ミュージカル『春のめざめ』製作発表会
『ウィキッド』の時に続いて再び「ブログ記者」として発表会場に来ています。
劇団四季が、5月から自由劇場にかけるのは『春のめざめ』。
原題を”Spring Awakening”といい、まさに直訳。
みかん星人がこの演目の一端を最初に、というか唯一、観たのは、
「第61回トニー賞授賞式(2007年)」でのパフォーマンスだ。
そのむかし、この授賞式で『ライオンキング』を観た時にも驚いたけれど、
『春のめざめ』のパフォーマンスは、まさに驚愕であり、
「その手があったかー」と、途中からは笑いながらみていたのを覚えている。
その時に感じたのは、そして実はいまも若干同じ気持なのだけれど、
「これは、劇団四季には似合わない演目だ」という印象。
この自由、躍動感、新しさは、「今の劇団四季」には難しいだろう、と。
もちろん、
今年久々に再演された『アルデールまたは聖女』の革新性を観て、
『JCS:ジャポネスクバージョン』の斬新さを感じて、
「劇団四季」の基本的な資質に、この『春のめざめ』は似合うとは思う。
(今年の自由劇場の演目を観ると、そういう意味で意味深だ・・・)
が、しかし、
「彗星のごとく若手俳優が登場し、舞台が日々過熱している」
という空気を、ここしばらく感じとれない今の劇団四季に、
まさに「青春そのもの」と宣伝されるこの演目が伝えられるのだろうか?
ともかく、今日、そして開演の日まで、
みかん星人がこの作品に寄せる興味関心は、この部分だろう。
さて、いよいよ記者会見が始まった。
記者会見の内容ですが、情報としては目新しいものはありません。
オフ・ブロードウェイのプレビューの時からこの作品に目をつけていて、
「作品に込められた普遍的なテーマは、劇団四季が取り上げるべきである」
というその上演理由は、ちょっと驚いたけれど、納得できるものだ。
『春のめざめ』の大きな特徴と魅力は、
「若者の魂の叫びや、爆発するエネルギーをロック音楽で伝える」
ところにあるらしい。
なにしろ、今までのミュージカルとは違い、この作品の【歌】は物語を進行せず、
「今、その瞬間の、魂の叫びを、舞台の時間を止めて客席に伝える」
という役割を担っているのだとか。。。なるほど、なかなか面白そうだと思う。
ただ、ミュージカルに限らず、有名な作品達は、
みなそれぞれ独特の特徴を持っている。
大切なのは、その「魂の叫び」や「爆発するエネルギー」を、
舞台の上にキッチリと存在させられるかどうか、だと思う。
ロンドン版は、16歳から24歳の、あまり舞台経験の無いキャストだそうだ。
そして彼らは『春のめざめ』という舞台を通じてぐんぐん成長したらしい。
はたして、劇団四季には、そういう「可能性」があるのかどうか、楽しみだ。
音楽監督のグリッグスビーさんのお話が良かった。
この斬新な舞台が観客にもたらす「可能性」を信じている。
彼女に対する質問で、
「似たように古典を原案にした作品『RENT』の影響を受けているか?
その『RENT』は、日本ではそれほど成功してないが、どう感じるか?」
という質問への答えがふるっていた。
「『RENT』の影響は受けていません。
作曲したシークは、ミュージカルの音楽を勉強した人でもありません。
作品の音楽の時代設定は、シークが得意とする90年代の設定で、
その音楽を100年前の物語に合わせる事で、
あらゆる世代、時代、文化を越えて、10代の若者の体験を伝えています。
こうして書かれた彼の音楽は、物語を語るために在るのではなく、
1曲1曲が楽曲として独立していて、多くの世代に支持されています」
との事。
だからこその「ハンドマイク」なのだから、このスタイルはとても重要なんだよね。
他に、質問として、
「翻訳に際して気をつけた事はあるか?」
というのがあって、これは興味のある質問だったのだが、
「原作は、ストレートな事をストレートに表現している。
(作品のスタッフ)世代が、それをどう捉えるのかという部分を大切にした。
日本語に直して考えるのではなく、
その英語が観客に伝えようとしている部分を重視して翻訳をしました」
との事。。。ちょっと言葉が足りなかったけれど、ニュアンスは分かった
ぜひ「センチメンタル・マン」などという間抜けな翻訳は避けていただきたい(爆)
「劇団四季の舞台といえば、安心して親子で楽しめるというイメージだが、
今回の『春のめざめ』は、親子で一緒に行き難いと言う事はないのか?」
という質問もあった。それに対して、
「既に学校からの団体観劇の申し込みもあり、その心配は無い」
という回答だったけれど、さてどうだろう、、、
学校で連れて行かれる『春のめざめ』(with PTA)と、
例えばミュージカル好きの一家が『春のめざめ』を観るのとでは、
受ける印象、特に子どもにとってのそれは、かなりニュアンスが違う気がする。
作品を観てみるまでは分からないけれど、
この『春のめざめ』が、日本で、そしてたぶんアジアで、成功するのは、
なかなか大変かもしれない。
実際、続く質問で、過激な性描写の演出をどうするのか?というのがあったが、
製作側でも、この辺りは、まだまだ煮詰めなければならないようだ。
さて、最後のパフォーマンス。
確かにそれなりに面白かったのだが、やはりハンドマイクの使い方が肝かな?
