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2009年1月11日 (日)

『時間封鎖』 by ロバート チャールズ ウィルスン/茂木健

今年の1月1日午前8時59分が61秒だったのをご存知だろうか?
そう「うるう秒」と呼ばれるもので、数年に一度実施される。

「なぜ『うるう秒』が必要なのか?簡単に言うと、
「地球の動きを天体観測で計った時間」と、
「原子の動きを計測して計った時間」の誤差を解消するため。
最先端の技術で設定した時間の方が等間隔だそうだけれど、
宇宙は気まぐれで(笑)地球の自転周期の変化などで差異が出るらしい。
 (もちろん地球の動き(自転)が優先!そもそもは自転の1/86400が1秒)

さて、「地球の上で流れる時間」と、
「宇宙全体に流れる時間」に大きなズレが生じてしまったら、どうなるのだろう?
というのが、今回読んだ『時間封鎖』という、硬派な本物のSF小説smile
ちゃんと?『ヒューゴー賞(2006年)』を受賞している。
こっちの「どこがSFじゃい!」という本とは大違いだ<まだ言ってるgawk

原題を『Spin』というこの小説は、ある日突然、
地球上の時間の進みが100,000,000分の1になってしまうという、という話。
簡単に言うと、
地球で1秒過ぎる間に、宇宙では1157日が過ぎてしまう、という設定。
当然、この小説は「誰が、なぜ、何の為に?」を主軸に進む。
しかしながら、物語は、その原因を追求するよりも、
「この地球はどうなってしまうのか?」
という不安が人々にどんな影響をもたらすのかを描き出して秀逸。

これぞまさに「SF小説」の王道だと思うし、
描き出される人間の行動も、実によくシミュレートされていて、凄い。
「どうしてそんな事になったのか」という興味ももちろん牽引してくれるし、
「人間は、確かに、そういう行動をするかもしれない」という興味が重なり、
途中で止まりがたいほどの魅力でで最後まで読ませてくれる。


時間封鎖

  • ロバート・チャールズウィルスン
  • 東京創元社
  • 987円

Amazonで購入
書評

【書評リンク】
poppenさん
mummykinoi1970さん
ululunさん
のらふのらいふさん

以下、ちょっと、物語に踏み込んで書いてみたりして。。。。

おそらく多くの人は、いつかこの地球が終ることを、なんとなく知っていると思う。
天災や疫病といった「人類の一部は存続する」程度ではなく、
「もはや地球に人類は存在しない」という未来が来るのを知っている。
少なくともみかん星人は、この本に書かれているような事象で、
この星に寿命が来る事(学説)を理解しているつもり。

まあ、そんな数十億年先の事ではなくとも、地軸が動くという説もあったりするし(笑)
そもそも、やっぱり、
人間が自らの手で歴史に終止符を打つ可能性も(かなり高い確率で)ある。

要するに、多くの人が、
「たぶん、きっと、いつか、この世界は終る」と思っている。
けれど、同時に、
「だけど、絶対、それは『私の時代』には起こらない」とも、思っている(笑)

この『時間封鎖』は、しかし、
「その終末が、私たちのこの時代におとずれる」という設定で迫ってくる。
突然、この日常のままタイムマシンに乗せられて滅亡へとひた走る。
だから、その設定はSFだけれど、その日常は「今日」であるところが妙なのだ。
「スピン」と命名されたその現象への対抗手段も、
いま、私達が知っている技術ばかりだし、
(これが意外と重要なのだけれど)意識や価値観も変らないままだ。
そこで起きる政治的、宗教的、そして個人的なあらゆる問題が、
「あと数年で総てが終わる」という焦りの中で顕在し、過熱する。
実によく練られた小説だと感じた。

「SF小説」と言うと「日常の中の非現実」というイメージがあるが、
 (まあ藤子不二雄氏のマンガなどがその典型かな(笑))
この『時間封鎖』は「非現実の中の日常」を考えさせられる作品で、
ぜひとも「SF」に抵抗がある人に読んでもらいたいと思った。

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◆読んだ本◆ ・書名:時間封鎖 ・著者:ロバート・チャールズ・ウィルスン ・定価:上940円 下940円 ・出版社:創元SF文庫 ・発行日:2008/10/... [続きを読む]

受信: 2009年5月 6日 (水) 午後 03時12分

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受信: 2009年5月22日 (金) 午後 10時30分

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