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2009年3月30日 (月)

『ルイザと女相続人の謎』 by アンナ マクリーン

「奇抜なアイディア」という言葉がある。
この場合の「アイディア」とは「着想」みたいな意味になるのだろうが、
『ルイザと女相続人の謎』は、まさに奇抜なアイディアが生んだ本だ。
なんと、『若草物語』の作者・オルコットが、
その青春時代に探偵まがいの冒険をしていた、という着想をもとにしている。

作者マクリーンは、その名もまさに「ルイザ メイ オルコット」というヒロインを用意し、
おそらくは『若草物語』のジョセフィーンを通して読み取ったであろう、
作家オルコット氏の若き溌剌とした日々を描き出している。

基本的にミステリなので謎解きの面白さも、それなりに、ある。
けれど、この小説の面白さは、ヒロイン・ルイザの言動にある。

物語の舞台は1854年で、アメリカを二分した南北戦争の7年前。
若い女性が一人歩きをするのに勇気と理由とエスコートが必要だったり、
「招待状」で招かれる舞踏会が大切な社交場であったりする時代。
その中で、今の時代からみれば当然のような行動ではあるものの、
ルイザは闊達に動きまわる。
「たった150年前なのにこんなにも不自由な時代だったのか」
と思うと同時に、本当にその時代を生きて、
そして婦人参政権運動にも参画した本物のオルコット氏にも思いを馳せる。

そう、この小説のヒロインには、
オルコット氏の「アイディア」、この場合は「思想」「観念」が、
見事に生き写しされていると感じた。
150年前の、女性にとってはまだまだ重苦しい時代に、
その重苦しさに「想像力」と「慈愛」、そして家族からの愛情で抵抗する。
事件の本質にもまた、こういった時代を反映しているところが上手い。

と、わけ知りなことを書いたけど、実はみかん星人、『若草物語』を読んで無い。
なんと映画すら観ていない(笑)
だから、たぶん、この小説の面白さの半分も読み取って無いと思うし、
各所に織り込まれているであろうオマージュのようなものも読み取れない。
例えば、
途中に二度ほど「ボタンを外して洗濯する」というエピソードがあるけれど、
「これは、もしかしたら、『若草物語』にもあるエピソードかな?」
なんて思ったりしつつ、
ともあれ、著者が歴史小説家なので、考証がしっかりしていると感心したりする。

『若草物語』は、オルコット家をモデルに書かれたとの事で、
この本は、『若草物語』のファンには面白い副読本になるだろう。
また、150年前の家族の様子を、
物語として書かれた『若草物語』よりも、リアルに、
ある意味では下世話に、もしくは大胆に書いてあり、
それは時に事件そのものよりも面白く興味深いものだったりする。

いちおう、事件のネタになってしまうので詳しくは書かないけれど、
事件を解決する観察眼などにも、たぶんに、女性らしい視線がある。
いろんな意味で、女性の鋭さや冷静さ、そして怖さを感じる小説だ。


ルイザと女相続人の謎

  • アンナマクリーン
  • 東京創元社
  • 1050円

Amazonで購入
書評

【書評リンク】
甲斐小泉さん
poppenさん
1day1bookさん
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作楽さん
茉莉さん
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» 書籍「ルイザと女相続人の謎」読了。 [空飛ぶさかな文芸部]
ルイザと女相続人の謎アンナ・マクリーン東京創元社1050円Amazonで購入書評/ミステリ・サスペンス_uacct = "UA-918914-3";urchinTracker(); 書籍「ルイザと女相続人の謎」アンナ・マクリーン・著 藤村裕美・訳 東京創元社・刊を読了。 これは本が好き!プロジェクトから....... [続きを読む]

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