の授業のところで伏線を張ってあったのに拾ってませんし、
広い床をどうやって支えたのか?という部分なんか、
それだけ見ていても手に汗握るものだったかもしれない。

あー、、、しかし、お金払って、もう一度観に行きたい!(爆)

投稿: みかん星人 | 2009年6月26日 (金) 午後 04時37分

こんにちは。
ある意味築城中の地元城跡で、先日、鑑賞しました。
私は、片岡愛之助さん目当てで鑑賞を決めたのですが、
愛之助さんの演技だけではなく、ストーリーにも、とっても好感が持てました。
笑い所も多かったですしね。
ラスト切ないけれど、余韻ののこるエンディングだと思いました。
いい映画でした(^^)。

投稿: みぃみ | 2010年9月 3日 (金) 午前 10時12分

みぃみさん、コメントとTBありがとうございます。

面白い鑑賞体験でしたねー
生の阿藤さん、ちょっと見てみたいかも。。。

映画の中の阿藤さん、
そういえば上の記事ではけなしたままですが、
憑依されてからの芝居はとても良かったんですよ。
落差を意識しての親方だったんでしょうね・・・

笑える場面、そして巧い伏線と、結末に向かって疾走する好い映画です。
もちろん、DVDも買ってしまいましたよ(笑)

これからもよろしくです。

投稿: みかん星人 | 2010年9月 4日 (土) 午前 10時28分

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