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2008年11月15日 (土)

『RENT』 @ 日比谷 シアター クリエ

と、いうわけで、日比谷の「シアタークリエ」で上演されている『RENT』を鑑賞。

この演目には映画で出逢って、来日公演を観て、これが3度目。
最初に観た映画の出来が、オリジナルキャストが出ていたばかりではなく、
演出や物語の展開が素晴らしく、大いに魅了された。
が、来日公演では、ひどい不満はなかったものの、いまひとつな舞台だった。

その来日公演で感じた不満とは、演出というか、改良不足というものだった。
で、今回のこの『日本版RENT』は、「エリカ シュミット」という演出家の手によって、
新しい演出で上演されるというのも、注目すべき一点。
もちろん「日本語で上演される」のも楽しみだった。
出演者で言えば、
前世紀にかなり聴き込んだ「米倉利紀」さんがコリンズで登場する事と、
タム・マン」でお馴染みの?「田村雄一」くんがアンサンブルにいるのもわくわく。

と、いうわけで、マンカス・ベアくん、田村くんの前でポーズ。

Rent

久しぶりに「ミュージカルらしい場面」を堪能した。
要するに「どうして歌うの?」という事に関して強烈な理由を感じられる楽曲。
その曲が物語りを語るのももちろんだけれど、
それを歌う役の、あらゆる思いが込められていて、舞台そのものを感じさせる場面。
たとえば、『JCSS』の『The Last Supper』や『AOL』の『汽車の中』。
『アイーダ』の『儚い喜び』、『迷いつつ』、『星のさだめ』とか、
最近では『ウィキッド』終盤の名曲『あなたを忘れない』が、私にとって、そうだ。
そして、正直思いもよらなかったのだけれど、この舞台の『I'll Cover You』で、泣いた。

理由は、しかし、簡単だ。
そもそもこの『RENT』の楽曲はどれも素晴らしいもので、
オリジナル・キャストで聞くと、どの曲でもミュージカルの醍醐味を感じる。
そして、そのオリジナルがもっている力を凌駕するほどだったのが、
米倉コリンズと辛エンジェルが仲睦まじく歌う、この『I'll Cover You』だけ、だったからだ。
実は、その前の『Santa Fe』も凄く良くて、この流れ全体が美しかったのだけれど、
ある意味で『RENT』そのものなのが、この『I'll Cover You』だと実感した。

そもそも、流石はソウル・シンガー米倉くんだ、
この曲に限らず、彼が歌う曲はどれも素晴らしかった。
なにしろ、ちゃんと歌詞が聞き取れる!(笑)
いや、そんな基本的な事が確実に出来ていたのは、
ほかには、エンジェルの辛くんと、ミミのジェニファーさんだけだったと思う。
あと、ジョアンヌのShihoさんはなかなか上手かったかな。
ダブルキャストなので、Kくんのロジャーと、望月さんのモリーンを観てみたい。

席がなかなか良くて、ほとんど劇場のスイートスポットだったのだけれど、
演奏と歌声のバランスが悪かった気がする。
特に、森山マークとRyoheiロジャーが掛けあうと、
もう、何がどうなっているのか、全くと言っていいほど聞き取れなかった。
映画や、来日版の字幕で概ねわかっているから不安は無いけれど、
つまらない。
つまらない、という意味では、訳詩がいまひとつだった。
歌詞として「尊厳」という単語は、どーだろう?

さて、問題の演出だけれど。。。中途半端だなぁ。
まず、舞台の部屋のセットが、ニューヨークの古いアパートに見えない。。。
まるで山小屋かなにかで、下手したらドリフのセットみたいだ。
最後、そのニューヨークのアパートで悲しみと喜びが展開するのだけれど、
部屋のセットに乗って展開されるその物語は、
なんだか『名探偵コナン』の「山荘殺人事件・解決編」のようなこぢんまり度。
もう少し、上手いセットは出来なかったものかなぁ。
 (その移動するセットに「ドア」が付いているんだけど、これがまた無意味で・・・)

なにより疑問だったのが、
「これは、この舞台を始めて観た人にも伝えようとしているのだろうか?」
という事。
『RENT』という舞台、というか物語は、実はかなり乱暴な物語で、
「当時のニューヨーク」という背景を知らない客には、難解だと思う。
HIVももちろんだけれど、ドラッグが当たり前に蔓延していたり、
「反体制」と警官がキッチリと対立するといった事は、
観客が「知っているもの」として処理されている。
 (もちろん、JCSSもキリスト教に関する背景は説明して無いけれど(笑))

『RENT』の最大にして最も美しいメッセージは、「No Day But Today」だろう。
「ジョナサン ラーソン」は、それを伝えるためにHIVやドラッグを取り込んだ。
けっしてHIVの現実や、ドラッグの恐怖が彼に『RENT』を書かせたのではないハズ。
だとしたら、もっと「いま」な表現方法がある気がする。
あれだけの名曲と、素晴らしいキャラクターをもっと大胆に動かして、
「21世紀の『RENT』」が描けるような気がするんだけどなぁ。

今回の演出は、少々「小手先」に過ぎた気がする。
これなら、まったくオリジナルで上演した方が良かったと思う。
奇しくも『コーラスライン』のオーディションを描いた映画が、
オリジナルの『コーラスライン』が持っている魅力と真実を強烈に伝えたのだから。

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コメント

久しぶりにヨネちゃんを堪能しました。
その昔、ヨネちゃんのファンクラブに入っていて、
ロスやラリアに行かせていただきましたね。。。
コンサートも何度か行ったし。
その頃と歌声が変わってない。
第一声で“あ~、ヨネちゃんだ・・・”とぞくぞくしました。
間違いなく、この舞台のお歌の主役はヨネちゃんです♪
コンサートって、同じ場所でやるのって長くて3日でしょ?
それが舞台だと、結構長い期間に、ほぼ毎日、
ヨネちゃんの歌声が聴ける。
ヨネちゃん好きには堪りません!

