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2008年9月20日 (土)

『落下の王国』

大変にキャッチーなタイトルと予告編で期待していた映画『落下の王国』を観た。

原題は『The Fall』と単純明快。
映画の撮影中に「落下」したスタントマンと、
オレンジの樹から「落下」した女の子が紡ぐ空想物語。

なにしろ、空想の物語なので、その背景も「夢、まぼろし」のごとく美しい。
端から裏話をしてしまうと、
物語の背景に使われた絶景や世界遺産は、
監督がコツコツ撮り溜めていた世界各地の写真をヒロインの女の子に見せて、
「この物語の背景は何処だと思う?」
と聞きながら、ある程度まで、決めて行ったそうだ。

さて、その女の子、
アレクサンドリアを演じた「カティンカ」ちゃんは、撮影当時5歳。
「彼女が女優に目覚める前に」
と、監督・ターセムはかなり急いで彼女のシーンを撮ったそうだ。
それでも、前歯の成長などを利用している?辺りが上手いねぇ。

落ちたスタントマンロイを演じたのは「リー ペイズ」
初めて観た彼は、二役の差をなかなか上手く表現していた。

そう、この映画では、ほとんどの役者が「二役」で、
現実と空想物語の両方に登場してくる。
できれば、
鑑賞前にパンレットは観ずに、誰がどの二役なのかを探して欲しい。
「二役」に関連性があるわけでは無いけれど、
実は、そこにこの作品「面白さ」のひとつが潜んでいる。

ともかく映像のインパクトが強い。
もちろん、その景色の凄さは映画の手柄ではない。
その多くが世界遺産として登録され、知られている景色なのだ。
しかしながら、その背景を生かした物語の展開が絶妙なので、
世界遺産が、このために用意された背景のようですらある。

背景となっている時代も上手い。
1915年が舞台なのだけれど、ちょうど第一次世界大戦の最中で、
参戦していないアメリカはなかなかの好景気。
そして「映画の都・ハリウッド」が動き始めたのがまさにこの頃。
1912年に創設されたユニバーサルとパラマウントに続いて、
1915年には20世紀フォックスが誕生した。

映画、しかも当時の「連続活劇映画」を支えていたのは、
むくつけき【悪漢】に略奪された【美しいヒロイン】を救う【ヒーロー】だ。
そしてこの【ヒーロー】は、驚くべき罠やピンチに追い込まれながらも、
実に「ダイ・ハード」な活躍をするのだけれど、
撮影でそのピンチを切り抜けていたのは【スタントマン】たちなのですね。
けれど、命からがらのピンチを切り抜けても、
【ヒロイン】の細い腰を抱けるのは【ヒーロー】だけ、なのですなぁ。

冒頭とエンディングの白黒シークエンスの絶妙さ。
そしてそこで使われる、流麗なベートーベン交響曲7番がみせる効果。
人物アップが少なく、物語が演技によっても展開される心地よさ。
まさに「映画を楽しむ」喜びに溢れた、素敵な1本です。

今年のベスト3にはいるなぁ。。。

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コメント

>☆みかん星人さま
東京から地方まで半年のタイムラグがありますが、地元のシネコンはふるいにかけつくしたものが回ってきますので安心して鑑賞できます。ウエスト・サイド物語も京都劇場で開幕前に上映してくださいました。パコと魔法の絵本と同時期だったんですね。
プロローグとエピローグまで丁寧に作りこまれていました。無声映画のドタバタがスタントマンの命がけの演技ですから感動です。ベスト2又は1です。

投稿: とみ(風知草) | 2009年2月 9日 (月) 午後 09時14分

おとみさん、コメントありがとう。

東京は、確かにエンターテインメントに溢れた街ですが、
それを選んで観る「審美眼」みたいなものが要求されますね。
その点、地方は、来る演目を片端から網羅すれば好いので(笑)
ちょっと、気楽だったりして。。。北陸は、そんな感じですもの。

この映画は、
まさに「映画文化がなぜかくも長く愛されているのか」を示していた気がします。
異国の不思議を伝えてくれて、人の心の深淵を思わせて、
そして勝ち抜いて勝利する喜びを教えてくれる。

お手本のような映画だったと思います。

投稿: みかん星人 | 2009年2月10日 (火) 午前 12時06分

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