「55」でも感じたけど、ハンドマイクの使い方の研究が必要だと思う。
どうしても「ボコボコ音」が耳障りだ。
それでも、あんな場所だった割には、素敵な吸引力があった。
歌われたのは『ママ』と『ブチギレそう』と題された歌で、
これらはトニー賞のパフォーマンスでも歌われたもの。
原題は”Mama Who Bore Me”と”The Bitch of Living”。
どんな邦題にするかと楽しみだったが、
『ブチギレそう』というのは、面白いし、この男の子達、視線の暴れ方が良かった。
『ママ』の女の子達のコーラスの感じが、今までの「四季」と違う感じなのも
登場したキャストは、敬称略で
女性が、勝間千明、金平真弥、岸本美香、林香純、松田佑子。
男性が、柿澤勇人、加藤迪、白瀬英典、竹内一樹、三雲肇、南晶人。
他に出演が予定されているメンバーは、
女性が、有村弥希子、浦壁多恵、玉石まどか、谷口あかり、撫佐仁美。
男性が、伊藤綾祐、一和洋輔、厂原時也、玉井晴章。
と、若手がいっぱい。。。みんな80年代の人たちだ。
ちょっと、楽しみかもしれない。
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コメント
りんさん、コメントありがとう。
はい、、、動画を公開したおかげで、
自由劇場の舞台では、多くの観客が彼らの「成長」を目の当たりにするわけです。
さあ、、、楽しみです!<悪意はないです
投稿: みかん星人 | 2009年3月13日 (金) 午前 09時45分
柚子さん、コメントありがとうございます。
本来なら、私がコメントを残してくるべきなのですが、申し訳ないです。
そう、トニー賞の時、何に驚いたって、
「マイクを懐から取り出して歌う」それですよ!ね
なんというか、劇中劇の始まりみたいで、画期的でした。
あれを劇団四季が、しかも日本語で、というのが、わくわくです。
それにしても、ニューヨークの記事、楽しいですねぇ。
一度しか行ってないのですが、あらゆる場所が印象的に残っている街です。
柚子さんのブログ、これからも楽しみにしてます。
投稿: みかん星人 | 2009年3月13日 (金) 午前 09時43分
みかん星人さん、こんにちは。
ブログ記者に参加されていたのですね!お疲れさまでした。
そして素晴らしいレポありがとうございました。
みかん星人さんのレポを読んだら観に行きたくなりました。
個人的には竹内さんがいたのが嬉しかったです。
この日歌った俳優さんたちが1ヶ月半後には
どんな舞台を見せてくれるのか、とても楽しみですね。
・・・でも、私が行く日は未定です(笑)
投稿: りん | 2009年3月12日 (木) 午後 09時56分
はじめまして。トラックバックを送っていただき、ありがとうございます。みかん星人さんのブログから密かに引用させていただいていたのですが、お目に留まったようで、恐縮ですm(_)m。
「Spring Awakening」は大好きな舞台で、2007年に2回、2008年に2回観劇しています。マイクを懐から取り出して歌う瞬間、若者の内面がほとばしってくる感じがすごく好きなんですよね~。これが四季で上演されるとどうなるのか?? 気になっていたところだけに、みかん星人さんのブログ記者レポを見て期待が高まりました。
まずは自分の目で舞台で確かめてみたいと思います。
ちょっと気が早いですが、みかん星人が「春のめざめ」を見てどう思われるか、ブログでの感想アップを楽しみにしていますね。
投稿: 柚子 | 2009年3月12日 (木) 午後 04時13分
ゆぴさん、コメントありがとうございます。
はい、、、前後、いたるところで、彼らの写真を撮りました。
会見が終った後にひな壇でも、、、あはは。
確かに「若さ」が強調されているところがありますね。
たぶん、それだけが「うり」なのかもしれませんし。。。(笑)
ともかく、幕開けが楽しみになりましたよ。
これからも、よろしくです。
投稿: みかん星人 | 2009年3月12日 (木) 午前 10時22分
羅針盤のない船さん、コメントありがとうございます。
あ!通路側にいらした方ですか?