投稿: 舞姿 | 2008年11月16日 (日) 午前 08時36分

キャストの中で一番活舌がひどかったのは森山君な
気がしますね・・・(--;)

確かに、「ジャパニーズレントヘッズ」のための
演出だったような気がしますね。私なんかは、
映画からはまりましたから、映画版を髣髴と
させるような部分に喜んだりもしちゃいましたし・・・。
時代の変化、と言ったらそれまでかもしれませんが。

日本初演時(山本マーク・宇都宮ロジャー)の時の方が
まだ伝わったかもしれないですね。そのキャストで
観たかったってだけですが(^^;)

投稿: えみーご | 2008年11月16日 (日) 午後 09時05分

えみーごさん、コメントありがとう。
 (えみーごさんのブログって、この記事でTBできるのかしら?)

日本初演のとき、赤坂駅でたくさんポスターをみましたっけ。。。
「ウツ」のロジャーは、なかなか評判でしたね。
 (山本くんが上手いのはわかっているので(笑))

私も「映画から」なので、足りない部分を頭の中で合成していましたが、、、、
いやいや、えみーごさん言っちゃいましたけど、
ほんと、主演の二人がすっごく残念。
特に、森山くんって、いろんな演出家に鍛えられていたと思ったのに。。。。

あれは、ただ、怒鳴り合っていただけでしたね(爆)

投稿: みかん星人 | 2008年11月16日 (日) 午後 11時44分

そうですね。。。久しぶりの「ヨネちゃん」は、
「あの頃」を思い出させてくれましたし、
あの頃よりも更に滑らかな歌唱が魅力的でした。

彼は「ミュージカル・スター」にはなれそうもありませんが<台詞等
間違いなく「ミュージカルにおける歌唱」の価値観を変える可能性を持っていますね。
ミュージカルの舞台では、物語やメッセージに重きを置いて歌いますが、
米倉さんは、何よりも先ず「シンガー」として存在している。
「俳優がメッセシーをメロディーに載せて歌う」のではなく、
「シンガーが歌で聴衆を魅了しつつメッセージを伝える」
のが可能である事を示していると思います。

そもそも、素晴らしい歌手・シンガー達は、
「3分間のドラマ」を届けることに長けているわけですから、
それは当たり前なのですけれど(笑)

ともかく、「クリエ」て今年いっぱい上演されている『RENT』は、
米倉さんのコリンズを聴きに行くだけでも充分に意義のある舞台です。

投稿: みかん星人 | 2008年11月16日 (日) 午後 11時54分

東宝RENTでがっかりだとしても、ジョナサントリビュートでしっかり聞かせてくれるなら良いのですが。。。キャストがマーク以外同じだから駄目ですかね。

「テーブルなし」は日本語公演のほうだけで、トリビュートのほうではテーブルありだとまだ嬉しいのですが。

クマが可愛いですね

投稿: むじ | 2008年11月17日 (月) 午前 08時15分

セットは私も??って思いました。特に舞台を廻すのにスタッフさんが手押しなのを見て、みかん星人さんに同じくドリフみたいって思いました。確かにあれはどうみてもニューヨークのアパートには見えないですよね・・・。

投稿: ami | 2008年11月17日 (月) 午後 09時02分

むじさん、コメントありがとうございます。

そっかー、、、あのテーブルって、凄い意味があったんですよね!
エンジェルのダンスも、最後のアレも、
あのテーブルがあるから鑑賞できたんだぁ。。。ボヘミアンも。

トリビュートにも行かれるんですねhappy02羨ましい。
アンソニー君に、よろしく。。。ブログ、楽しみにしています!

投稿: みかん星人 | 2008年11月18日 (火) 午前 12時34分

amiさん、コメントありがとうございます。

ほんと、あれはニューヨークではありません。
板塀か縁側みたいな「土台」のデザインも最悪。
劇場に入って『RENT』を感じたのは公衆電話だけでした。

なんとなく、
日本の演劇が(客も含めて)馬鹿にされた気分でもあります(笑)

投稿: みかん星人 | 2008年11月18日 (火) 午前 12時39分

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座席:18列下手側マーク:森山未來ロジャー:Ryoheiミミ:Jennifer Perriコリンズ:米倉利紀エンジェル:田中 ロウマジョアンヌ:Shihoモーリーン:望月英莉加ベニー:白川侑二朗安崎 求ElianaJunear彼方リキト中村桃花戸室政勝YOKO高良舞子田村雄一開幕二日目。Wキャスト制なので「初日」とも言えるかと。舞台セットはBW版とは大分違ってる感じ。プログラムにも書いてありましたが、「同じでなくていい、メッセージが伝われば」というような意図があるらしいです。見終わってみれば、確かに... [続きを読む]

受信: 2008年11月17日 (月) 午後 10時42分

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