『一人ひとりに未来を創る力がある テラ・ルネッサンス』 1
正直いうと、この本を読んでも「なにも言えない」という感じがしました。
つまり「その通りだよね」と言って、閉じてしまえば、それでお仕舞いという気分。
『テラ・ルネッサンス』の事は全く知りませんでしたが、
子ども兵や対人地雷の問題は、情け無くなるほど多く見聞きしていましたし、
それを解決する事が、思ったよりもかなり、困難な事であるのも聞いています。
例えば、小型の兵器を使用した局地戦争は、
もはや「政治」の問題というよりも「商売」の問題であって、
「戦争反対」というスローガンが届かない存在になっている。
また、いったん「兵士」となり、大切な成長期を踏みにじられてしまった人が、
社会(この場合の「社会」という言葉も微妙だけれど)に適応するのも、
また社会が「元子ども兵」を受け入れるのも、大変に難しい事なのでしょう。
だから、という訳ではないけれど、
この本は「戦争を無くさなくては!」といったスタンスや、
「元子ども兵を受け入れられる社会にしましょう」というメッセージを伝えてはいない。
この本が目指しているのは、少なくともこの【Ⅰ】において伝えているのは、
「日本の人に、もっと知ってほしい」という姿勢であり、同時に、
「人々にもっと機会を与えてあげたい」というNGOの基本姿勢だと感じました。
確かに、マンガという手段で伝えようとするこの本の目的は、
かなりよくできているという気がします。
ちょっとばかり構成が混乱している気がしますけれど。
特に、10代の前半でこの本に出会えれば、
「NGO」とか「ボランティア」というものへ積極的に関わる機会を持てるかもしれません。
そもそも、みかん星人が10代だった頃には「ボランティア」という言葉も珍しく、
社会に貢献するという事が、とても遠い事のように感じていたものです。
今の時代、若い頃から社会に貢献し、関われる機会があるのは羨ましい。
つまり、この本の存在意義は、こういった啓発につきると思ったのです。
もっとも、そもそも「平和を訴えるもの」というのは、こういったものかもしれませんね。
分かりきった事、知っている(と思い込んでいる)事をもう一度訴える。
そういう存在としては、この本、良いのかもしれません。
あー、親子で話題を共有するのには、好いのかな。。。
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