こんど劇場で見つけたら、声をかけてくださいな。
そう、、、
)
ホテルの無線を利用しようとプリカまで買って用意したのですが、
どうやら、私の不勉強でつながりませんでした。
フロントロビーでは使えましたので(笑)会見の前後でアップできましたけどねー
『ウィキッド』の時のような実況はできませんでしたが、
今回は通訳を通す時間が少なかったので、無理だったかも。
(ウィキッドの時は通訳している間に入力できたのです
これからも、よろしくです。
投稿: みかん星人 | 2009年3月12日 (木) 午前 10時19分
yanaさん、コメントありがとう。
原作までチェックされていて、凄いですねー。
根柢にある「文化」というか「価値観」というか、
そういったものの違いを「違い」として届けるのが目的では無い作品ですから、
さて、「過激」をもって観る者の心を揺さぶることがどこまでできるのか?
発表会では、その可能性があるのを感じられましたので、
正直、とても楽しみです。
投稿: みかん星人 | 2009年3月12日 (木) 午前 10時13分
ハルカさん、コメントありがとう。
すっかりキャラメルボックスからごぶさたの私です(笑)
またしても選ばれましたねー。
いまのところ、私を含めて4人かな?
ウィキッドのに引き続きの方を確認したのは。。。
皆さん、素晴らしいくじ運ですよね
顔と名前が一致しない、、、どころから、
「前に、どこかの舞台で、、、」と思える役者さんが3人ほどしかいません(爆)
と、いうわけで、別の記事を作ってみました。
開幕の日まで、いろいろと期待しましょう。
開幕しても、期待が沈まないように願っていましょう(笑)
投稿: みかん星人 | 2009年3月12日 (木) 午前 10時08分
TBありがとうございました。
わたしもWICKEDに引き続き・・・でした。
若さがあまりに強調されるのでどうなることかと思いましたが(笑)でも期待度は上がっています。
もしかしたら、このぬいぐるみで終了後撮影されていましたか?
投稿: ゆぴ | 2009年3月12日 (木) 午前 06時47分
こんばんはトラックバックをたよりに『羅針盤のない船』に乗ってやってきました。
このぬいぐるみに覚えがあります。隣の席の方だったんですね。現場からの実況中継用のパソコンつながらなくて残念でしたね。
これからも、よろしくお願いします。
投稿: 羅針盤のない船 | 2009年3月11日 (水) 午後 11時09分
こんにちは!
コメント&TBありがとうございました。
私もはらせていただきました。
いつもこっそり(?)、記事をチェックさせていただいています。
原作本を読んで、「そうかー、なかなか重たいんだなあ」と思っていたのですが、目の前であのパワフルなパフォーマンスを観ると、みかん星人さん同様、単純にどんなふうな舞台になるのかが楽しみになりました。コーラスも美しいですね〜!
そうですね、キリスト教圏ではない、アジア文化のなかで、どう受け入れられるか…オリジナルプロダクションのスタッフさん的にも、それは興味のあるところなのではないでしょうか。
またお邪魔します!
投稿: yana | 2009年3月11日 (水) 午後 07時01分
もしかして・・・とも思ったのですが、やはり
みかん星人さんも参加されていたのですね~。
私も、ウィキッドに続き参加してきました。
最後の集合写真では、リストにお名前があった
方たちの他、田中くんや上川くんもいましたね。
顔と名前が一致する人の方が少ないですが、
だからこそ逆に、今度の作品に対して
楽しみになってきました。
投稿: ハルカ | 2009年3月11日 (水) 午後 02時51分
ヤボオさん、コメントありがとうございます。
憧れのブロガーからコメントをいただけるとは(笑)
前回もそうでしたが、
)
「ブログ記者」と言っても、基本的に宣伝として利用されるだけですからね(爆)
「稽古場潜入」とか「討論傍観」とか「一緒にリラックス」とか、
そーゆーのがあるともっとわくわくなんですけどねー
(そんなんだったら、ヤボオさんも仕事捨てて行くでしょ?
ま。。。次はゲネプロかなぁ。。。それまでに、もうひとつ何かあると、いーなー。。。
投稿: みかん星人 | 2009年3月11日 (水) 午後 02時25分
takaさん、コメントありがとう。
「脳内観劇」、、、あると思います。
というよりも、そっとの方が刺激的だと予感できてしまう現状が寂しいのですね。
観ずにはいられない、、、、と、ソワソワさせてほしいものです。
とか言って、手許には初日のチケがあったりするんですけど(爆)
投稿: みかん星人 | 2009年3月11日 (水) 午後 02時17分
ハイタカさん、コメントありがとう。
え゛ー。。。けっして「ばっさばっさ」じゃ無いと思うのですが

折角の「薫風」ですから、穏やかに感じてみたいですし。
そう、、、なんとなく「いい子」が多いんですよねー
「演劇青年」なんてのは、もっとギラギラしていてほしいと思うのですが、
どーうも、皆さん、見事な鞘に納まっているようで。。。
この発表会で感じた「四季のめざめ」に関しては、
そのうち、別記事で書こうかと思っているのですが、
例えば旗揚げに「アルデール」を選んだ先人達のパワーの方が、
やはり圧倒的だったのではないか、、、、と感じた、昨日でした。
投稿: みかん星人 | 2009年3月11日 (水) 午後 02時15分
いやいや、、、今だったら、きっと「落選」ですよ>『鹿鳴館』製作発表会
しかし、、、いつから「製作」って書かれるようになったんでしょうかねぇ。
私のイメージでは、こういうのは「制作」だと思うんだけど。。。
投稿: みかん星人 | 2009年3月11日 (水) 午後 02時06分
こんにちは、ヤボオです。
ブログ記者として参加されたとは素晴らしい。会見コメントもとてもうまくまとめられていて、動画を見るより臨場感が伝わってきました。私のところからもリンク貼らせていただきました。
なんだかんだと開幕を楽しみにしております!
投稿: ヤボオ | 2009年3月11日 (水) 午前 12時26分
夏は地元の『WSS』のみを意識して過ごそうかと、他のチケット取りには参戦していません。(笑)
新作・・ソワソワするんですけどね。。なんだか。。飛びつけない今日この頃です。(^^ゞ
みかん聖人さんのブログで脳内観劇させてくださいね!
投稿: taka | 2009年3月10日 (火) 午後 10時48分
さっそくのレポートありがとうございます。
うふふさすがみかん星人様!!ばっさばっさといってくださいますわ(笑)
ええと、試演をみて非常に『風』を感じました。
最近の四季のステージは本当にその『風』が感じられず、「・・・・ウウム」とうなってしまうこともあり
感激というよりも堪激(こんなくみあわせありませんが意味は伝わりますでしょうか?^^;)することも多くあって・・・
四季の前衛的な時のパワー、若い人たちのエネルギーがみたい!!とおもっても『いいこだな~』とおもうことがあって(笑)
きれいにまとまりすぎる優等生的なところがとっぱらわれて、とにかくなんだかわかんないけど観客を巻き込んで突き進むそんなステージがみられたらなとおもいました。
その意味でも自由劇場という空間で『春のめざめ』が目覚めるのは、うんいいなと思いました。
これが、いろんな意味で『四季のめざめ』となったらいいなとかおもいます
ううん・・・本当に、この若者のどうしようもないもてあましたエネルギーのミュージカルってね、四季でもやってるでしょう
「WSS」そして「ACL」(ちょっとこれは意味が違うけど)それに「JCS」これも・・・実年齢に近く行ったら・・・多少荒削りでももっともっと本質が伝わるかな~とか思うんですよね。
どうしようもないもてあましてしまうエネルギーそれをステージで熱く爆発させて欲しいなと
・・・ただ心配なことは・・・
その実年齢に近い人たちの年代がなかなか熱くならない世代だから・・・ちょっと心配なんですけど。
何かを表現したい方々のあまりだから大丈夫かな?
さてスケジュール調整してチケットとりましょうかね(笑)
投稿: ハイタカ | 2009年3月10日 (火) 午後 10時42分
ワラワ的には、「鹿鳴館」の時に
“ブログ記者なるものを参加させよう!”
と気づいてほしかったワ。。。
投稿: 舞姿 | 2009年3月10日 (火) 午後 08時44分